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おかえりなさいっ!

 9月下旬。


 ミルドステア公国で開かれた舞踏会から8日後。


 「や、やっと着いた‥‥‥」


 「楽しい旅でしたね〜」


 「アイト、大丈夫?

  女子寮近いしお姉ちゃんの部屋で休む?」


 時刻は夕方。


 アイト、ステラ、マリアはグロッサ王国に到着した。


 「ダメですよ〜マリア先輩。

  女子寮は男子禁制ですからね〜」


 「む、あんたがそんな指摘するのは珍しいわね。

  やっぱり舞踏会で何かあったんじゃないの?」


 「ふふ、そうですね。

  初めて情熱的に怒られまして‥‥‥成長したんです。

  私でも思ったことは言ってもいいのだと学びました」


 そう言ったステラは目を瞑り、王族である自分に胸ぐらを掴んで捲し立てた人のことを思い出していた。


 これまでどこか遠慮していた自分の発言。王女として波風を立てないように取り繕っていた彼女には衝撃的な体験だった。


 王族である自分に真っ向から対立する人がいるのなら、自分自身の意見を言うくらい大したことないと思うようになった。


 「‥‥‥ふふ♪」


 そしてステラは妖艶に微笑む。アイトとマリアはそんな彼女を見てゾッとしていた。お互い別の理由で。


 「はぁ!? 誰よそいつ! 無礼にも程がある!!

  ちゃんと報いは受けさせたんでしょうね!?」


 (やっぱり処刑!? 反逆罪みたいなやつ!?)


 ステラに詰め寄るマリアと慌てだすアイト。それを見たステラは微笑む。


 「いえ、大丈夫です。早く戻りましょう〜。

  明日からは学園に顔を出さないと〜」


 「‥‥‥そうね。アイト、私はステラを送ってから

  寮に戻るわ。あんたも近いけど気をつけてね」


 「う、うん。それじゃあ」


 ガチめの心配をするマリアと小さく手を振って微笑んでいるステラに頭を下げたアイトは2人から離れていく。


 (やっと終わった早く帰りたい寝たい寝たい!!!)


 アクアに匹敵する睡眠欲を醸し出したアイトは男子寮に早足で向かい始める。ーーーだが、わずか数歩で足を止めた。


 (‥‥‥今帰ってきたんだし、今顔を出しておかないと

  失礼だな。たぶんみんなに心配かけてるし)


 アイトは、別の場所へ足を進めた。




 「おじゃましま〜す」


 王都南地区。


 アイトが訪れたのは一つの店。


 営業時間外なのか、どこか店内の様子が暗い。だが鍵が空いていたので無遠慮にドアを開けて中に入る。


 そして店内を眺めるが、誰もいない。


 アイトがそう思った瞬間、ドア裏に隠れていた1人の少女が目にも止まらぬ速さで短剣を振る。


 「っ!」


 だが次の瞬間、短剣を持っていた少女の右腕を掴む。そのままアイトの流れるように相手の体を引き寄せる。そして勢いよく投げ飛ばした。


 少女は店内の天井に足をつけて勢いを殺して体勢を立て直し床に着地。アイトは反撃しなかった。


 「‥‥‥ふんっ。さすがに今のでやられないか」


 「もちろん。舞踏会ぶりだな、ターナ」


 2人がニヤッと笑っているとーーー。


 「おかえりなさい、アイっ!!」


 突然大きな声を上げて飛びついてくる金髪少女。アイトは彼女を受け止めてそのまま抱きしめる。


 彼女はアイトにとって一番付き合いが長く、家族同然の存在。


 「ただいまエリス。1ヶ月半で少し大人びた?」


 「そうかも。あなたも、凄く大人らしくなったわ」


 「えっ!? そ、そう??」


 「それにオリバーから話は聞いたわ。さすがね」


 2人は抱き合い、お互いの顔を見つめたまま少し時間が経つ。


 「お兄ちゃ〜ん♡♡」


 アイトの背中に抱きつくのはまたも別の少女。


 「久しぶりミア、元気だった?」


 「お兄ちゃんが戻ってきてくれたから元気〜♡

  はぁ〜、久しぶりのお兄ちゃん‥‥‥♡

  おい金髪女っ!! 早くそこどいてっっ!!」


 「ミア怖いよっ!? 久しぶりレスタくん!」


 「レーくん、おひ、さし」


 声のした方を向くとまた別の少女2人が立っていた。


 「カンナ、リゼッタ!」


 アイトが2人の名前を呼ぶと両者と手をあげてハイタッチ。


 「あるじ、夏休みめんどかったー」


 そう言ったのは近くの椅子に座り込んだパジャマ姿の少女。


 「アクアはいつも通りだな‥‥‥」


 「アクアがこの時間に起きてるなんて、明日は大雪だ」


 短剣を持った少女がそう言うと、誰からともなく笑い出す。


 「さ、始めましょう!」


 エリスがそう言った途端、部屋に明かりがつく。


 周囲がはっきり見えるようになると、テーブルには豪華な料理が山のように盛られていた。


 「おおっ、すごいな!」


 「食べて食べて〜! レスタくんお腹空いてるでしょ」


 カンナに急かされて椅子に座ると、ミアが狙い澄ましたかのように右隣に座り、エリスが左隣に座る。



    「それでは改めて‥‥‥おかえりなさいっ!」


    「「「「おかえりなさい〜!!!」」」」



 エリスの掛け声と共にみんなの声が響き渡る。別の言葉を話す人も若干名いたが。



         「うん、ただいま」



    アイトは満面の笑みで大きく返事をした。



   こうして、アイト・ディスローグは帰ってきた。



 だが、彼には皆に会いたいのにどうしても言えないことがあった。


 (言えない‥‥‥実は()()()成長してるなんて!)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 アーシャが悪意のある実力の見せ方で魔物狩りを行った次の日。修行2日目。


 魔物狩りを行った森の中央。


「さ、これから本格的に修行するわけだが」


 そう言って木剣を手でクルクル回すアーシャ。だが突然木剣を地面に置く。


「おいアイト。これを持ってろ」


 するとアーシャは突然アイトの近くまで寄ってくると、その辺に落ちていた石ころをアイトめがけて投げる。少し驚きながらもアイトはその石ころを掴んだ。


「え? なんで」


「いいから、いいか???」


「はひっ」


 言うことを聞く以外の選択肢がないと悟ったアイトはアーシャに渡された石ころを握る。するとアーシャはこう呟いた。


「魔燎創造 『常世現世とこようつしよ』」


 すると半径30mまで円状の空間が広がっていき、空間内の景色に異変が生じる。アイトは驚きで声が出なかったが、とりあえず空間の境目まで走って外を確認した。


「っ!? おそくなった!?


 そんな声を上げた。彼の目には、空間外の木に留まっていた鳥が、何秒もかけて飛び立つ光景が映っていた。翼のはためきを目で追えるほど遅い。


 対して空間内の景色は、色が消えていた。自分とアーシャを除いて。まるでここだけ虚構であるかのような錯覚に陥る。


 まさしくここは「この世」か「あの世」か。どちらか判断できないほどな不明瞭感。


「はっ???」


 アイトがこんな反応をするのは無理もない。まるで空想のような世界が広がっているのだから。


「さっ、始めるぞ〜」


「ちょちょちょっと待って!?」


 アイトは手をブンブン振って、無理やり話を切り出す。


「なんだ、早くやるぞ」


「せ、説明!! 説明求む!!!」


 めんどくさそうな反応をするアーシャに対し、アイトは引き下がらない。さすがに説明してくれないと意味不明な今の状況に頭がパニックになるからだ。


「空間内の時間を速めた、以上」


 アーシャは、さらに現実離れした今の状況を簡潔に説明した。


「はぁ!? ていうかなんで俺は色が落ちてない!?」


「私の魔力がこもった石ころを持ってるだろ。私と同じ魔力を持つものは私の魔燎を通り過ぎるんだよ。透明みたいにな」


「はい!?」


 アイトは全く意味が分かっていないが、シャルロットの説明は続く。


「魔燎とは魔力を瞬間的に燃やすことで作る上位互換のようなものだ。だから基本的に魔力と似ている」


「は、はぁ」


「もし私の魔力の籠った物を持ってなかったら、お前は今頃時間設定のズレに耐えられず、精神が崩壊してた‥‥‥と思う。詳しくは知らん」


「っ!? こ、怖ぁぁ!!!」


 恐ろしいことを淡々と述べたアーシャ。


「なぜかわかってると思うが、夏休みだけだと時間が全然足りない。だから時間を速めた」


(外側が遅くなったわけじゃない。俺のいる内側が速くなって外が遅く見えるのか!)


 聞きたいことはそれだけじゃない。アイトは他にも質問する。


「ど、どれくらい早めた!?」


「外が等倍だから、ここは約6倍ってとこだ」


「ろ、6倍!? 外で1ヶ月ってことは、半年!?」


 アイト、アーシャの修行期間は1ヶ月じゃない。6ヶ月だったのだ。


 だからエリスに「凄く大人びた」と言われて、かなり焦ったのだ。半年分身長も伸び、心身ともに成長しているのだから。


「それがひとまずお前を配慮しての限界値。こういう時、融通が効く魔燎創造は便利だな」


「それ!! 魔燎創造ってなんですか! 教えてくださいアーシャ!!」


 彼女の口から次々に語られる新情報に質問攻め。アーシャはめんどくさそうに説明した。


「うーん、さっき説明した魔燎を大量に消費することで独自の空間を作り出す‥‥‥みたいな。あれ、他になんか言ってたような‥‥‥ま、いいか」


「よくない!!」


「あと自己を強化して素質を引き出す魔力解放とは対極にあるってあいつが言ってたような‥‥‥」


「! 魔力解放って‥‥‥!」


 アイトは以前ルークが使っていたことを思い出す。これはさらに詳しく聞かねばとアーシャに詰め寄る。


(習得できれば、ルーク王子に対抗する切り札になるかもしれない!!)


 ルーク・グロッサと戦うことになるかもしれないという最悪の事態を考え、アイトは戦う力が欲しかった。


「どうやってその2つは習得できる!?」


「まず修行ではどうにもならない。とりあえず運は必要。あと経験? 体験? まあ限られた奴しか習得できないって話がある」


「運!?」


「もし自分がその限られた者だったとして、その瞬間が訪れた時に()()()()()かどうか?」


「何それ!? わからんってもっと詳しくーーー」


「っ〜〜〜しつこいッ!!」


「ヴォェッッッ」


 質問攻めで痺れを切らしたアーシャの右拳が鳩尾にめり込み、吹き飛ばされるアイトだった。



 こうして普段の6倍も時間経過が速いアーシャの魔燎空間内で、半年間(通常時間では1ヶ月)修行したのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 回想が終わり、エリスたちと再会した翌日。


 (あ〜、昨日は楽しかったな〜♪)


 昨日の悩みは何処へと言わんばかりに、おかえり会の余韻に浸っていたアイトは頬を緩ませたまま学園に向かう。


 「‥‥‥あっ!」


 「‥‥‥アイくんっ」


 アイトが門の前にいた1人の少女に気づくと、相手も気づいたのか一目散に駆け寄ってくる。薄桃色の長い髪が風で靡いた。


 「シロア先輩! 久しぶりで、す?」


 「‥‥‥(ギュ〜)」


 「あ、あの先輩っ?」


 1ヶ月半ぶりの再会。久しぶりに会えたシロアは思わずアイトを抱きしめてしまった。


 (懐かしいな、シロア先輩との修行)


 アイトの方は、およそ半年以上会えていなかったことになる。懐かしむのも無理はなかった。


 「‥‥‥(ハッ! ペコペコッ)」


 自分の行いに気づいたシロアはボフッと顔を真っ赤にして瞬時に離れ、何度も頭を下げた。


 「‥‥‥あの、アイくん。今日から、いい‥‥‥?」


 「? 何がです?」


 「‥‥‥とっくん」


 シロアは少し頬を膨らませてムッと目を細めていた。これまで放課後は定期的にランニングを行っていたのを忘れたのか、と言わんばかりの表情。


 「あ、特訓ですね! ぜひやりましょう!」


 「‥‥‥(グッ!)」


 胸の前で握り拳を作ったシロアを見て、思わず笑ってしまったアイト。1ヶ月半前(アイトからすれば半年前)の日常、シロアとの特訓にまた懐かしさを感じたのだ。


 「‥‥‥(?)」


 「さ、行きましょうか」


 こうしてアイトは首を傾けるシロアと一緒に登校した。



 「‥‥‥そういえばレスタを討伐する部隊に

  入らないかって、マリア先輩から聞かれたんだけど」


 「ーーーん? 姉の戯言じゃないですかね?」


 無垢な彼女に笑顔で真実を捻じ曲げながら。




 「こちらメリナ。代表が学園に来た。

  今日から準備を進めていいと思う」


 その様子を隠れて見たのは三つ編みおさげの茶髪でメガネのいかにもな格好をした少女。彼女は小声で魔結晶に話しかけている。


 学生として学園に潜入しているエルジュ精鋭部隊『黄昏トワイライト』No.10、メリナの存在に、アイトは気づいていない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「アイトっ!! お前なんで休んでたんだよ!

  大丈夫なのか!?」


 その後すぐに教室に向かうと、ギルバートたちが駆けつけてくれる。だがしばらく学園を休んでいた事情を話すとしばらく笑われることになる。


 午前の講義が終わり、午後。


 「1ヶ月後には『魔闘祭』があります。

  その出場メンバーを今週中に決めたいと思います」


 先生の報告にクラスのみんなが声を出して喜ぶ。


 「魔闘祭は『同盟国交流戦』の

  代表メンバー選考に大きく関わります。

  みなさん、がんばりましょう!」


 『魔闘祭』。グロッサ王立学園の行事で1番盛り上がるといっても過言ではない行事。


 魔法や武術、体術などを含む戦いに関する全ての能力を駆使して全学年、クラス別で競い合う。


 5学年もあり時間がかかるため、3日に分けて行われる大規模なものである。


 そして、気になったことを隣の席のギルバートに質問した。


 「なぁ、『同盟国交流戦』ってなんだ?」


 「はっ!? お前それも知らねえのか!!

  いいか、『同盟国交流戦』ってのはなぁーーー」


 ギルバートの嬉々とした説明を聞いて、アイトはわかりやすく自分の頭の中で簡潔にまとめた。


 『同盟国交流戦』。


 グロッサ王国と同盟関係にあるアステス王国、両国の代表選手を学園から選出し、交流を深めて互いを高め合う伝統国際行事。


 同盟国の優れた選手を見ることで自分を見直す機会を得るし、ギルドや軍、貴族など将来有望な人材を知ることができる機会でもあるのだ。


 学園の生徒にとっては代表選手に選ばれるのは名誉なことで誰しもが選出されたいと考えている。そのため『魔闘祭』は毎年凄まじい熱狂を生む。


 「だからって、『魔闘祭』の競技場がデカすぎんだよ。

  どれだけ国にとって利益になるか分かってんだよな」


 ギルバートが苦笑いを浮かべる。


 当日は少し離れた山の近くに作られた競技場を使う。設備も万全で彼の言う通り、グロッサ王国の力の入れ具合がよくわかる。


 (前世での体育祭みたいなものか。

  数百倍デンジャラスになりそうだけど)


 アイトは想像もつかない行事に想いを馳せながら、種目決めの様子を眺めていた。


 種目は全部で10種目。


 ・男子100m走(魔法使用禁止)

 ・女子100m走(魔法使用禁止)

 ・武術男子の部(魔法使用禁止)

 ・武術女子の部(魔法使用禁止)

 ・男女混合選抜リレー(魔法使用禁止)

 ・玉入れ(魔法使用許可)

 ・障害物競走(魔法使用許可)

 ・バトルボックス(魔法使用許可)

 ・マジック・ガン(魔法使用許可)

 ・クラッシュボール(魔法使用許可)

 ・エリア・ペネトレイト(魔法使用許可)


 正直アイトは変装した姿レスタでなら本気で挑むが、素顔を晒した状態で全ての力は見せたくないと今でも思っている。アイトの本来の目標は将来平穏に生活することだからだ。


 これまでは学園の生活という点に於いては、なんとか平穏を保っている。


 そのため、特に身体能力や魔法の点で目立つ可能性を懸念していた。


 次々に種目が埋まっていき、残りが少なくなっていく。アイトは消去法で団体種目に出場しようと考えていた。


 「なあ、下の4つの種目ってなに?」


 アイトはギルバートに話しかける。明らかに聞き慣れない競技名がズラリと並んでいる。


 「はあ!? お前、知らねえのかよ!

  この4つが『魔闘祭』で有名なやつだぞ!」


 アイトはギルバートに4つの種目について教えてもらった。


 『バトルボックス』。


 指定された透明な巨大立方体の中で、出場者同士が戦い最後の1人になるまで続くサバイバル。倒れた者から下の順位がつけられ、それは魔結晶で試合を観察している審判が厳重に判断する。


 『マジック・ガン』。


 2人1組の競技。1人は魔法でボールを操作し、もう1人は銃で相手のボールを打ち落とす。対戦相手のボールを破壊すると勝ち。ボールを操作する側、つまり魔法の技術が勝敗に直結する。


 『クラッシュボール』。


 ボールに魔法を付与していいこと以外のルールは現代のドッジボールとほとんど変わらない。出場人数は8人。



 『エリア・ペネトレイト』。


 広大な森の中に自陣と敵陣を設置され、相手のエリア内に3人が入るか全員をKOすれば勝利となる。出場人数は4人。


 「なんと言っても花形は『エリア・ペネトレイト』だ。

  得点がデカいってのも理由だが

  先生が言ってた『同盟国交流戦』の選考に

  よく挙げられる種目なんだよ」


 「へぇ〜そんなにすごい競技なのか」


 「おうよ! 1番盛り上がるってのもあるぞ!」


 (それだけは絶対出たくないな。

  消去法で玉入れか『クラッシュボール』かな)


 おおよその候補を決めたアイトは狙いの種目が話し合われるのを虎視眈々と待つ。


 「それじゃあ、先に『エリア・ペネトレイト』から

  決めます。だれか立候補は?」


 多くの生徒が一斉に手を挙げる。その中にはギルバート、クラリッサも含まれていた。


 「ん? アイト、お前出ねえのか?」


 「遠慮しとくよ」


 「もったいねぇな。ま、仕方ねえか」


 その後も議論が続き、4人の中にはギルバート、クラリッサの2人が入ることになっていた。


 結局、アイトは『クラッシュボール』のみの出場になった。


 クラリッサ、ポーラも『クラッシュボール』に出場する。


 そしてギルバートは他に『バトルボックス』にも出場することになる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 王都南地区、『マーズメルティ』。


 「今日も繁盛はんじょう〜! 忙しかったね!」


 カンナが片付けをしていると、掃除をしていたリゼッタが「うん、うん」と相槌を打つ。


 「ずっと営業してなかったら怪しまれるわ。

  しかも近日中にはまた休店することになる」


 エリスがレジ打ちをしながら話すと、カンナはハッと驚いた。


 「そうだった! カイルたちにも招集かけてたよね!

  久しぶりに黄昏トワイライト全員揃うんだ〜!」


 「これまでの中で最大の任務になるかもしれない。

  アイの足を引っ張るわけにはいかないもの。

  ()()()行事前に公国から帰ってきた。

  何か意味があるのよ。彼の意思に応えないと」


 「ラジャ〜!」


 こうして、エリスたちも裏で何か動き始めていた。


 アイトはいつもながら、全く知らない。

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