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なんなのですか‥‥‥?

 小さな森。


 遠くの空に、黒い光が突き抜ける。


 「な、なんですかあの光ぃぃぃ!!?」


 ミストは何がなんだかわからずに思わず叫んでしまう(いつも叫んでいる)。


 「あれを使ったか。あっちも面白そうだなぁ!!」


 元ルーンアサイド、『撃墜』のデストが嬉しそうに木を蹴り、その上にいるミストごと揺らす。


 「はぁ、はぁ! いい加減にしてください〜!!」


 ミストは別の木に飛び移ると、デストはそれを読んでいたかのように跳躍する。


 森の地形を生かしてデストを暗殺する。ミストにはそれしか方法がなかった。


 「ラァ!!」


 鋭い声と共に放たれるデストの飛び蹴りを顔一つ分なんとか躱し、ミストは体を半回転させて短剣を滑り込ませる。


 「おせえ!!」


 だがデストは後ろ手にミストの手を掴むとそのまま地面へ投げつける。


 「ひゃあぁ!!」


 背中に衝撃を受けたミストは声を上げ、迫り来るデストの踵落としをバク転で回避しながら針を投げる。


 「驚いてるやつの動きじゃねえな!」


 笑いながら指で針を掴んだデストは投げ返そうとミストに視線を向けーー。


 「ん? まったく、暗殺者ってのは隠れたがりか」


 デストがため息をついて頭を掻く。視界からミストが消えていた。


 暗く小さい森の中、木々を飛び回る小さな音。それはひどく不気味に微かに響く。


 その音を切り裂くように針が無数に飛ぶ。


 「めんどくせえな。早く出てこいよー!」


 デストは一歩も動かずに針に対処し、上を見て話しかける。


 森の中を飛び回るミストに聞こえるように。


 ダンッ。


 どこかで何かを踏み込むような音。


 水色髪を揺らし、小柄な少女がデストヘ飛び込む。


 「ははっ! 背後からじゃねえのか!」


 ミストは、あろうことかデストの真正面へと飛び込んだのだ。頭からデストへと急降下するミストは右手には短剣を、左手には針を3本持っていた。


 「ほらよっ!!」


 デストは手に持っていた針をミストへと投げ返す。


 「ひょわっ!?」


 ミストは驚きながらも、持っていた()で弾き飛ばした。


 「っ! 短剣じゃなくて針で防ぐたぁ、器用な奴だ」


 今のミストは両手に肘までのイブニンググローブをつけている。手が覆われた状態で針を弾いてみせた。デストが少し驚くのも当然である。


 ミストは急降下したままデストへと迫りよる。


 「へっ、来いっ!!!」


 デストはニヤリと口角を上げて待ち構える。ミストの攻撃を対処し、反撃するための構え。


 対してミストは右手に持った短剣をそのままデストヘ向けて突っ込んでいく。


 当然、それを見たデストはミストの右腕を掴んで止める。そして腕を振って投げ飛ばそうとーー。


 「んうっ!!」


 だがその前に、ミストは左手の針をデストの左腕に突き刺そうと試みる。反応の速さからして、おそらく掴まれることを読んでいたのだろう。デストの腕まで、みるみる距離が縮んでいく。


 そしてこの後、彼が自分の右腕を掴んでいる手を離した瞬間に短剣を心臓へと抉り込ませる。それが彼女の狙いだった。


 「ひゃわっ!?」


 だが、ここでミストにとって予想外のことが起こる。


 デストはミストの腕を掴んだまま急に腰を逸らす。その勢いが掴まれたミストにも影響し、グンッと引っ張られる。


 「おらよっ!!」


 その直後、宙返りするかの如く地面から這い上がってきたデストの右足がミストの腹に直撃する。サッカーのオーバーヘッドのような形でミストは近くの木へと蹴飛ばされた。


 背中から木に激突し、小さな呻き声を漏らすミスト。その瞬間をデストは逃さない。


 体重の乗った踵落としを放つ。ミストは地面についた手を押し込んで前転しギリギリ回避。だが次にはデストに蹴り上げられ、浮いた所を殴り飛ばされた。


 少し離れた木に激突したミストは血を口から漏らす。頬と腹がズキズキしている。だが彼女は細目でデストを睨み続けていた。


 「はぁ。せっかく暗殺者の大好物、森で戦ってるのに

  全く面白くねえ。腑抜けたんじゃねえのか?」


 一瞬で詰め寄ったデストはミストを殴り、蹴り飛ばす。


 右ストレート、左フック、右回し蹴り、左蹴り上げ。ミストは呻き声を上げるが反撃できない。目を逸らしたくなるほどの痛々しい光景。


 「おいっ。もう、終わりかよっ!!」


 デストの左ストレートがミストの左頬に直撃。吹き飛ばされたミストは木の幹に背中から激突し、そのままもたれかかるように倒れ込んだ。


 「おーい! 起きてるか! 聞こえてるかー!?」


 「‥‥‥」


 ミストは顔を下げたまま何も反応しない。それを見たデストは残念といった感じでため息をつく。


 「はー、もう聞こえてねえかもしれねえが、

  俺はお前の部下だったんだぜ?

  お前が俺のこと知ってるように、

  俺もお前のことを知ってる。

  ま、お前は俺のことをそんなふうに

  思ってなかったかもしれねえけどな」


 「‥‥‥」


 「おーい、起きてるかー? おーい!」


 全く動く気配がない。もう終わりか、そう悟ったデストはこれまでの中で1番大きなため息をつき、視線を戻す。



           ーーーました。



         「ーーーっうおっ!?」


 気づけばデストは首を傾けていた。短剣が首筋を掠め、その先に少女が飛び込んでいたのが見えた。


 「速えじゃねえかっ! ミストぉ!!」


 振り向いたミストは右手の短剣を逆手に持ち直し、腕をしならせて急角度で短剣を這い寄らせる。


 「見たことねえ動きだなっ!!」


 デストは自分の首に這い寄ってくるミストの右腕を掴む。()()()()()()()()()右手を。


 「左っ、持てたのかっ!」


 ミストが左手に持ち替えた短剣を振り、デストの左腕を突き刺す。


 ミストは掴まれる直前に右手の短剣を手放し、一瞬で左手に持ち替えたのだ。


 「っ! やるじゃねえか!!」


 デストが足を振り上げるとミストは身体を横へ半回転させて回避する。それと同時にデストの左腕から短剣を抜き取って距離を取る。


 デストはすぐに動こうとはしなかった。これまでとは異なる気配、いやーーー。


 「おいおい‥‥‥幻じゃなかったんだなっ!!」


 「な、何がですか‥‥‥? 意味がわかりません」


 左手に短剣を持ったミストはどこか嫌そうな顔をする。その顔は、さっきまでのミストと明らかに違う。


 「痛っ、やっぱり短剣持つのは大変ですね‥‥‥」


 顔を顰め、落ち着いた様子で短剣を右手に持ち直すミスト。表情もどこか暗い。そして大声を出したり、泣いたり、叫んだりはしない。


 「わっ、危ないじゃないですか」


 デストが投げた針を首を傾けて躱したミストは静かに呟いた。


 「やっぱりだっ! こうじゃなきゃなあ!!」


 デストは、まるで夢が叶ったかのように嬉々として笑う。


 「痛いし、疲れてきたんで早く終わらせたいです‥‥‥」


   これが、かつて『残虐』と呼ばれた彼女の正体。



    ただ、痛みと疲労で反応が悪いだけである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 (やばいな。どんどん魔物が強くなってる)


 アイトはすでに150の魔物たちを討伐していた。召喚からの時間を考えるとかなりのハイスピードだが、決して楽に討伐してきたわけではなかった。


 ゴブリンやオークは知能も力も低いため瞬殺できるが、耐久性があるオーガは手間がかかるし、そして何よりーー。


 (うわっ、シロア先輩と戦った時のやつと似てる!!)


 魔族を倒すにはそれ相応の時間がかかる。一匹で一国を滅ぼすとされる上級魔族はまだ召喚されてない。


 だが今召喚されている下級魔族が束になっているため、アイトは少し苦戦していた。


 そして気づく。ゴブリンやオークといった低級の魔物の召喚頻度が下がってきていること、それに反比例するかのように手強い魔物の召喚頻度が上がっていることに。


 「【ブラックソード】」


 愛剣である『聖銀の剣』の剣身を黒く染めた直後に回転斬りで周囲の魔物を切り刻む。前に出ていた魔物たちは絶叫を上げて倒れ込んでいく。


 (そろそろステラ王女たちは離れただろうし、

  敵も強くなってきた。もう迷うことはない!)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 小さな森。


 「っはぁ!!」


 「ひゃ」


 デストの右足による鋭い薙ぎ払いをミストは跳躍して躱し、流れるように踵落としを腹にめり込ませる。


 「っやるじゃねえか!!」


 デストが嬉しそうに、彼女の足を掴もうと右手を伸ばす。だがミストはそれを読んでいたかのように宙返りして再度デストの右手を蹴り飛ばした。


 蹴られた右手が伸びきると同時にデストは笑った。ミストはそれを見て一瞬で距離を取る。それを針を飛ばしながら。


 「強えなおい!」


 デストは右手を地面について勢いよく起き上がりミストを飛び越えて、そのまま距離をとる。


 「ほ、本当にしぶといですね‥‥‥はぁ」


 暗い表情のまま静かにため息をつく少女。普段の彼女とはまるで別人。他人から見れば冷酷に見えるかもしれない。


 ただ、実際は疲労でテンションが低いだけ。




 ミストの持ち味は暗殺技術と戦闘での計画性。先を読んで行動し、ただ致命傷を実直に狙う。


 だが、極度のビビりと叫び癖で落ち着きがない。それは当然、彼女の持ち味にも深く影響する。


 いわば足枷である。全快状態が彼女の全開とはいえないのだ。


 だが、そんな足枷を背負っている普段でも組織の序列第9位である実力者の彼女。


 そして皮肉にも、全快状態からかけ離れた疲労蓄積状態である時こそ、彼女は真の力を発揮する。


 普段は持ち合わせない冷静さ、引き上げられる分析能力、そして何より実行しうる度胸。


           【疲労モード】。


 そんな全く捻りの無い技名を、後に知ったカンナに命名されることをミスト本人はまだ知らない。




 その後も、【疲労モード】に入ったミストはデストと互角以上に渡り合う。デストは致命傷になり得るミストの短剣や毒が塗られた針は回避するが、ミストの蹴りを回避する余裕がない。


 「ふうっ」


 そんな声と共にミストの後ろ蹴りがデストの左脇腹を捉える。デストの左腕は彼女が刺してから一度も動かない。それを狙った一撃だった。


 「うぐっ!?」


 脇腹を押さえたデストは後退する。今は確実にミストの方が押していた。


 「はあっ、はあっ。はぁ〜キツいですね‥‥‥」


 だが、度を越えた疲労が身体に影響を及ぼし始めていた。ある程度の疲労によって真の力を発揮する。逆に言えば疲労が溜まっているため限界は必然的に近い。


 「ふぅ〜。そろそろ終わらせたいです、いたっ」


 ミストは呼吸を整えて短剣を左手に構える。負傷した左手で持ったため少し顔を歪めながら。それを見てデストは笑い、右手をブンブン回し始める。


 「そうだな。至福と言えるこの時間は永遠じゃない。

  こんなに楽しいのはなかなか味わえないだろうなぁ。

  でも、そろそろ幕引きしようぜ」


 「早くかかって来てください。疲れました」


 「‥‥‥へっ! やっぱ組んでよかったぜ!!」


 デストがミストへ向かい走り出す。ミストも同様に走り出す。そして互いに手を伸ばせば届く距離になった瞬間ーーミストが短剣を右手に持ち替えた。


 (なるほど、そりゃあそうくるわな)


 デストの左手は動いていない。だから当然そこを狙うのは当然。ミストは正々堂々と戦うことに拘りなど一切ない。


 ミストの右腕が勢いよく伸び、短剣がデストの左胸に迫る。絶妙な距離と相当な速さ。対角線上にあるデストの右手が彼女の右腕を掴むより先に、ミストの短剣が届く。


 デストはそう判断し、一瞬だけ目を瞑る。それは、決して諦めからくるものではなかった。むしろその逆ーーー。


 (悪く思うなよっ!!!)


 「ーーーッ」


 ミストは右腕を掴まれたーーーデストの左手に。


 (動かさないのと動かせないのは全く別だぜ!!)


 デストは左腕を刺された瞬間、『これは使える』と悟った。


 短剣で刺されたことで溢れる血。その出血量は決して少なくない。人から見れば致命傷とも取れる負傷。


 その後は右腕だけでミストの猛攻に耐えてみせた。それによって彼女の意識に『左手は使えない』と刷り込ませるように企んだのだ。


 ニカッと笑うデスト。だがその笑みはすぐに消えた。


        ミストの右手に短剣がない。



         「わかってましたよ」



 ミストは無機質に呟く。まるでそれが当然であるかのように。


 短剣がクルクルと宙に舞う。ミストは右腕を掴まれる前に短剣を投げたのだ、自分の左手に収まるように。


 「ーーーまっ! お前はそうだよなっ!!」


 だが、それよりも早くデストは右手でミストの左手を掴んでいた。デストは頭の片隅に残していたのだ。ミストが自分の左手に気づくことを。


 掴む手を失ったミストは、目の前を過ぎる短剣をーーーー。


 「んむっ」


 「なにっ!?」


 咥えた。短剣の柄を咥えたのだ。ミストは首を伸ばして振り、咥えた短剣でデストの右手首を切る。


 「ぐっ!?」


 噴き出る血と共にデストの右手がダランと下がる。今度は演技ではない。全く動く気配がない。それはミストもわかっていた。


 なぜなら、彼女は本気で切りにいったからだ。確信しているのだ。自分が狙い通りに切れば確実に致命傷を与えられると。


 それは暗殺者としての、彼女自身の矜持である。


 (外さないっ!!)


 ミストは器用に口から左手に短剣を移し、彼の首へと突き立てーーー。


 「いたッ‥‥‥!」


 ミストの左手が僅かに逸れる。舞踏会前に負傷した左手で短剣を思い切り掴むことは出来なかったのだ。


 短剣は致命傷にはなり得ない、デストの首筋に刺さる。


 「っ! 命拾いしたぜっ!!」


 デストは掴んだ手で彼女の右腕を引っ張る。デストの胸に吸い込まれるように引っ張られるミスト。頭からデストに迫る。


 「っらぁ!!」


 その勢いにぶつけ合うように、デストは頭突きを繰り出すため頭を振りかぶる。


 今まで一度もしてこなかった、頭を使っての攻撃。


           「そうですよね」


 ミストは首を下に曲げて紙一重でデストの頭突きを避ける。


        「あなたを、信じてよかった」


 ミストは今も彼の首筋に刺さっている短剣の柄をーーー。


           「んうっ!!」


       口に咥え、首を横に振り払った。


            「ガッ‥‥‥」


 デストの首から大量の血が吹き出し、ゆっくりと身体を後ろは傾ける。


 近くにいたミストは染まっていく。ドレスも向日葵のような黄色に赤い模様が付き始める。


 「まさかっ、あれを、躱す、なんてな‥‥‥」


 仰向けに倒れたデストはゴホッと咳をすると血を口からこぼし、ミストを見上げていた。


 「たしか3年前くらいでしたか、その時に

  一回だけあなたが標的に頭突きしていたのを

  見ました。非効率な攻撃なので、印象にあります」


 そう呟いたミストが短剣を右手に持ち直す。


 「‥‥‥ははっ。俺の、勘違い、だったのかっ‥‥‥」


 「‥‥‥?」


 デストはとても嬉しそうだった。首を切り裂かれ、もうすぐ命が尽きると自覚しているにも関わらず。


 「『残虐』‥‥‥ここに、極まれり、か‥‥‥」


 「今は私、組織で『破魔矢』と呼ばれてます。

  序列第9位、『破魔矢』ミストって」


 「はっ、弓、そんなに使ってない、だろうが‥‥‥」


 デストはおかしそうにケラケラと笑う。喉が切られているため微かな声しか出せていなかったが。


 「そういえば、全然使ってませんね」


 ツッコミを入れられたミストは一瞬だけニコッと微笑む。


 その直後、深く瞬きをしてゆっくりと目を開く。何かを噛み締めて。


 「‥‥‥デスト、何か言い残すことはありますかっ?」


 ミストはしゃがみ込み、彼の胸元に短剣を構える。


 「‥‥‥無いっ。冥土の土産に、3()()もくれた。

  俺からも、やらねえとなっ‥‥‥」


 デストは必死に口を動かし続ける。


 「お前や、ターナと命のやり取りを、するために、

  俺たちは得体の知れない奴らと、手を組んだ。

  まるで、世界の闇っ、そのものだっ‥‥‥」


 「! それってゴートゥーヘルですかっ」


 「知らねえ‥‥‥名前は知らねえ。

  でも、奴らの幹部ってやつと、話した‥‥‥」


 「! 幹部‥‥‥ゴートゥーヘルの最高幹部!!」


 ミストへ目を見開いてデストヘ詰め寄る。今までにない貴重な情報を得られると直感した。


 「どんなやつですかっ!? 教えてくださいっ!!」


 必死なミストを見たデストは鼻で笑いつつ、話を続ける。


 「‥‥‥小せえ女だったなっ。だが、見てくれだけだ。

  対峙してわかった。『なんだ、この怪物』って。

  見ただけで、寒気がしたのは、

  もしかしたら初めてかもしれねえな‥‥‥」


 「小さい女‥‥‥」


 ミストが聞いた言葉を反芻すると、デストは目を瞑る。


 「気をつけろっ‥‥‥奴らはおかしい‥‥‥」


 「‥‥‥はい」


 返事を聞いたデストは笑う。


 「‥‥‥今ので1つ目。そしてこれで、2つ目だな。

  わりい、1つ足んねえけど、勘弁な‥‥‥」


 デストはミストが自分の胸に置いていた短剣を左手で優しく押し退け、懐から自分の短剣を取り出して胸に構えた。


 「!? なにをっ」


 「じゃあなっ。今までありがとよ‥‥‥ミスト」



          短剣が心臓を貫いた。



 左手がパタリと地面をつき、微動だにしない。残ったのは生暖かい死体と、その近くに座り込む水色髪の少女のみ。


 「‥‥‥本当に、あなたのことは最期まで

  わかりませんでした。なんなのですか‥‥‥?」


 気づけばミストは短剣を落としていた。それに続くように彼の亡骸へと落ちる水滴。それは赤ではなく、透明だった。



     「ーーーなんなのですかぁぁッッ!!!」



      少女は小さな森でただ1人、叫んだ。

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