悩み相談の場所(4)
いつもよりかなり短いですね……こればっかりはすいません。
本当、20日あったのにちゃんと書けてないことが問題なんですよね……。
事情を全て知ってくれているルーベンス先生だからこそ、か。
というかあの人は、転生人について誰よりも詳しく知っているフシがある。
別の世界から転生してきた人は、どこか自分を物語の主人公のように思っている。
あの人はそう言っていたし、ボク自身も、そう考えていても不思議じゃないだろう、と思う。
死んで、自分が望む能力を得て、別の世界で活躍できるよう、意識していない所で世界が都合よく変わってくれる。
その環境で調子に乗らない方がおかしい。
であれば、そういう物語の起伏になりそうなものは極力排除しておくために、事前に何かしらを伝えておこうとするのは当然だ。
それがボクにも適応された、というだけの話だ。
「じゃ、ボクがこうしてさっきの怪我を【呪い】で治療してても不思議ではないってことか」
【呪い】の逆転。
【呪い】を強めることで、以前ついた傷を再び開かせることが出来る。
それと逆のことをすることで、傷口を塞ぐようにするといった手法だ。
もちろん同時に、痛みを与える【呪い】を逆転させることで、痛みも感じないようにしている。
「えっ、それって【呪い】で出来るの……?」
「え、うん。少なくともボクは」
「いえ、それは知りませんわ……」
再び出たお嬢様口調は、咳払い一つで消えた。
「何よソレ。一体どうやるの?」
「どうやるって言われても……【呪い】を反対に使う感じ?」
「【呪い】を反対……?」
「がぁ……!」
なんか身体が急激にダルくなったぞ……!
「ってだからボクに実験感覚で【呪い】を使うな……!」
身体を全く動かしていないのにスゴい疲れてるぞ……!
「あ、ごめんごめん。良いモルモットがいると思って」
「それ謝る気がないやつ!」
「でもアンタ自身が言ったことなんだから、責任持って実験に付き合うべきだって、世界の誰しもが思うことじゃない? ってことは常識ってことじゃない?」
「本当に悪いと思ってなかったやつ!」
……まあどうせ、ボク自身が反対した【呪い】をボク自身にかければ、すぐにこのダルくなる【呪い】ぐらい解除できるんだけど。
「っていうかそんな便利なやつ、アンタしか使えないのか……。
……これも【呪い】による個性だって思うしかないのかな……?」
「え、リーサリスは使えなくていいの?」
「そりゃ、使えるなら使えるに越したことはないけど……。
前みたいに役立たずで終わりたく無いし、何より一人で活動するってなったら、やれることは多いほうが良いに決まってるでしょ。
あたしだって家に帰ってから、その周りで転生人が何かしてきたり、それ以外でも厄介なことが起きた時に身を守りたいもの。色々出来てたほうが対処もしやすいでしょ」
卒業した場合、この転生人の能力封印に積極的に参加させるつもりはないとルーベンス先生も言っていたが、こういうことだったのか。
【呪い】を悪用しなければ、後は制御方法さえ身につけてくれればそれで良い。
戦力として数えていないと言えば聞こえは悪いが……強制ではなく自主的に、この世界を転生人から守って欲しいのだろう。
この【呪い】という能力はそのためにあるのだから、ちゃんとした使い手の数を増やす必要がある、ということか。
「じゃあ、ボクで練習する?」
「え……?」
「学校ってのは、生徒同士でも教え教わるものなんだったら、別におかしくはないだろ?
ボクも自分のこの【呪い】の使い方を上達できるし、リーサリスもこの【呪い】の逆転を使えるようになるかもしれない。
これまでの【呪い】も、使って使われてを繰り返してきたんなら、やり方は変わらないと思うし。
どう? 悪い話じゃないと思うんだけど」
「…………」
ちょっとビックリしたような表情を浮かべた後、リーサリスは嬉しそうに笑みを浮かべて、うん、と頷いた。
「じゃあ早速、ちょっと思いついてる【呪い】の使い方するから。死なないようにしてね」
「いやその言い方お試しでするには威力デカいやつだよねっ!? まずはちょっとずつが普通だからっ!」