壊れた日々
僕は何も無い。あったものなら、全て彼女の死に顔と共に無くなった。だから僕には何も無い。それにいつもいつも部屋に籠っている。もう外へは出ないと決意して。
「やはり彼女の言った通りだった。」
人は理不尽だった。だから彼女は、僕のめに焼き付けるように死んでいった。それを、僕は見ているのしかできなかった。メンタルが弱い僕に対しての嫌がらせとばかりに、傷をえぐったのだ。
「僕は優しすぎたんだな。」
その一言しか言えない。暗がりの世界では、何もできない。でもそれが、僕だったのだとしたのなら僕は人一倍優しかったのだろう。それを壊したのもあの女の子なのに、僕は許せてしまうのだ。
「なんでだろうね。」
僕は問いかけるように話しかける。嫌これは話かけたのではない。なぜなら、彼の手には物を持っているのだから。その物体は汚ならしい物。その物体は形あったもの。それを、彼は持っているのだ。
「僕にはやっぱり君が必要だ。」
人は人生の中で何度も挫折する。でも、彼は違った。彼は順風満帆で、何もかもが上手く行くパーフェクトな人だから。でも、そんな彼でもいつかは運がつきる。
「僕を壊してくれたんでしょ。」
彼は、可愛い女の子に壊された。目の前で死に顔をさらされ、僕はもっと壊したくなってしまった。僕は、何度も死体を蹴りつけ何度も殴った。形の無いものになるまで。
「僕は壊れていたのかも知れないね。君に出会う前から。」
僕は彼女から取った髪飾りを、丁寧に持っている。まるで、この世には居なくなった彼女を愛し続けるように、死んでいったことすらねじ曲げるように。僕はそれを形見として持ち続ける。
「教えてくれてありがとう。」
あの事件は証拠も残さず綺麗さっぱり闇に葬った。それがいい刑事の人もこのことが知れれば俺が犯人だと突き止めてしまうが、僕が精神病のように振る舞えば、闇へと消えて状況証拠が役にたたなくなる。
それから数日後僕は妹に拐われる。
「まずは、お母さんから。」
私は台所にいるお母さんの首を、思いっきり閉めて一瞬にして気絶させる。それを見計らって、二階の階段の隣にある地下室を開けて頭から階段に落とす。
「一人目。」
後は帰ってきたお父さんを仕留めれば、お兄ちゃんとの楽園は持続する。だから、その夢のためにも私はお父さんを殺すのだ。
「ただいま。」
お父さんが帰ってきた。私は声の聞こえた玄関へと向かい。包丁を見えないように隠しす。
「お父さんお帰り。」
「今日は、お母さんじゃなくてお前か。」
お父さんは不服そうだが、今楽にしてあげるのだから、文句を言われてもその場で踏みとどまる。
「お父さん。」
私は後ろを向いた隙をついて、お父さんの後ろから手で口を塞ぐ。お父さんは口で何かモゴモゴ喋っているようだが、私は気にしないで続ける。
「あ、そういえばお父さんの部屋にこんなの落ちてたんだ。」
私はお父さんの目の前に、DVDを放り投げる。そのDVDを見て、お父さんは今、すごい顔をしているのだろう。私にはそれが好奇心の源だった。
「これをまさか。」
お父さんは私の手を振り払い。言葉を続けようとする。すぐに私は開けた口を閉じさせる。そして、猿ぐつわをお父さんに取り付ける。
「うるさい足だね。」
次に私はお父さんの太ももに包丁を突き刺す。お父さんはこれで歩けなくなった。だから私は、お父さんをおんぶで持ち上げ、地下室に運び込む。
「臭いね。」
私は異臭のする地下室へと、足を踏み入れて行く。地下室の階段を一歩一歩降りていく。それにつれて、お父さんの吐息も聞こえなくなる。足からの出血が止まらないからだろうか。でもこれで亡くなられても困る。だから私は、天井からぶら下がる手錠にお父さんを吊るす。
「お父さん。私は解剖したいの。」
お父さんからの質問は返ってこないが私は答える。
「それはね。お兄ちゃんのお父さんだからだよ。」
私は、ずっと喋り続ける。お父さんの安否等どうでもいい。これが聞こえているなら聞こえているでいい。だから私はお父さんを解剖する。
「それじゃあ、お父さん解剖開始ー。」
お父さんの背中側から切り裂いて行く。ゆっくりゆっくりと、人間でも食べられる部分を残しつつ、五臓を素早く取り出し私の衣服は血にまみれる。
「やっぱり思った通り。参考になるよ。」
どんどん人の体から取り出していく。美しい臓器が、人間の体からボロボロとこぼれ落ちるように出てくる出てくる。私は涎を滴ながらも、お父さんの体を解剖し続ける。
オチ○チンの中も解剖する。出てくるものはわかっているが、それでもやらなくては本当かどうかわからない。横から金の玉を取り出し地面へ置く。私の衣服が段々胃液で溶けていく。一度私は風呂に入ろうと思いつき、胃液をおとしに風呂場へ行く。
「やっぱり体って大事ね。」
私は体を良く胃液が落ちるように洗い流す。小さな胸が育たないかなと、思いながらも体を洗い続ける。思っていたより、私から涎が垂れていたらしく、体中が体液まみれだった。
これも私の生まれ持った性というものなのね。私は一人で風呂の中、興奮しながらも視界が悪いのを我慢して風呂から出る。
私はふろから出るとすぐに普段着へと着替えて地下室へと戻る。
地下室の中へ入ると、すぐに鼻につくような異臭が辺りを漂う。そして、すぐに地下に着くとお父さんの解剖に集中する。
「成果は得られたは。」
私は、あれから一時間二時間ぐらいお父さんの体を解剖した。結果人の臓器は美しかった。そしてどこにどれがあるのかもわかった。だから、食べられるところを抜粋して取り出し、冷蔵庫の中へと移動させる。
「死体、どうしよう。」
私は殺すのまではよかったのだが、その後を考えていなかったのだ。
「片付けるの難しいな。」
私は望に連絡をする。理由は簡単だ彼女も共犯だからだ。だから私は彼女に連絡して返事をもらう。そして死体処理に手伝ってもらうのだ。
「もしもし、望。」
『望だけど、どうした。』
「殺ったよ望。」
『わかった。電話した理由は私に死体処理を頼むんでしよ。』
「わかるんだ。」
『でも、条件がある。』
彼女は声だけのスマホでも、真剣な声音で話す。それは、私にしかできないことなのだと望の口調が教えてくれた。
「それで何。」
『明日会って渡すよ。』
私は明日望と会うことになった。お兄ちゃんと一緒の時間を邪魔されたくないのだが、私の恩人とも言える人だ。だから会うのは、そんなにも苦痛じゃなかった。
そして次の日
「これがあなたに渡すもの。」
玄関で段ボールを渡された。その段ボールはとてつもなく重く、女の子一人でやっと持てる程度の物だった。
「これは、何ですか。」
「これ、これは未完成のモーニングスター。」
彼女は、段ボールの中に入るそれの名前を私の告げる。私も小説とか読んでて、聞いたことはあったが、本当に実在する武器だとは思わなかった。
「私にこれを作れと言うんですか。」
「そうだよ。」
彼女は、私に段ボールを押し付け玄関から中へと入る。その行為は、私との交渉は成立したことを暗示している。
「モーニングスターなんてどこで売ってたんだか。」
「あーその事なら後で話すよ。」
彼女の後に着いていく私は、少し冷静で昨日人を殺めたとは思えなかった。自分でも、わからないほどの精神の強さだと私は思った。
「ここだね。」
「そうですよ。てか、望がここで殺れって言ったんじゃん。」
「ごめんごめん。」
彼女は手を合わせて、ケラケラと笑いながら地下室のドアを開けた。開け放たれたドアの向こうからは、闇が世界に放たれた。