俺と女神とチート交渉
短編ばっかり書いてます、長いのは難しいです
俺は女神の手違いで死んでしまった、元の世界に生き返らせるのは無理だが異世界に記憶を保持したまま転生なら出来ると言われた……………チートと共に
真っ白い空間に置かれたソファーに座り、俺は女神と対面している
「要するに、うっかり殺っちゃったけど詫び石やるから許せと?」
「なんですかそれは!その言い方だと私最低な人間みたいに聞こえるじゃないですか!」
「( ^ω^)・・・お菓子満載のトラックで轢き殺しといて最低じゃないとでも?」
「すいませんでしたー!」
綺麗な土下座を決める女神を俺はどうしようかと見下ろす
地球のお菓子にハマッてトラックいっぱいに買ったはいいけど、人前で転移するわけにもいかず、人目の届かない場所まで運転してる途中で俺を跳ねたらしい……それも助手席のお菓子を物色するという脇見運転で
同情の余地ないなこの駄女神
「とりあえず俺へのチートは別にして、俺の両親の幸福な余生は保障して貰うぞ」
「はいそれはもう、何不自由なく過ごせるように手配します」
土下座から媚びた顔だけ向けて言う女神……踏み付けたい
俺の冷たい眼差しに何を勘違いしたのか俺の対面のソファーに座る女神、いやいいんだけどね、目の前で土下座されっぱなしというのもウザイだけだし
「それでどんなチートにしますか?今回は大盤振る舞いで、大抵の願いなら叶えますよ」
「ん?今何でもするって言った?」
「言ってません!」
チッ、勢いで言質取れると思ったがそこまでバカじゃないか
「今舌打ちしました?」
「願いならもう決めてる、俺に創造神並みの力をくれ」
「アホですか!出来るわけないでしょう!」
絶叫する女神
「アホは女神のくせに脇見運転で人を轢き殺すあんただろ?」
「はいっその通りです!……でもそれは流石に私の力じゃ無理です」
やっぱり駄目か、だがこれは布石に過ぎない、最初に無茶なお願いを言うことで後のお願いを簡単な事と錯覚させるテクニックなのだから
伊達になろうは見てないぜ
「なら、邪魔な者を消せる力をくれ」
「邪魔な物をですか?」
ん?なんか上手く伝わって無い気がする、ちょっとファジーに言い過ぎたか?なら分かり易く説明してやろう
「ああ、例えばセルフのガソリンスタンドで敷地に入りきれないのに、渋滞興すのもお構いなしで車道で順番待ちしてる車とかを………ポチッと消せる力だ」
「それ独裁者スイッチですよね!駄目ですよ、あなた以外世界から消えそうじゃないですか!」
男なら誰でも一度は独裁者を目指すのに、それが理解できないとは
「なんで、フー┓( ̄∇ ̄;)┏ヤレヤレこいつは何も理解してないってリアクションなんですか?私が悪いんですか!」
「うん、トラックで脇見運転して…」
「はいっ私が悪かったです、すいませんでした!」
慌てたり怒ったり謝ったり忙しい奴だ……なんだろう、ちょっと楽しくなってきた
「もうちょっと穏便な力にしてください、ほら、全ての魔法スキルがマックスとか剣術スキルがマックスとか」
半ば泣き顔で女神が提案してくる
「そういうのは成長させるのが楽しいんであってだな、どうせなら成長限界無しで成長速度百万倍とか」
「……それ神を超えますよね?」
疲れ果てた顔で言う女神に俺は拳を突き上げ宣言する
「目指すはイアイアハスター超え!」
「SAN値ピンチ!」
明るく話す俺に、泣き崩れる女神……うん、やっぱり楽しい(暗黒微笑)
もうチートとかどうでも良くなってきて、次はどんな感じでイジメようか考えてたら、女神が目を腫らした顔を上げた
「ひどいです……今までチートを授けた人たちはみんな良い人達だったのに……」
その言葉を聞いて俺は愕然とする……
「………………お前……轢き逃げの常習犯だったのか!」
「違います!不幸にして死んだ子達に授けてたんです!」
ビックリしたー、こいつならやりかねないと思ったから、本気でドン引きしてたわ
なんか女神が俺をジト目で見てる
「そんな勘違いするとか、私の事どういう目でみてるんですか」
「墓穴もしくはブーメランの女神」
つい即答してしまう俺
「……とにかく、昔私が転生させた子はみんないい子だったんです」
あっスルーしやがった、どうでもいいけどこっち向いて話せよ
「因みにその子達はどんな人生を送ってるんだ?まさかチートやったのに監視してないなんて事はないよな?」
一応釘を刺とく、異世界がどんな世界か知らないが、チートや現代知識で独裁者にでもなってたら生き難いだろうからな
「それなら勿論してます、みんなあなたと違って平穏に生きるのが望みみたいで、平和に暮らしてますよ」
「軟弱な奴等だな、俺なら頼まれてもいないのに魔王倒しに行って成り代わるのに」
「そんなの望むのはあなたぐらいです!」
いや結構居るだろ?人間の王様は固苦しそうだから嫌だけど、魔王なら好きにできそうだし、なりたい奴居るだろ
「ただ……」
「ただ?」
女神が顔を伏せて言葉を紡ぐ、何?そいつら何かやらかしてんの?
「……何故か全員ハーレムを築いてるんです……」
「……………お前の選別基準って性欲の強さか何かか?」
「違います!」
真っ赤な顔で否定する女神、おいおいそんなにムキになるなよカワイイじゃねーか
「他の神々から、色欲センサー持ってるとか思われてたりして」
「なっ!そんな事は…………えっでも………まさかあの言葉…………でも……………うそっ…………」
心当たりあるんかい!絶望した顔もそそるが、どうせなら俺がさせたかったな……ふむ、決めた
「願い事きめたぞ」
「どんな願いですか?お願いですからまともなのにしてくださいよ」
恐る恐ると聞いてくる女神、安心しろ古くから使われてるネタだ
「俺の願いは……お前のような女神とずっと一緒に居たいだ!」
「やですよ!なんであなたみたいな人と一緒にならなきゃいけないんですか!」
涙ながらに拒否すんなよ傷付くだろ、まーしょうが無いか、出会ってからイジメてしかいないからな
だが俺は諦めないぞ
「なら神に成れる素養と不老長寿をくれ、異世界で修行して戻ってくるから」
「…………邪神になったりしませんよね?」
失敬な、俺のことをどう思ってるんだ
「どうせ監視するんだろ?邪神になりそうだったら俺を殺せばいい、だいたい邪神になるよりお前をイジメる方が楽しいから成る気は無いぞ」
「その言葉に私が安心できる要素が全く無いんですが!」
「言っとくがもう願い事を変える気無いから、断るならずっとここで…………それもいいな、修行する手間が省けるから」
「あげます!あげますから、さっさと転生して下さい!」
クソしくじった、地道に修行して戻って来るしかないか
テキパキと俺にチートを授け転生の準備をする女神、次第におれの体は光に変わり何処かへ落ちて行く
「あっひとつ聞き忘れてた、彼氏居るの?」
「え?…………居ます!ええ勿論居ますとも!私みたいに素敵な女神に居ない訳ないじゃないですか!だから私の事は…」
「やっぱり居ないんだ、じゃあ頑張って戻って来るから期待して待っててくれよ」
「話を聞いて下さい!」
それが現世で彼女と話した最後の言葉だった、完全に光へと変わった俺の意識は途絶えた
転生した後に気付いたんだが、俺この世界の説明もチートの説明も受けて無い、試しに女神に説明プリーズと念を送るが返信が無い……試行錯誤するしかないか
と思って1年間色々やってたら天使がやって来た
「あなたが主が言ってた人間ですね……デカっ!なにこの魔力量!」
「やりゅこちょないかりゃ…」
『生後1年だからまだ言葉が上手く喋れないんですね、心で思えば伝わりますよ』
『助かる、魔力は赤ん坊で自由に動けないから、異世界転生でよくある魔力量は使い果たせば増えるを実践してたらこうなった、比較対象が少なくて不安だったけど、やはり多いのかこれ』
『多いなんてもんじゃないですよ、やっぱり神の素養が……』
こいつ何しに来た?というか天使だよな?まさか意地悪し過ぎたから女神が刺客を放って来たのか?
『で、あんた誰だ?言っとくが邪神になる気は無いからな』
『安心してください刺客じゃないですから、私は見ての通り天使です、あなたが一人前の神になれるようにサポートに来ました』
『心読まれてるのか、便利でいいな。それにしてもサポートって……いいのか?俺かなり女神から嫌われてると思うんだが』
『嫌われてなんかいませんよ、初めて告白されたのが余程嬉しかったのか毎日ソワソワしながらあなたを見守ってますから』
あれで嬉しかったって……今までどれだけモテてなかったんだ、あの女神
『顔はいいんですけど……喪女歴が長すぎて、男性と話すとキョドるんですよ……だから今まで転生させたのも子供ばっかりで、ショタ疑惑が浮上してたぐらいです』
何か猛烈な抗議が聞こえて来た気がしたが、気のせいだな……クックック、この天使もしかして
『天界の男どもは見る目がないな、あんなに弄り甲斐があって泣き顔がそそる女性はいないだろうに』
『そうですよね!軽いジョークにも大慌てする姿の可愛さをみんな分かってないです!』
『……キミとは最高のパートナーになれそうだ』
言って小さな手を差し出す俺
『私が全力でサポートします、早く神になって一緒に女神様をイジメ……愛でましょう!』
ガシっと握手される熱い友情、ここに新たなタッグが生まれた
後世で史上最悪な教皇と呼ばれながらも、自身を神の化身として信仰を集め、多くの国で弱きを救い強きをイジメ、魔物の領域を押しのけ平和をもたらせた救世主……何故か魔族からの信仰が多かった男と
常に彼に寄り添い、遍く奇跡で世界を面白おかしく彩った天使
《困った顔の女神様カワイイ教団》の発足の瞬間であった!
『色々知りたいことは多いけど、まず最初に聞かなきゃならない事がひとつある』
『なんですか?』
『女神の名前を教えてくれ』
知らなかったんかい!と突っ込む天使を他所に俺は念を送る
女神よ見てるんだろ?待っててくれよ、俺は修行して必ずお前を迎えに行くからな……まー修行の途中で何故か魔王になったりするかもしれないが気にせず見守っててくれ
どこからともなく慌てた思考が飛んでくるが聞きとれない、でも見守ってくれてるのは確信できた、なら頑張れる、待ってろよ女神
もっと女神さま成分を詰め込みたかった