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企画「ひだまり童話館」参加作品

お腹

作者: 奈月ねこ

 ころころころ


 うう、まずい。トイレに行きたい。

 僕は多田野ただのすぐる。小学校三年生になったところ。実は僕はトイレが近い。でもどうしても言い出せない。


 ころころころ


 ごろごろごろ


 まずい!


 キーンコーンカーンコーン


 授業終わりの鐘が鳴った。僕はそれっとトイレへ駆け出した。


 ジャー


 僕はトイレを流した。なんとか間に合った。体育の時かヤバいんだよなあ。やっぱり担任の先生に言わないとなあ。


 次の授業が始まる。僕は席についた。


 ころころころ


 また!?どうしよう?


「多田野くん、どうしたの?」


 担任の先生が優しく聞いてきた。


「えっと、あの……」


 ころころころ


 ごろごろごろ


 まただ!


「先生!トイレへ行かせてください!」


 僕は勇気を振り絞った。


「もちろんいいわよ」


 僕は席を立つと、トイレへ向かって駆け出した。

 ふう、今回もなんとか間に合った。僕が教室へ戻ると、皆が一斉に僕を見た。笑っている子もいる。

 授業が終わると、仲の良い友達が寄ってきた。


「卓、お前勇気あるなあ。僕は授業の途中で席を立つことは出来ないよ」

「うん、まあ勇気って言うか、我慢出来なかったんだよ」

「それでもすげえと思ったよ」

「僕も」


 他の子も話しかけてきた。


「卓のあだ名は決まったな!『勇気マン』だ!」

「賛成!」

「意義なし!」


 僕はトイレへ行きたかっただけなのに……まあ、『トイレマン』じゃないだけマシかな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お腹 拝読させていただきました。  ころころをお腹の音、それもごろごろの予兆に使うとはアイディアですね(^^♪ トイレの話はなんでもないことのはずなのに、子供の頃はやけに気にするものですよ…
[良い点] こ、これは苦しそうなころころ童話でしたね! ころころがごろごろに変化した時、少年はその勇気をふるった……。確かに授業であのセリフを大声で云うのは、つらいものがあります。 最後に、彼のあ…
[一言] 楽しく拝読させていただきました。 最後のオチ「勇気マン」ににやにやしております。 「トイレマン」にならなくて良かった。 お友達が品のある人たちで、本当に幸いです。 さばさばと読んでしまっ…
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