お腹
ころころころ
うう、まずい。トイレに行きたい。
僕は多田野卓。小学校三年生になったところ。実は僕はトイレが近い。でもどうしても言い出せない。
ころころころ
ごろごろごろ
まずい!
キーンコーンカーンコーン
授業終わりの鐘が鳴った。僕はそれっとトイレへ駆け出した。
ジャー
僕はトイレを流した。なんとか間に合った。体育の時かヤバいんだよなあ。やっぱり担任の先生に言わないとなあ。
次の授業が始まる。僕は席についた。
ころころころ
また!?どうしよう?
「多田野くん、どうしたの?」
担任の先生が優しく聞いてきた。
「えっと、あの……」
ころころころ
ごろごろごろ
まただ!
「先生!トイレへ行かせてください!」
僕は勇気を振り絞った。
「もちろんいいわよ」
僕は席を立つと、トイレへ向かって駆け出した。
ふう、今回もなんとか間に合った。僕が教室へ戻ると、皆が一斉に僕を見た。笑っている子もいる。
授業が終わると、仲の良い友達が寄ってきた。
「卓、お前勇気あるなあ。僕は授業の途中で席を立つことは出来ないよ」
「うん、まあ勇気って言うか、我慢出来なかったんだよ」
「それでもすげえと思ったよ」
「僕も」
他の子も話しかけてきた。
「卓のあだ名は決まったな!『勇気マン』だ!」
「賛成!」
「意義なし!」
僕はトイレへ行きたかっただけなのに……まあ、『トイレマン』じゃないだけマシかな。