幼女と一緒に魔獣討伐そして大空へ
いつもよりも少し長めですが、是非読んで見て下さい!
良ければブックマークもお願いします。
シオンの処刑を渋々だが助け、一見落着だと思っていたが……
「なんで……なんで、お前が部屋にいる!!!」
処刑にかける前に引き取ったシオンが部屋にいる。
「だって〜拙者の部屋はござらんし〜アニキは拙者を引き取ってくださったではござらんか!つまり、拙者は犬、アニキは飼い主でござる!!」
「意味わかんねーよ!」
「アニキ改め、ご主人様の方がよろしいですかな?」
シオンの言葉を聞いた途端、ゾッと寒気が全身に走った。
「変えなくていい!気持ち悪い…!!」
「むぅ〜〜」
ぷくりと頬を膨らませてあざとく怒っている。
デブがそんな風に怒っても、おぞましい表情にしか見えない……
仕方がない……アリスたちの部屋に住ませる訳にもいかねーしな…
「分かったよ、この部屋に居ていい……けど、明日は魔獣討伐の日だ、お前も準備しておけよ」
「承知したでござる!」
大丈夫かぁ……
こうして、悲しいことに、お城に来てまでシオンと同じ部屋で過ごすことになった。
ーー翌朝ーー
僕は同性のキモオタのモーニングコールで目覚めの悪い朝を迎えた。
「あさでござるぞぉ〜」
耳元でわざとらしく小声でささやかれ、背筋がゾッと震えるて飛び起きた。
「朝から気持ち悪りぃよォ!!」
「気持ち悪いなどと、男に罵倒されても嬉しくないでござる!!拙者はそんな趣味は持ち合わせてござらぬ!」
最悪だ……異世界で一回ならず、二度までも同性のキモオタにモーニングコールされるなんて…辛すぎる。
「アニキ、先程マリー殿が来て、用意ができたら門の前にと伝えに来たでござるぞ」
「分かった、身支度を済ませたら、すぐに行くぞ」
「アイアイサーでござる!」
僕達は身支度を済ませ、門の前にと足を運んだ。
そして、門の周りに集まっている者達の人数に衝撃を受けた。
「なんつー数だよ……てっきり、数十人の規模で戦うと思っていたが、数百人はいるぞ、こりゃ……」
あたり一面には、鎧を着た兵士やローブを纏っている魔術師、そして見覚えのある白のローブ、獅子王の牙の人達だ。
獅子王の牙について、少し説明しよう。
獅子王の牙は、獅子王ライアス・シルベスターが率いる傭兵部隊だ。
牙達はギルドに所属していない傭兵達の集まりで、その規模はギルド顔負けの人数を誇る。
「やぁ、田中くん」
そう言って近寄って着た声の主は、黒髪ロングのイケメハーフエルフ真薙真冬だった。
「ど、とうも」
真薙真冬
ギルドRestive horseのマスターである。
Restive horseは、カラナルの街で最も大きなギルドで、実力者も数多く、No1ギルドと謳われている。
そんな、スゲー所のマスターで、おまけにイケメンハーフエルフときた……
僕と真冬さんに気づいたのか、ライアスさんも近づいてきた。
「やぁ、田中くん。昨夜は良く寝れたかね?」
「は、はぃ……」
シオンがいたせいで、良く寝れた気がしねー
「それは良かった。久しぶりだな真冬」
「えぇ、今日はよろしくお願いします。ライアス」
獅子王ライアス・シルベスター
牙達を率いる最強の傭兵、獅子王ライアス。
その強さは桁外れで、ハンスとの戦いでも随分助けてもらった。
2人は知り合いなのか……まぁ、ギルマスなら顔も広いだろうし、不思議じゃないか。
「皆揃いましたね、飛龍に乗ってください。」
そう呼びかけるのは、凛とした雰囲気をした幼……少女。
国家直属魔獣討伐隊第四班隊長、マリー・ディア・スカーレッド
長い銀色の髪を2つに結び分けた、お人形さんの様な可愛らしい少女だ。
見た目に似合わず、王国隊長の1人らしい…こんな幼女を隊長にするだなんて、異世界の将来も思いやられる。
おまけに、この幼女が今回皆んなをまとめる隊長だ。
呼びかけから数秒後、次々に飛龍達が地上に降り立ってくる。
「じぁ、僕も行くとするよ」
真冬はそう言って、指笛を響かせた。
すると、雲の中から、他の飛龍達を遥かに凌駕する大きさの飛龍が現れた。
「で、でけぇ……」
「田中くんは、ケツァルコアトルを見るのは初めてかい?」
「ケツァ…?」
見た目は竜と言うより、鳥に見える。
周りにいるワイバーンの3倍はデカイ……
翼は黄金に輝き、爪は宝石の様に輝いている。
「アレは、神獣の一体、『ケツァルコアトル』真冬の飛龍だ」
「神獣……?」
「神獣はとても珍しく、手懐けようとしても、まず他人に服従しない。出会えたとしても、飛龍の中でも群を抜いた強さを誇る神獣にはまず勝てないだろう」
「そんなのを手懐けてるのかよ……」
あの鳥が現れた瞬間、あたりが歓声で騒がしくなりやがった……高スペックなハーフエルフめ…。
「では、私も行くとするか」
そう言い放って、ライアスさんは背中に背負っている大きな大剣を空に向かって振り上げた。
「ーーーーーー!!!」
頭上から大きな咆哮が聞こえてくる。
僕はゆっくりと頭上に目をやると、そこには一体の飛龍がそこにいた。
「もしかして……」
「あぁ、神獣だ」
ライアスさんがあっさり、そう言い放った。
真冬の飛龍、ケツァルコアトルと大きさは同じくらいだろう。
だが、先ほどのケツァルコアトルとは全く違う姿をした生き物だった。
ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾…
『キマエラ』姿を見て、すぐにその名前が頭に浮かんだ。
「キ、キマエラ……」
「よく知っているじゃないか。こいつは私の飛龍、キマエラだ」
目の前にいる、僕はキマエラの姿を見て、ポカンとした表情で、その姿を目に焼き付けていた。
「また落ち合おう」
そう言い放ち、ライアスさんはキマエラの背になんなく飛び乗って、空へと飛び立っていった。
「かっけーー!」
なんつー脚力だよ!てか、ライアスさんもちゃっかり神獣従えてるのかよ……
「神獣が2体も!今回の戦いはすぐ終わりそうだな」
「あぁ!更にはギルマスに最強の傭兵!こりゃ〜心強い!」
辺りから、そんな声が聞こえてくる。
確かに、こんなに心強い人たちがいれば、楽勝に勝てる!
こらなら、約束の1ヶ月以内に金貨2000枚は余裕だ!
田中は小さくガッツポーズをした。
約束の内容について、軽く復習しておこう。
僕は、異世界で再開した義理の妹、天霧あおい と、妹の友人であり、僕とも面識のあった美少女、夜桜心春の2人が僕の所属しているギルド『シャルシナ』に所属する条件として、1ヶ月以内に金貨2000枚を用意するという鬼畜条件の約束を交わしたわけだ。
ちなみに、この世界での金貨に2000枚は、日本円で例えると二千万に相当する。
「早く乗ってください」
後ろからマリーの声が聞こえ、慌てて振り返る。
「あ、あれ?アリス達は……?」
「先程、飛び立ちました」
「あいつら、置いてきやがったなぁ……あんな白状者と違って、マリーは待っててくれる何て良い子だなぁ〜!」
「はい、ジャンケンで負けてしまいましたので」
「ーーーえっ!?」
僕は目が点になった。
「ジャンケン?」
「はい、罰ゲームなので」
「な、な、な、な、な、なぁぁぁぁ」
「嘘です」
「タチが悪い嘘はやめてくれぇ!」
マジで泣くところだった……軽く鼻水出ちゃったじゃねーかよ。
「ワイバーンは本来3人乗りなので、誰が残るか、ジャンケンしただけです」
「そのジャンケンに僕も誘ってくれよ……」
「私とでは不満ですか?それとも、モーニングコールをしてくれる同性のおデブと一緒が良かったですか?」
「幼女と一緒が良いですぅ!!!」
「殺しますよ?」
「マリーさんと一緒が良いですぅ!!!」
慌てて訂正して、僕は頭を深々と下げた。
「尺に触りますが、早く乗ってください」
マリーが乗っている飛龍は、周りのワイバーン達とは違う姿をしている。
ライアスや真冬のように、神獣と言うわけではなさそうだ。
「こ、こいつは……?」
「グリフォンです」
見た目は、鷹の上半身に馬の下半身と、神話通りの姿だ……けど、中型バイク程の大きさと、思ってたよりも小さい。
「ワイバーンで行かないのか?」
「はい、4班は戦闘の際、グリフォンに乗ります。
ワイバーン程の力はありませんが、とても小回りが利きます」
「それは心強い、よろしく頼む」
にしても、白の生地に金色の糸で美しく刺繍されたマント、全く体を守れていたない銀色に輝く鎧
こう見ると、幼女でも何か凄い人ぽく見えるな……
「今、幼女でも凄い人ぽく見えるなって、考えませんでしたか?」
「そ、そんな事、思ってないよッ!」
また人の心を読みやがって……恐ろしい幼女だ!
「そうですか、卑猥な事を考えていたんですね」
「考えてねぇーよッ!」
この流れホントに勘弁してくれ……
ーこうして、僕たちはスライム討伐へと飛び立った。
読んでいただきありがとうございます。
次回もぜひ読んでみてください!
「25日って……サンタひゃん!!」
では、次回!




