囚われのデブを助けたいと思います。
ぜひ読んでみてください!
良ければブックマークや感想よろしくお願いします。
僕たちはナッドの見舞いをすませ、執事のアルマさんがいる竜車へと戻ってきた。
「お疲れ様です」
僕たちに気づき、アルマさんが荷台の扉を開き、深々と頭を下げた。
「あ、ありがとうございます」
「感謝するわ!」
こ、こいつ…完全に王族気取りやがって……
田中は、アリスの嬉しそうな表情を目で追いながら、荷台に乗り込んだ。
「どこか他に、向かう場所はありますか?」
アルマさんがそう聞いてきたが、僕たちは他に行きたい場所もなかったのでお城に戻ってもらった。
ーー帰り道、僕たちは病院であった新薙について話していた。
新薙真冬
彼は、ギルドRestive horseのギルドマスターだ。
おまけに、イケメンハーフエルフときた。
とんだ、うらやまクソ野草だ。
「あの人、ギルマスって言ってたわよね?」
「言ってたな」
「一緒に討伐、頑張ろって言ってたわよね?」
「言ってたな」
アリスは色々と質問をしてくる。
瞬時に振られた質問に答えていく。
2人ともニヤニヤが止まらない。
これはもう、新薙についての会話じゃない。
「知ってるか?Restive horseって、No1ギルドとか呼ばれてるんだぜ!」
「ヤバイくない!?それッ!」
「ヤバイよッ!!」
「勝ち確よね!?」
「勝ち確だよ!!」
『フハハハハハ〜』
『アハハハハハ〜』
ーー2人は荷台の中で大はしゃぎしていた。
しばらくして、僕たちはお城へと帰ってきた。
「じゃ!また明日〜!」
「んじゃね〜!」
2人はかなりご機嫌な様子で別れた。
部屋に戻ろうとした田中をアルマさんが呼び止めた。
「田中様、少しよろしいですか?」
「ひゃい!」
驚いて、つい妹キャラみたいな声を出してしまった……。
「田中様たちがアルドレアに来られた際、入口付近で不審な動きをしていた者を覚えておりますか?」
あ……シオンの事かー忘れてたな完全に。
てか、あいつ捕まってたよな……?
死刑が決まったのか?
「は、はぃ、覚えてますよ」
「その者が田中様との面会を希望しております」
あ〜なんか、やな予感するな……
これが美女だったらな〜『囚われの美女を助けに!』みたいな感じでやる気がみなぎるけど……
囚われのデブを助けに!はなぁ〜
「面会なされますか?」
仕方ない、割と世話にもなってるし……面会くらいならいいか。
「分かりました、合わせてください」
「承知しました」
ーーこうして、僕はシオンの元へと向かった。
地下に進む道、薄暗い螺旋状の階段をゆっくりと降りて行く。
なんか、The監獄って感じな雰囲気だな。
「こちらです」
先頭を歩くアルマさんの足が止まった。
足を止めて、持っているランタンの灯りを牢屋の方へと近づけてみる。
「シオーン、生きてるかぁー?」
「こ、この声はぁ……アニキィィーーーーーィィィーーーーーー!!!」
場所の問題もあり、いつもより声が反響していてうるさい……
目の前にいたのはパンツ一丁のデブ……シオンの姿だった。
「騒ぐなッ!」
シオンの声に気づき、1人の兵士が急いで駆けつけてきた。
「ア、アルマさん!ーーーお疲れ様です!」
アルマさんに気づいた兵士が慌てて敬礼する。
「アニキーーィィーーー!助けてくだされー!!」
「黙れブタ!」
そう言い放って兵士は檻を蹴った。
「ブヒィーーーーィィィーーーー!!!」
その瞬間、シオンは後ろへコロコロ転がりながら叫んだ。
「お前……楽しんだんだろ!?もういっそココで死刑されればいいのに」
「拙者!男に罵倒されてる趣味は持ち合わせていないでござるぞッ!!」
久々に聞いた気がするな……まってました!ってなんねーけどな。
「で、僕に何か用?」
「何か用?じゃないでござるよォ!早く助けてくだされぇ!!」
「って、言われてもな……」
「正直、この者の相手をするのは限界です」
兵士の目の下には大きなクマができ、やつれた表情をしていた。
よく今までシオンの相手をしていたな……そりゃ、体を壊すよ。
「こちらでは手に負えません。田中様が引き取ってくださるのなら、即釈放させますが」
アルマさんが話を持ちかけてきた。
こいつ檻の中で何をやってたんだよ……
なんか、すんげー引き取りたくない
「お断りした場合、シオンは?」
「即死刑に処します」
「じゃ、お断りしますね!」
「そんな爽やかな笑顔でぇぇ!!!引き取ってくだされ!アニキィィーーーーーー!!!!」
「えー」
田中はめんどくさそうな様子でシオンを見た。
「ちゃんと魔獣と戦うなら…」
「た、戦うでござるよ!オラオラでござる!!」
「絶対、戦えよ!」
「任せるでござる!!」
田中は大きなため息をつき、アルマさんに引き取ると伝えた。
ーーーこうして、シオンは死刑を免れたのであった。
書きたくなったら書いて投稿。
そんな感じですが次回もよろしくお願いします。
「感想等あれば参考にしたいので良ければ」
では、次回!




