我が名は『お兄ちゃん』!?
是非読んで下さい!!前回と次回もねー!
田中は竜車の荷台で応急処置の手当を終えた。
夜桜は別の竜車に乗って手当を受けている最中だ。
僕達は妹の元に辿り着くと竜車を降りて粉砕された大地を見回してハンスの死を確認しようとしていた。
「や、やったのか?!」
「いやっ……」
妹の言葉を聞いて、田中は慌てて粉砕された大地に目をやった。
「ーーーーッ!」
そこにはハンスの姿では無い、顔の骨格をした紫色の火の玉の姿がそこにあった。
「ハァァ……肉体、肉体、肉体ぃぃぃ…!!」
聞こえてきた声は確かにハンスの物だった。
「何だ…ありゃ……」
「アレはゴーストだな」
「ライアスさん?!無事で良かった!」
僕達はライアスさんと合流した。
「竜車を用意して正解だったよ、危うく巻き添いを喰らう所だった…」
「んっ……」
妹はムッとした表情でライアスを睨んだ。
「皮肉では無い、この威力には感服したよ」
「チッ…!」
「それより、ゴーストって何ですか?ライアスさん」
田中が聞くとライアスは頷いて話し始めた。
「魔族は様々な種が多く、大半が言語理解のできない魔獣なのだが…その中で言語理解の出来る上級の魔族、魔人が存在する」
「魔獣はともかく、魔人が国にッ…!?」
妹が驚いた様子で聞いた。
「あぁ、あの姿を見る限りハンスは魔人だ…領内に存在するはずの無い種が目の前にいる」
「ええっ?魔人って…?」
「はぁ…。」
夜桜のため息に僕は苦笑いをする他なかった。
「魔人はこの国が長年戦っている裏切りの種族、世界にとっての害虫その者だ、その魔人がこの国の領内に、ふざけた話だな」
「魔人……」
「だが、運が良い」
「どう言う事ですか?」
目の前に魔人が居るのにも関わらず、ライアスさんは余裕の笑みを浮かべて田中の質問に答えた。
「ゴーストは肉体が存在しない…その為死体に憑依して動く、なぜ憑依すると思う?」
「食事をしたいからですか…?」
「それもある、ゴーストは死体に憑依する…体を維持するには体内への魔力供給が不可欠だからな、店に来た者を喰って魔力を蓄えていたのだろう」
ライアスが田中の肩に手を置いて言った。
「奴は肉体が無いと何も出来ない、拳を一発でも叩き込めば消滅する様な存在だ、それを阻止するために肉体に憑依して身を守るのがゴーストだ!奴は今、自分を守る為の肉体が存在しない……とどめを刺すのだろ?!」
「ーーーーーッ!!」
ここで僕があの火の玉野郎に一発叩き込めば……夜桜と妹から『お兄ちゃん』って呼ばせる事が出来るっ!夜桜は竜車の荷台で手当中…邪魔はされない、残る邪魔者は妹のみ!!ハンスは僕が先に『倒す』!!!
「もちろん、とどめを刺しますよ!!!」
「させないッ!」
妹は慌てて詠唱を唱え始めた。
「ヤバっ!ライアスさん、僕をぶん投げて下さい!」
その言葉を聞いて、ライアスさんが笑いながら言い放った。
「良いだろう!吹っ飛ばしてやろう!!」
ライアスは田中を担いだ状態で助走をつけて走り始めた。
「さぁ!とどめを刺してこい!!!」
そのまま、ライアスは田中を物凄い勢いでぶん投げた。
「ぶゔあぁぁぁぁーーーーぁぁぁぁーーー!!!!」
風圧が凄すぎて呼吸が困難な速度で田中は吹っ飛んだ、それと同時に妹は叫んだ。
「光の槍よ、追撃せよ、ライトランス!!」
青白い光の槍が数十本現れると、ハンス目掛けて放たれた。
ヤバイ…魔力の使い過ぎで発動に時間かかった…あのニートにとどめを刺させる訳には行かないッ!
「肉体、肉体、肉体、肉体ぃぃぃ…!!」
近づいて来たぜッ!ってヤバイ、スピードが落ちてぇぇ…
田中は段々速度が落ちて行き、後ろから迫ってくる槍の音が近くなって居るのが分かった。
「こんなとこでぇ!止ってたまるかぁーーッ!!」
田中は腰に掛けているプリケツ丸を掴み、後ろへ投げ捨てた。
「よし!」
「そんなっ!」
後ろに投げ捨てられたプリケツ丸は後ろから迫ってくる槍に直撃すると、同時に爆破した。
その風圧で田中は減速を免れて吹っ飛んだ瞬間、田中は光に包まれて鎧の姿に変わった。
「ーーーー!?」
爆風で吹き飛んだプリケツ丸が前に落ちていた。
鞘が壊れてる……コレは不幸中の幸いだ
田中は地面を力強く蹴っると、ハンスの頭上まで飛び上がった。
「痛っ…!傷がぁ開らッ……それでも…」
ハンスは逃げる様子を示さない、死体を探すのに夢中で田中に全く気づいていなかった。
「肉体、肉体、肉体、肉体はぁぁぁぁ……!!」
「『お兄ちゃんって呼ばれたいんじゃーァッ』!!!!」
田中の拳がハンスの頭に叩き込まれた。
「肉体があぁぁぁぁぁぁぁ……!!」
ハンスは叫び声と共に消えていった。
た、倒した……ァ!
田中はそのまま地面に叩き落ちたと同時に、更に後ろから凄まじい音が聞こえて来た。
「何の音だ……?!」
田中が後ろを振り向くと青白い光の槍が4本、こちらに突っ込んでくる。
「嘘だろ……全部爆発して無かったのかぁ…?!!」
『ズドーーーーーーーーン』!!!!!!
ハンスのいた場所、つまり田中の倒れている位置で4発全ての槍が起爆した。
「ーーーーーーー!!」
「今の爆発は……ハンスはどっちがッ?!」
「行ってみよう」
「そうね…」
妹は自分の放った魔法で田中を爆撃したとは知らずに、ライアスと共に慌てて竜車の元へ走った。
「先程の爆発は何事でござるかぁ!?」
竜車の荷台で待機していたシオンが状況を聞いて来た。
「邪魔ッ!」
「何のご褒美でござるかぁ!?デュフ、デュフ、デュフォフォーーーイ!!!」
シオンは荷台から蹴り落とされ、竜車は走り出した。
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ーーしばらくして、ライアスと妹は爆発の現場に到着した。
「「ーーーーッ!」」
2人が目撃したのは爆発に巻き込まれ、地面にうつ伏せで倒れる田中の姿だった。
「おぃ、大丈夫か?!田中!!」
真っ先に竜車を降り、田中の元に走ったのはライアスでもなく、牙達でもなく、妹だった。
「ねぇ…!目を覚ましなさいよ!ねぇーってばぁ!!」
妹は倒れている田中の体を必死に揺さぶった。
ーーしばらくして僕は薄っすらと目を覚ました。
目の前には必死に治癒魔法を掛けている妹の姿があった。
泣いてる……のか?
「こ、ここは……?」
目で辺りを見回すと夜桜やライアスさん、牙の人達……後シオンの姿が見えた。
「目が覚めたの!?お兄ちゃん?!!」
今、幻聴が聞こえたぞ…お兄ちゃんって呼ばれだぞ、新たに異世界転生しちゃったか?
いや、待て、お兄ちゃん?!!
目の前に見えるのは必死に両手で口を抑えて顔を真っ赤にした妹の姿があった。
「今のは違う、口が勝手に!!本当はお兄ちゃんって!って、何で?!!」
僕はゆっくりと起き上がって辺りを見回してみると、ライアスさんがグッジョブサインをしていた。
僕はハンスにとどめを刺せた……とどめを刺したら2人から『お兄ちゃん』って呼んでもらえる約束……
「僕の名前って普段どんな風に呼んでる……?」
田中が聞くと妹は慌てて後ろを振り向き、今の表情を隠すように言い放った。
「決まってるわよ『お兄ちゃん』よ!!って違う!!呼んでない!!!」
コレは精霊の契約の力なのか……?
「夜桜は無事なのか?」
「大丈夫です!『お兄ちゃん』もだいぶ無茶しましたねってぇ!!何でぇ!?」
確信だ、これは精霊の契約の力で間違えない!
つまり…僕は今日からぁぁぁぁ……!!!
「僕は今日から2人の『お兄ちゃん』だあぁぁぁぁーーーぁぁぁぁーーーーー!!!!!」
田中は空に拳を上げて叫んだ。
「そ、そんな……」
「精霊の契約ですか……」
2人は愕然とする中で田中は1人叫び続けた。
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その頃、シオンは……田中が2人からお兄ちゃんと呼ばれているのを聞いて、ショックの余り気絶していたのであった。
投稿する時間がいつも違う!すぐ読むにはマークだよ!
戦いは一旦終わり〜!次回からしばらく茶番を書きたいので是非続けて読んで欲しいデスデス!!
「可愛い茄子……。」
では、次回!




