痛車から異世界では竜車に?!
ぜひ読んで見てください!
ーー僕達は地図で確認したところ、カラナルの外れに人知れず存在する店を目指して歩いている所だ。
「それにしても遠いなぁ…」
さっそく田中がへばっているとライアスさんが心配して声を掛けてくれた。
「大丈夫か?」
普通は大丈夫?って聞かれたら嘘でも大丈夫です!って言うのが当たり前だが僕はそんな強がりはしない。
「いえ…もうダメです」
その言葉に夜桜や妹は呆れていた。
「確かに目的地の店までは、かなり距離もあるし竜車でも借りていくか?」
(何か聞いた事ない名前だな……タクシー見たいな感じなのか?)
「か、借りましょう!その竜車とか言うの借りましょ!!」
竜車が何か分からなかったが、歩かなくて良さそうだったので田中は必死に頼んだ。
「そうだな、近くに竜車小屋があるな」
ライアスさんが地図を見てそう言うと、僕はシオンと喜びを分かち合おうと後ろを振り向いた。
「あ、あれ…シオンがいないぞ……。」
「途中で歩くの断念したんじゃない?」
夜桜が、そう言い放つと妹も口を開いた。
「でしょうね!デブだし」
(デブだしって……まぁ、デブだな)
「だな、置いていこう」
田中はあっさりシオンを探す気も無く置いていく事を決断した。
「君の友達だろ?良いのか?」
ライアスさんは、その決断の早さにビックリして確認を取って来た。
「問題ありません!シオンなら多分、どうにかなるんじゃないですかね?」
無責任なお仲間だな……
ライアスはそんな言葉を心にしまって言った。
「そ、そうか」
ーーそんな時、大きな足音と共に叫び声が聞こえて来た。
『アニキィーーーーーーーー』!!!!!!!!!
足音が近づいてくるのが分かった。
「今…アニキって聞こえなかった?」
不安そうに妹は夜桜に聞いた。
「う、うん…聞こえた……」
2人は大きな足音よりも、足音と共に聞こえた叫び声が気になるらしい。
(アニキ何て叫ぶの何てあいつくらいだろ……)
僕達の前に何かが近づいて来るのが分かった。
「ありゃー何だ?!」
「アレが先程、話していた竜車だ!荷物を引っ張っているのが地竜と呼ばれるドラゴンの一種で、竜車として良く用いられるんだ」
四足歩行の馬と同じくらいのサイズの大きな、暗い赤い色をしたトカゲの様な生物が馬車の様に走っていた。
「誰か乗ってるわよ!」
妹が指をさして言った。
近づいてくる地竜をよく見てみると、そこにはシオンの姿があった。
「シオンが乗ってるぞぉ!!」
田中の言葉に夜桜や妹は驚いた。
「えっ!あの人死んだと思っちゃってたよ…」
「私もてっきり歩き疲れて死んだと…デブだし」
(デブだしって……ってか割と酷くね?)
僕たちの前に地竜が停まった。
「皆の衆!乗ってくだいでござるぅ!!!」
僕達はお言葉に甘えて、シオンが乗って来た地竜が引っ張ている積荷に乗り込んだ。
「いや〜拙者歩くのは困難であったので竜車を借りて来たでござるよぉ〜!」
「せめて、なんか一言行ってから借りに行けよなぁ…」
田中がそう言い放つと、シオンは愕然とした表情で言った。
「拙者は皆に提案したでござるぞぉ?!!」
僕たちは皆その事を思い出した。
(確かに途中でシオンが何か、必死で言ってた気がするな……どうせ、くだらない話だと思って聞き流してた………。)
「そ、そうだっけか?」
「言いましたぞぉ!!ですが、皆が誰1人として返事をしないから、拙者1人で向かったのでござるよぉ!!!!」
僕は妹達の様子を見てみると全員がそうだっけ?って表情をしていた。
(あぁ…皆んな俺と同じ感じだろうなー)
「体力温存だよ…借りて来てくれてサンキューな!」
田中が必死に、振り絞った言い訳はとても苦しい物だった。
「アニキは酷いでござるぞぉ!!!」
流石に田中の言い訳は通用しなかった。
「す、すまん……」
「誰か、地竜の操作をしばし代わっていただけぬか?」
シオンがそう言うとライアスライアスさんが心良く代わってくれた。
「どうしたんだよ?」
田中がそう聞くと、シオンは自分の背負っていたリュックを開け始めた。
「このペースなら後少しで到着するので着替えるでござるぅ!!」
そういってシオンは服を脱ぎ始めた。
「ちょ、シオン?!おまっ……」
シオンはパンツ一枚になった。
(なぜ、ブリーフパンツ何だよ……)
夜桜と妹の悲鳴と共に、なぜか田中は後ろから蹴り上げられた。
「えっ!!?」
後ろで悲鳴を上げていた妹の蹴りだった。
僕はシオンにタックルする様な形で2人は竜車から落っこちた。
流石のライアスさんも慌てて竜車を停めた。
「おい、大丈夫か?!」
幸いにも、僕はシオンの上に倒れる状態だったので無傷で済んだ。
「おい!シオン大丈夫かぁ?!!」
田中は心配してシオンを見てみた。
「何とかでござるうぅ……」
シオンはパンツ一枚の状態で地面に倒れていた。
「くっ…戦闘時の衣装でござるよぉ」
シオンはリュックからマントを取り出して背中に巻いた。
(この格好は……)
ブリーフパンツ1枚でマントを羽織ったデブ……目の前に立っていたシオンの格好を見て田中は吐き気がした。
「おい…シオン……せめて顔を隠してくれないか?」
(こんな奴の家に寝泊まりしてたと思うと吐き気と頭痛で頭がどうにかなりそうだ……。)
「顔を隠せと申されてもぉ〜」
シオンそんな事を言っている間に田中はリュックの中を見て見た。
「ブリーフパンツが1枚……」
シオンのリュックの中には予備のパンツが1枚入っているだけだった。
「コレでも被ったけぇ!!」
そう言って田中はシオンの顔にブリーフパンツを被せた。
「このパンツはまだ洗ってないんでござるぞぉ!!」
シオンの言葉を聞いて田中の顔は真っ青になった。
「良いからぁ!被っとけよぉ!!!」
田中はそう叫んでリュックの中に吐いてしまった。
「おゔぇええええぇええぶぇえぇ〜〜〜」
「拙者のバックがぁ!!!」
田中はスッキリした様子でリュックをシオンに返して竜車に乗った。
「出発しましょう!ライアスさん!!」
そう言って、田中は清々しく言い放った。
「待ってくだされぇ!!!」
シオンも急いで竜車に乗り込んだ。
「出発するぞ」
ライアスさは竜車を走らせた。
「ほんとあり得ない……」
夜桜がゴミを見る様な目で呟いた。
「妹が蹴るから……」
「服を脱ぐのが悪いんじゃない!!てか、妹とか呼ばないで」
妹はすぐに反論と訂正を求めた。
「確かに……天霧さん…」
そんな会話にライアスは頭を抱えて竜車を走らせていた。
ーーそんなこんなで竜車は店を目指して走るのであった。
次の投稿は8月4日くらいになります。
次回もぜひ読んでください!!
では、次回!




