渋々仕事に向かいたいと思います…
是非読んで見てください!!
「おい…シオン大丈夫か?」
シオンは完全に硬直した状態で返事もない。
(あっ……無理だな…)
「あんた何で……?」
僕はその声を聞いて確信した。
「夜桜?!!」
(お友達って夜桜だったのか……気まずいなぁ、いや!普段通りに…)
「心春っ!!こいつと知り合いなの?!」
妹は慌てた表情で叫んだ。
「まぁ…まぁ〜ねぇ…あおいも知ってるの?」
妹が口を開く前に田中は言い放った。
「知ってるも何も、こいつは僕の妹だよ!」
その瞬間、流星の如し拳が田中の顔面にぶち込まれた。
「ぐぅはぁ!!!」
「しね」
田中は壁にぶつかり、そのまま地面に叩きつけられた。
「ちょ!あおい?!!」
その場にいた1人を除いた全員が驚いた。
「ずぅるぅいでぇござぁるぞぉ!!!!!」
(こ、こいつ……)
シオンは急に元気になって叫んだ。
「な、何よ…こいつ……」
「拙者も殴って欲しいでござるよぉ!!!!!」
「おい!シオン、やめておけ……」
田中は鼻血を垂らしながら必死に叫んだが手遅れだった。
シオンは扉をぶち破り吹っ飛ばされた。
「ぶぅはぁ!!!!何ででござるかぁ……」
シオンは悶絶しながら叫んだ。
「なぜ、そなたが殴るでござるかぁ?!!!」
シオンを殴ったのはライオンの顔した獣人族の男だった。
「お前の発言には少し不快感を覚えたのでな」
「なんと理不尽なぁ……」
シオンは壊れた扉の破片を払いながら立ち上がった。
「理不尽などではない、お前はこのクエストを受ける身であり戦士だろう、ならば先程の発言は恥じるべき物だ」
「よ、余計なお世話でござるよぉ…」
「その様な発言をするのなら、私の耳の届かない場所で発言すると良い」
「ここで、そなたをボコボコにしても良いのでござるよぉ!」
「私と遣り合おうと?」
殺伐とした空気の中で仲裁に入ったのはスーツ姿の女性だった。
「これ以上の騒ぎはお控えください、扉の修理代は後ほどライアス様に請求させていただきます」
「申し訳ありません、修理代はしっかりと納めさせていただきます」
獣人族の男はあっさりと手を引いた。
「ひとまず、皆さん席にお座りください」
ーーそうして、ピリピリとした中で話は始まった。
「今回の目的は料理人ハンスの拘束とありますが、殺してしまっても構いません」
いきなり、そんな事を言われ僕は驚いた。
「殺すって……拘束するんじゃ?」
田中の質問に直ぐにスーツ姿の女性が答えてくれた。
「余裕があれば拘束して頂きたいですが、苦戦をしいる様であれば殺してしまって構いません」
自分が考えているほど拘束は簡単じゃないって事が何となく分かった。
「 この依頼は、今日中に終わらせていただきます」
それには皆が頷いた。
(おいおいおい……なぜに妹や夜桜はあんなに平然となれた感じで話を聞いたんだよ……)
スーツの女性が地図を皆に渡した。
「これが料理人ハンスの経営している店の地図です!近くの地形なども記載されているので活用してください」
「じゃ、も〜いいですかねぇ〜?!」
3人組の男がそう言って立ち上がった。
「もう1つ」
そう言ってスーツ姿の女性は男を引き止めた。
「それともう1つ、自己紹介をしてください」
その言葉に3人組の男は反発した。
「何でこいつらと自己紹介なんぞぉ、しなくちゃいけねーんだよぉ!!!」
男が騒ぎ立てる中で獣人族の男が口を開いた。
「私はライアス・シルベスターです、先程は失礼いたしました」
そう言ってシオンに軽く頭を下げた。
「拙者はシオン・グレイスと申しますぞぉ!!先程は拙者も申し訳なかったでござるよぉ…」
そう言ってシオンも謝罪をした。
「え……っと、田中健太です…よろしくお願いします!」
「チッ」
田中が続いて挨拶をしたが帰ってきたのは妹の舌打ちだけだった。
「じゃ〜次は私でっと!夜桜心春です!!よろしくお願いします」
「よろしくでござるぅ!!!」
シオンが先程の事などすっかり忘れて叫んでいた。
それには、流石のライアスさんも頭を抱えていた…
「共に頑張りましょうぞぉ!!!」
シオンが握手を求め手を伸ばしていたが、全く握手を交わす気は夜桜には無いらしい…。
「次は、あおいの番だよ!」
夜桜によう言われて妹が挨拶を始めた。
「天霧あおい…です、お願いします」
僕とシオンは精一杯の拍手を送った。
(あまり抵抗して来ないぞ?さっきはとっさのパンチや舌打ちと普段の僕への対応だったが夜桜の前ならあんまり怒らないぞぉ!!)
「残るはそなた達でござるぞぉ!!」
シオンがそう言うと、面倒くさそうに自己紹介を始めた。
「え〜っとナッド・ジーロス」
「カルダ・ビンテスで〜す」
「面倒くせぇ……ジェフザン・リーダスだ」
(少し背の低い短髪の方がナッドで……なんか、スゲー生意気な感じな、チャラチャラしてる方がカルダ……明らかに2人を従えてるあいつが、ジェフザンって言うのか……。)
「じゃ、もう行くぜぇ」
そう言い放って3人組の男達は部屋を出て行ってしまった。
「何なのよ!あのゴブリン達……態度悪すぎ…」
彼らが部屋を出てそんな事を妹は言い始めた。
「よく、彼らが亜人種のゴブリン族だと分かりましたね」
ライアスさんがそんな事を言い放ったので僕は驚いてしまった。
(えっ?ゴブリン達って悪口じゃないの?)
「ゴブリンって何だよ?」
田中はシオンにこそこそと質問した。
「説明しようでござるぅ!!!ゴブリン族は亜人種の1つで、普段は人間と変わらない見た目なのでござるぅ!動きはとても素早く、戦闘時はひたいに角が現れると言うでござるよ!!」
「なるほど…」
(まぁ、僕とシオンで戦ってもハンスとか言う料理人に勝てる気は正直ない……っとなると、ライアスさんや頼りたくは無いけど妹や夜桜の力を借りた方が良さそうだな…)
「ライアスさん!夜桜!えっ……っと…妹!!各自で戦うんじゃ無くて、僕達と一緒に手を組んでくれないか?」
(1番ありがたいのは、これで店に行ったら3人組がハンスを倒して既にクエスト終了ってのがありがたいが……)
「一緒に倒しても報酬が山分けされる訳でも無いし!効率も良いはずだぁ!!」
田中が呼びかけると1番に返答してくれたのはライアスさんだった。
「普段なら1人でこなすが良いだろう、よろしく頼むよ田中くん」
「アニキかっこいいでござるぞぉ!!」
田中の後ろでシオンも喜んでいた。
「あおいはどうする?」
夜桜があおいに問いかけた。
「私は反対よ!このニート絶対役立たずに決まってるわよ!!」
その言葉に僕はドキッとした。
(確かにあまり戦闘での期待はできなかも……)
「私はお客さん…じゃ無くて!田中くんと手を組んで良いと思うけど」
夜桜の言葉にあおいは驚いた表情で聞いた。
「何でよ…」
「だって!田中くんはあおいの義理でもお兄ちゃん何だし…各自で行動したら殺されちゃうかもよ?!
それに、いつか本も買って欲しいし!!荷物持ちくらいには多分なるよ!」
(何て良い子なんだぁ…良い友達を持ったな!お兄ちゃんは嬉しいぞ!!)
田中は涙目になりながらお礼を言った。
「まぁ、まぁ……心春がそう言うなら、特別に組んで上げるわよ!」
ーーそうして、『料理人ハンス拘束』のクエストが幕を開けた。
⚠︎8月4日まで投稿頻度下がります。
今度は本当だよ…。
「楽しみにして貰えたらとっても嬉しいです!」
では、次回!!




