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プロクラトル  作者: たくち
砂の世界
20/205

王女の秘密

この話は本編とは関係ありません!

 ラピス王国第2王女リリアナ・イーノルド・ラピスは兄達の策により1日のほとんどを自室に閉じ込められていた。

 実際は隠し扉にて外に出る事が出来る。必要な時は秘密裏に外出している。


 だが自室に閉じ込められているが故、他の兄達にリリアナの行動を知る事が出来なかった。


 自室に閉じ込められてまずリリアナが行ったのは自分の世話をするメイドの選抜である。

 兄達に少しでも関係のあるメイドを遠ざけ、自らメイドとなる者の身辺調査をし専属メイドを選び出した。


その後そのメイド達を通じて自らの味方となる文官達と接触をし、徐々に勢力を拡大させていった。


 そんなリリアナに転機が訪れる、ノアとの接触である。

 ラピス王家は代々熱心なミアリス教徒であったが初めて目にしたノアに感服し、すぐさまノアの使徒となったのだ。


 今まで信仰していたミアリスは一度目にした事はあったが何もリリアナにしてくれた事はなかった。

だがノアはリリアナに相手の考えを読む力を授けてくれた。


 現金なようであるが何もしてくれない神より何かしてくれる神を選ぶのはリリアナにとって当然の事だ。


 さらにノアは助言もしてくれる。

その代行者のシンは自分とは比べ物にならないほど偉大な叡智を持っている。


 ノアの話によるどうやらと兄達はミアリスに言葉巧みに騙されリリアナの邪魔をしているようだ。

容易く操られる兄達を哀れに思いながらもノアの敵となる事を選択した兄達へさらに軽蔑をした。


 そんなリリアナはノアの使徒となって以来毎朝と就寝前に欠かさず行う事がある。

自室に密かに作り出した祭壇にノアから賜った腕輪を置き静かに祈りを捧げているのだ。


 表向きはミアリスを祀っているように見えるようにしていたので、リリアナの配下の者達にもリリアナはミアリスへの祈りを捧げている事に使っているとしか見えない。


「ふぅ」


 祈りを終えリリアナは食堂へ向かう、王家のしきたりとして食事は王族全員ととる事が義務付けられていた。


 リリアナとしては2人の兄と姉には会いたくないのだが、破る事は出来ない。

鬱陶しく思いながらも足を運ぶ。


「おはようございます」


 食堂へ入り、全員に挨拶し自分の席へ向かう、王妃の座っている側の真ん中の席だ。

隣には第1王女が座り反対の隣には妹である第3王女が座っている。


「お姉様、おはようございます」


 妹の第3王女ニナが挨拶を返してくる。


「ニナ?勉強頑張ってるみたいね、聞いたわ」


 頭を撫でてやると嬉しそうにしているニナ、ニナはまだ11歳だ、年相応に可愛いものだ。


「早くお姉様のようになりたいのです!」


 ニナはリリアナに憧れている、リリアナとしてもこの妹は家族の中で唯一自分と仲が良い。

昔からリリアナの後ろをちょこちょことついて来たものだ。


「ふふ、私もニナにはまだまだ負けないわ」


 笑いながらリリアナは言う、しばらく話をしていると食事が運び込まれる。

 朝食といっても財政的に豊かな王家の食事は量が多い、小食なリリアナにとっては食べきれない量である。


 その食事の量にナナはこれでも足りないんだろうな、と共和国へ向かう中仲良くなった赤姫副長を思い出す。


 あれからナナには会えていないが自由気ままな彼女の事だ。

探そうとしてもなかなか見つからないであろう。


 そんな事を考えていると国王である父から話しかけられる。

 

「リリアナ、最近礼拝堂へ行ってないそうじゃないか。ミアリス様への祈りを怠るんじゃない」


 何もしない神に何を祈れと言うのか、文句を言いたかったが口には出せない。

王家は毎日礼拝堂に行く事が決まりではないものの習慣となっていた。


 だが既にノアに絶対の信仰を捧げているリリアナにとってミアリスは敵でしかない。そんな奴に捧げる祈りは無い。


「ですが、お兄様方に部屋にいるよう言いつけられています。外に出る際は監視を付けられてしまうのですが、そんな監視された状態で祈りなどささげられません。ですが自室に簡易な物ですが祭壇を作りました、最近はそちらで祈りを捧げています」


 隠さずに兄達に嫌味を言いつつ、自室の祭壇の事を言う。

表向きはミアリスの物なので部屋に入られても嘘にはならない。


「ふむ、ならば良い」


 国王は納得し頷く、リリアナの事を信頼しているので強くは言わないのだ。


「失礼ながら皆様にご報告があります」


 食事はしていないが同席していた宰相から話がされる。国王から続けよと言われ宰相は話し始める。


「最近王城へ不法に侵入する者達が多発しております、警備を強化していますが不意な事故などあるかもしれません。侵入者達は皆、少し理解出来ない事を言っております。皇国の陰謀とは思えないですが、王族の皆様もご注意をお願い致します」


 王城への不法侵入、最近警備兵が増えていたので何かあったと思ったがそんな事が起きていたのか。

 警備が厚くなりリリアナが配下の者達への連絡がし辛くなっていたので許し難い事だ。


「何を言っているのです?」


 リリアナは何が原因なのか知る必要がある、兄達の考えを読んだがみんな知らないようだ。


「それが、言いづらい事なのです」


 宰相は口を濁す、それほど言いたくないのか。


「良い、申せ」


 国王も気になるのか、宰相に続きを促す。


「では、侵入者達ですが、皆何やら正体のわからぬ邪神を信仰しているようです」


「邪神⁉︎」


 王族一同から驚きの声が上がる、ミアリス教徒の王族からしたら何故そんな者を信仰するのかわからない。


「邪神など存在する者か!この砂の世界はミアリス様により支えられておるのだぞ!」


 国王が声を荒げる、しかし宰相の話しは本当のようだ。


「それが、その者達はみなミアリス様の信仰をしているのですが、最近王都で不吉な噂が流れておりまして、その噂に騙され王城へ侵入しているようです」

「不吉な噂?」

「はい、ですが詳しくはこの場では申せません。ですがその噂により何やら邪神教が広まっているようです」


 これで宰相から話が終わる、邪神、その存在をリリアナも知らない。だが放置する訳にもいかない。


「支給王都に調査隊を出しなさい」


 リリアナの提案によりこの話題は終了した。


 食事が終わり席を離れるリリアナ、その姿を見て急いで料理を口に入れ、リリアナを追うニナ。


「リリアナお姉様!」


 ニナの声に立ち止まるリリアナ、ニナが追いつくのを待っている。


「お姉様、今日はお暇でしょうか?」

「ええ、空いているわ」

「では、お姉様のお部屋に遊びに行っても良いでしょうか?」

「私の部屋には何もないわよ?」

「お姉様がいます!」


 その答えに微笑みを浮かべるリリアナ、ニナを連れ部屋に向かって歩き出す。


 部屋に着くとニナはベットにダイブする。


「お行儀が悪いわよ」


 ニナに注意しつつ椅子へ座るリリアナ、「はーい」とリリアナのすぐの椅子に座ってくるニナ。


「邪神って恐ろしいですね、お姉様」


 まだ子供のニナは先ほどの話を怖がっている。

 リリアナは大丈夫よ、と言いニナに勉強を教える事にした。

嫌がるニナだったが大好きなリリアナと一緒に入れるので昼食と夕食の時間までリリアナと一緒に過ごしていた。


「リリアナ、お前誰かに騙されてないか?」


 食事が終わり珍しく第1王子のレックスが話しかけてきたが、ミアリスに騙されてているのはお前の方だ、と内心で言うリリアナ。


「何故そんな事を言うのです?何の事かわかりません」


 レックスの心を読むリリアナには通じない、レックスはリリアナを陥れる事しか考えていなかった。


「いや、何もないなら良いんだ」


 そう言って立ち去るレックス、本当はレックスはリリアナを心配しリリアナ事を考えているのだが、ノアの腕輪の力によりその考えはリリアナにはわからない。

 その嘘の腕輪の能力で兄の間違った考えを知り気分が悪くなるリリアナ、だがそのリリアナの顔はなぜか気持ち良さそうな表情をしている。


 ノアに利用されている事を知らないリリアナは自室へと戻る。

 リリアナには王子達がほぼ自分に決まりかけている王の座をまだ諦めず足掻いているようにしか見えない。


「ホントバカなんだから」


 自室て1人のリリアナは悪態を吐く。

 そして辺りの照明が消え、誰も近くにいない事を確認すると服を脱ぎ始める。


 本当であれば着替えはメイド達にやらせるのだが最近、リリアナは自分で時々着替えをするようにしている。


「どうしましょう」


 そう呟くリリアナは既に衣服を一切纏っていない。

 生まれたままの姿は王国の美と称されるにふさわしい美しい体をしているのだが、その手に持ち睨みつけているのは先ほどまで着用していた下着だった。


 普通であれば近くにある箱へ衣服と同様にしまい、翌日メイドが洗濯をするのだがこの下着はそこへ置いておく訳にはいかない。


「この前のようにどこかに捨ててしまいましょうか?」


 顎に指を当て首を傾げるリリアナは本当に美しい、だがその手に持つ下着は王国の美にはふさわしくない。


 その下着は濡れていた。

その下着からは少し変な匂いがする、変わった趣味の持ち主ならば喜ぶ物なのだろうが。


 そうリリアナはお漏らしをしてしまったのだ。

王国の美と称されているリリアナはそんな事を周囲に知られる訳にはいかない。


 いや、してしまったというのは間違っている。

”わざとお漏らしをしたのだ” 多くの家族や配下がいた食堂で。


 王国の美と称されるリリアナが何故そんな事をしてしまったのか、その原因はノアとの出会いが原因だ。


 あの時ノアは一瞬リリアナに怒気を放った。

 その一瞬の怒気にリリアナは怯え恐怖で体が動かなくなってしまったのだが、その時初めて失禁をしてしまった。


 初めはその時の自分が酷く情けなかった。

 そしてその時の下着は共和国への旅の途中、誰にもバレないように「えぃっ!」と投げ捨てていた。

 お気に入りの1つだったが恥には変えられない。


 だが誤算があった。

初めての遠出となった共和国への旅はリリアナには未知のことでどこで用を足すのかわからなかった。


 初めは宿屋に着くまで我慢していたが途中ナナの提案で通ったルートを選んだのは間違いだったと気付く


 最初エルリックの提案であったルートではきちんと毎日宿屋で休む事が出来ていた。

しかしナナのルートはそんな事を考慮していなかった。そのおかげで早く共和国へ着く事が出来たのだが。


 だが野宿になる事が多く、リリアナはその辺で用を足す事など恥ずかしさから出来ずずっと我慢していた。

 エルリックのルートを通る予定だった車両には用を足す為の者を用意していなかったのだ。


 メイド達は時折していたみたいだが、リリアナにはそんな度胸はない


 そしてそんなリリアナに遂に限界が訪れる。

夜シンと話をしていた時だ。完全に油断したリリアナはシンの目の前で漏らしてしまった。

幸いシンは気付かなかった為、すぐさまその下着を処理し戻ったのだが。


「シン様の目の前であんな粗相を」


 と頭の中がいっぱいになってしまい、その日は眠れなかった。

だが気付いてしまった、寝れなかったのは恥ずかしさからではない事に。


 そう、リリアナは快感を覚えてしまったのだ。

その日は人前で気付かれずに粗相をする事の背徳感興奮し眠れなかったのだ。


 それに気付いたリリアナは旅の途中、何度もシンの前で繰り返し用を足してしまう。

一度覚えた快感に歯止めが効かなくなってしまったのだ。


(王国の美なんて呼ばれる私が、敬愛するシン様の前でこんなはしたない事を)


 そんなリリアナはもう元の王国の美と称されるリリアナには戻れなかった。


 もちろんその時の下着は旅の途中に投げ捨てていた。

 メイド達が無くなる下着に首を傾げていたが、町に着くまでに新たに買えば良いとリリアナが提案した事で深くは追求しなかった。


 メイド達がシンとエルリックを疑っていたが、そんな事リリアナは知らなかった。


 リリアナの頭は、バレたらどうしようとかどこでするかしか考えていなかった。

そしてバレたら自分が軽蔑程度では済まない事に。


 だがそのギリギリの駆け引きがリリアナをさらに掻立てる


 だがそんな日々は終わってしまった。

 当然だ旅が終わればシンは自分とは離れてしまう、それを嫌がったリリアナはシンが王城で住めるよう何度も会議で提案した、だがその私情にまみれた提案は通らなかった。


(ああ、もうあの感覚を味わえない)


 その事実にリリアナは落胆した、それほどリリアナはハマっていたのだ。


 だがその程度で諦めるほどのリリアナではない。

 王城での生活に苦痛を感じていたリリアナは我慢出来なくなった。


 そして遂にまた初めてしまう、最初は父である国王の前だった。

さすがにシンの目の前でするほどの快感は得られなかった。だがそれでもリリアナは知ってしまった。


 「また、出来る」誰もいなくなった自室でリリアナは呟く使用済みの下着は秘密裏に処理した。


 ある日は自分を育ててくれた王妃の前で、ある日は憎き兄達の前で、ある日は自分の配下の文官達の前で、ある日は自分に懐いている妹の前で。


 もちろん毎日していた訳ではない、隙を見て時々行為に及んでいる。


 問題は下着の処理だった。

 最初は妹の下着を使い妹がした事にしていたが、さすがにかわいそうに思ったリリアナは自分の下着を使う事にする。


 だが毎回ゴミに紛れ込ませて処理してはいつかバレてしまう可能性がある。

 その為わざわざ王都の街に出て誰にも気付かれないように捨てていたのだがそれもあまり多用出来る技ではない。


「しょうがないわね、これは明日焼却炉に入れてしまいましょう」


 下着の処理を思いついたリリアナはその下着を隠し、祭壇に向かうそして日課の祈りをノアに捧げ眠りにつく。


 そんなリリアナの秘密を知らないメイド達は徐々に少なくなるリリアナの下着に気付く。

 そしてその話はメイド達に知れ渡りリリアナ王女の下着失踪事件として王城で語られる事になるのだがリリアナの耳には入らない。


 当然そんな事をリリアナ本人に言う訳にはいかないのだが、噂話は広がるものだ。

 瞬く間に王城を飛び出し王都中に拡散する。


 王都七不思議の一つとして語り継がれる事になるのだが、そんな矢先だった。

王都のある一角で持ち主不明の下着が発見された。


 その謎の下着は一つではなかった。次々と発見される女性用の下着の数々そしてそれが高級品である事が調査の結果判明する。


 その事実が最近出来た王都七不思議と繋がる。これはリリアナ王女の物ではないか?誰かが言った、だかその一言は王都中を震撼させる。


 あの美しい王女の下着、それを聞き歓喜に満ち溢れる王都の男達、そんな中1人の男が囁いた。


「誰かが王城に忍び込んで盗んできたのかもしれない」


 これがまたもや王都中を駆け巡り新たな王都七不思議が誕生する。


 誰にもその存在に気付かせず、秘密裏に王城に侵入し王国の美の下着を盗み出し、王都中に捨て去る伝説の下着泥棒の誕生であった。


 その存在に王都中の男達は讃え始める。そして尾ひれのついた噂にさらに付け加えられる。


「下着を発見した物はその伝説の下着泥棒に弟子入りする事が出来る。その秘伝の奥義を受け継ぐ為には王城に侵入し王国の美の下着の入手が条件らしい」


 何の信憑性の無い青年の言葉だったが王都の男達は奮起した。

王都中を駆け巡り下着を探す、そして見つけ出したものはその日の夜、王城に侵入する。


 だが今だ成し遂げた男は存在しない、それがさらなる噂を広める。


「この事件は神の仕業では無いか?」


 確かに王城に誰にも気付かれず王城に侵入出来る物など神しか思い付かない。

男達は新たなる神の誕生を祝福した、そしてその神は王都の男のみに伝説として受け継がれる事になる。


 その噂はやがて王城の者にも伝わり、宰相の耳にも入る事になるのだが、真実を知る者は誰もいない。


 当事者であるリリアナにこの話をする訳にもいかずリリアナが知る事は無いのだが、リリアナを知る王国の国民達は、神すらも下着泥棒にしてしまうほどのリリアナの美貌にさらなる尊敬の念が浮かび上がった。

 

 そんな事になっている事を知らないリリアナは今日も自分の欲望を満たし、兄達の監視の目を潜り抜け下着を王都のどこかへと捨て去るのであった。


「はぁ、やはりシン様の前でするのが最高ですわ」



いつもご覧頂き、ありがとうございます!


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