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それはまるで童話のようで  作者: 神木 亜白
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少女のルール


私は藤崎真奈、名前の通り真の事しか言えない、嘘がつけない人だ

その性格のせいで友達と呼べる者はほとんどいなく、妹くらいしかまともに話す人はいない、だが別にいい

嘘を潤滑剤に会話をする人達や、否定されるの前提で自虐発言する人達、そしてルールを破る人達は仲良くする気もない。

否 仲良くしてはいけない

それが私のルールだから ルールは絶対に守らなければならない それこそがルールだから


ルールを破る人達とは仲良くしてはいけない、でもクラスで私と同じルールを守っている人はいない

だから人と会話することもなく本を読む

暇な時は本を読んで知識をつける 知識は大事、知識をつければ良い学校に進学できる、そうすれば将来余裕ができる、

ルールにはこうある 妹は私が支えなければならない

そのルールは私に余裕がないと出来ない でも破ってはいけない。


「マジでやんの?」

「やるよ! これでどういう反応するか見ものじゃん」

甲高い声が聞こえた。

読書中の私にとってに害を及ぼす騒音を発した声の主は他人の机から教科書を取り出した。

盗む、隠すどちらをするか分からない、でもどちらもルール違反

人の物を勝手に盗ったり、隠したりするのはダメ そのルールに背いた罪人に私は、断罪人の剣のように硬質で射抜く様な視線で貫くが、そんなことにも気付かず違反者は教室から出ていった。

苛めは注意する これもルール、そのルールに従い違反者達の後をついていった


違反者達は西棟へ笑いながら向かっていった。

西棟は現在ほとんど使われていない場所、確かに物を隠すのにはピッタリだろう

違反者達は現在使われていない教室に入っていった。そして数冊づつゴミ箱に投げ入れる。

「ギャハハハ、これで何かスッキリしたっ!」

「本当アイツキメェし、調子乗んなよっと」

時々ゴミ箱から外れて舌打ちをたてながらも、教科書を投げ捨てていく

人の物を捨てるのはいじめ、いじめは注意しなければならない、そう脳に深く刻まれたルールが頭の中で反復される。

普通の人なら注意するのは躊躇うことが多いが私にそんなものはない、ただルールに従うだけなのだから


「石立さん、岬さん人の物を捨てるのはいけません」

剣のように冷たく鋭い威圧感を纏う声で注意した。違反者達はその雰囲気に呑まれ一瞬立ち尽くす

そして数秒後絞り出すように出た声は謝罪の言葉……ではなかった

「う……うるさい!『イインチョー』には関係ないでしょ!」

そう叫び教室から怒りを露にした足音で出ていった。


別に私は何かの委員長をやっているわけではない。

でも理由は分かっている、この潔癖なまでのルール厳守主義、口煩くて告げ口も平気でするというルール違反者達から見たら迷惑以外の何者でもないだろう

でも別に私は正義を振りかざしたいとか、嘘を告発し大人達に褒められようという浅はかな考えはない

そもそも考えなどない、ただルールに従うだけ


私にとってルールとは何なのか

一度こんなことを考えたことがある、私がその問いに答えるとしたら答えは何だろう、まぁこんなことを考えるのも馬鹿らしいが答えを出すのなら

守らなければいけないもの そこに何の感情も無い


ルールは絶対に守らなければならない、頭の中にあるのはそれだけなのだ。





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