リョウヘイ、捕まったってよ
嗚呼!!!呪文を唱えるのじゃ...!!!
若者達よ...呪文じゃよ...!!!呪文を唱えるのじゃ...!!!
リョウヘイの顔に太陽光が薄っすらと射していたそうな...
ピヨピヨピヨピヨ...チュンチュンチュンチュン....バッサバサバサバサ...
鳥の囀りや鳴き声や羽音が聞こゆる...
パッ!!!!!!!
リョウヘイは目覚めおった。
「何処だここは!!!!?」
「戦いはどうなったんだ!!!」
リョウヘイは大声をあげた。
それは、狭いせまーい部屋に轟き、響いた。
「目覚めたようだな」
狭いせまーい部屋のちっちゃーい扉の奥から、声が聞こゆる。
「誰だ!!?」
ガチャッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「へっへっへ、「漆黒の・リョーヘイ」、あんたはもうおしまいだよ」
「誰だお前は!!?」
眉毛が特徴的なおっさんだった。
「誰だってあんた、俺は眉毛が特徴的なおっさんだよ」
彼は眉毛が特徴的なおっさんである。
「フッヘッヘ、あんたは今日罰せられるのさ!もうおしまいだよ!」
「俺が罰せられるだと!?貴様、自分が何を言っているのか判っているのか!?」
「ああ。あんたは今日罰せられるんだ。ミハウェ様にな」
「ミハウェ!?誰だそいつは!」
リョウヘイはミハウェ・デス☆マーチさんを知らないのだ。
「今日あんたを罰する様の名前だよ!」
そしてリョウヘイは思い出していた...昨夜の戦いのことを...
「……そういうことか。俺は真っ赤な赤髪の男との戦いに敗れ、そして捕まったと...」
リョウヘイは昨夜の戦いを思い出した。そして推測した。
「やはり奴が俺をこの世界に飛ばした張本人ってわけか」
「おのれ、赤髪のミハウェ・デス☆マーチめ...!」
「おいおい、ミハウェ様は銀髪だぞう。勝手に赤髪にするんじゃないよ」
「うるさい!奴は真っ赤な赤髪の男だ!」
「ひぇっ...分ったよ。ミハウェ様は真っ赤な赤髪の男っていう事にしておいてやるよ...」
「分ればいい」
「真っ赤な赤髪の銀髪のミハウェ・デス☆マーチ様か...それはそれでありかもしれないなあ...あんた、なかなかネーミングセンスがあるじゃねえのよ」
リョウヘイはすまし顔で睨んだ。
「まっ、あんたは今日罰せられる。もうおしまいってことだよ」
「せいぜいおしまってしまう前に、物思いにでも耽ってればいいんだよ!」
バンッ!!!!!!!!!!!!!!!!
変な眉毛のおっさんは扉を閉めた。
「クソッ、変な奴め...!」
リョウヘイは扉を睨みながら言った。
ジャラジャラジャラ...
リョウヘイの手首は鎖で繋がれている。
「クソッ!鎖で繋がれているだと!?」
「封印されし力を開放するしかないようだな...」
「時を刻め――ディアボリック・アーム!!!」
しかしリョウヘイの右手にはもうディアボリック・アームは無い。
「何故だ!?何故開放されない!」
「時を刻め――ディアボリック・アーム!!!!!」
「ディアボリック・アーム!!!!!!!」
――アーム!!!!!!!!!!!!!!」
何度やってもディアボリック・アームは開放されなかった。
「……どうやら俺の力は失われたらしいな...」
「まるで、あの時と同じだな...」
「だが、あの時のように何もしないままただ時が来るのを待つ俺ではない!」
「かならず脱出してみせるぞ...――!!!
――さーん、デス☆マーチさーん!!!
ブレイザー商会のボス部屋の廊下に大声が響いた。
「うるっさい!何なんだ!?ミハウェと呼べといったろう!」
「すいやせんっ!ミハウェさん!」
ブレイザー商会の下っ端だ。
「急にどうしたんだ!?急に」
「捕まったんですよ!あいつが!」
長~~~~い銀髪の男のまゆがぴくりと動いた。
「あいつぅ?」
「「漆黒の・リョーヘイ」っす!!!」
「何だと!?今何処にいるんだ?」
「留置場で拘束されてます!」
「ほーう...。…あれ?報告するの遅くない???」
「いや、そんな事はないっす!」
「そうか...。まあいい!今すぐ留置場に行くぞ!」
「うぃっす!!!――
――クソッ!どうやっても鎖が切れん!!!」
リョウヘイは狭い狭ーい部屋のちっさーいベッドに寝転んだ。
そして右腕を睨んだ。
「やはり、力がなければ何もできないというのか...」
その時なのさ!!!リョウヘイの顔に射していた太陽光が何者かに遮られたのさ!!!
「噂に聞いていたのと随分違う」
リョウヘイは太陽光が射しこんでいた狭い部屋の上にあるちっさい窓を睨んだ。
「誰だ!?」
「こんなふぬけた奴だとはね」
「なんだと!?」
次の瞬間、ちっさい窓がバーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!吹っ飛んだのさ!!!
「ゲホッゲホッ...!!!」
リョウヘイはむせた。
そしてぶち破られたちっさい窓から現れたのは...!!!
「こんにちは。取引をしましょう」
かっ、彼はアダム・ライトフットじゃないか!!!何故こんな所に彼が!??
*アダム・ライトフットとは、ステーキ屋さんの下っ端が雇っている靴磨きの甥にあたる人物である。
まだ13歳の若者なのだ...何故ここにアダム!??
「取引だと!?」
「ええ。取引に応じれば、貴方をここから脱出させてあげますよ」
「何だと!?要求は何だ!」
「グリゴリー・ワームブレイカーさんは御存じですよね」
「グリゴリー...誰だそいつは!!?」
リョウヘイはグリゴリー・ワーム・ブレイカーの存在を忘れていた。
「……ガタイの良い変なおっさんって言えば、分りますか?」
「……あいつの事か」
リョウヘイは思い出したのさ!
「で、あの変な奴がどうしたというんだ!?」
「グリゴリーさんは今、ステーキ屋の連中に拘束されています」
「バカな!ステーキ屋さんがそんな事をするはずがないだろう!」
「……貴方だって毒を盛られましたよね?」
「毒!?なんのことだ!?」
「……まあいいです。とにかくグリゴリーさんは今、奴らに捕えられているんです」
「ですが、私達の力だけでは彼を救いだせない。それで貴方の協力が必要なんです」
「まあ今の貴方を見ていると、とても力になれるとは思えないですが」
「何だと!?」
リョウヘイは睨んだ。相手がたとえ13歳の少年であっても、リョウヘイは睨む。
「いいだろう。俺が奴を救いだし、その言葉が虚言であると証明してやろう!」
リョウヘイのその言葉を聞き、アダムの口角が僅かに上がった。
「交渉成立ですね。では、鎖を解除します」
アダムはコショコショコショ...リョウヘイを繋ぐ鎖をコショコショしたのさ。
コショコショコショ...
ガチャッ!!!
「――!!!」
「はい。これで自由です」
「鎖がはずれただと!?どうやったんだ!!!」
「それは企業秘密です。まあ、グリゴリーさんを無事救出出来たら教えてあげてもいいですけど」
「とりあえず今はここから脱出しましょう。さあ、こっちです」
アダムはぶち破られたちっさい窓から外へ抜け出した。リョウヘイも後に続いたのさ♪
――まいだよ!おしまいだよ!リョウヘイおしまいだよおおおおおお!!!
ドンッ!!!!!!!!!!!!!!!!
「リョウヘイ!!!あんたおしまいだよ!!!」
変な眉毛のおっさんが現れた。
「おしま...なんじゃこりゃああ!?」
「うるっさい!何なんだ、どうしたんだ!?」
「おしまいが...あっいや、リョウヘイが居ないんだよぉ...!」
「リョウヘイがいないぃ!?……ちょっ、ドアの前に立ち尽くすんじゃない!」
「あっすいやせん!ミハウェ様も観てくださいよ...リョウヘイが居ないんだよぉ...」
そこは蛻の殻だった。
「こいつぁどうゆう事なんだ!?……ん!?穴が開いてるじゃないか!」
「あっ!本当だ!さっき確認した時はなかったのにぃ!」
「ったく、お前がちゃんと見張っていないからこうなるんだゾ☆」
「すいやせんっ!ミハウェ様!」
「……くそお...やられたよぉ...!」
リョウヘイ...あんたにやられたよ。まさかこのブレイザー商会の留置場から脱走するとはなぁ...
とんだプリズンブレイカーだよ、あんたは!
でもなリョウヘイ...あんた、ミハウェ様を怒らしちまったよ...
ミハウェ様からは誰も逃げられやしないんだ...リョウヘイ、あんたおしまいだよ!!!!!
――なんやかんやでブレイザー商会に捕まっていたリョウヘイ。
彼を助け出したのは、なんとアダム・ライトフット少年であった!!!
力を失いながらもグリゴリー救出に向け動き出すリョウヘイ――彼らに待ち受ける運命とは!!?
リョウヘイ、あんたおしまいだよ! つづく