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漆黒のリョウヘイ  作者: RO-Ham
本編
2/9

チャヤアリマスヨ

リョーヘイはステーキ

「デス☆マーチさーーん!!!」


誰かを呼ぶ大きな声がブレイザー商会のボス部屋の廊下から聞こえてくる。


「うるさい。ミハウェと呼べと言ったろ」


「すいやせんっ、ミハウェさんっ!」


「急にどうしたんだ?急に」


「また出たんですよ!あの男が!」


長~~~~い銀髪の男のまゆがぴくりと動いた。


「奴か...。漆黒の☆リョーヘイ...!」


「そうっす!南町の『スプラテッド』を火の海にしたとかなんとか!」


「ほう。このペースだと、ここ、サンディ王国へ来るのも時間の問題か...」


「どうしやしょう?」


男はワインを一口飲むと、口を開いた。


「奴をサンディ様に近付ける事があってはならない」


「ってゆーと???」


「――消せ」


「決して王国に入れるんじゃない。後はまかせたぞ」


「へっへい!承知しゃーした!――



サンディ王家と関わりの深いブレイザー商会のボス――ミハウェ・デス☆マーチ。

リョウヘイ――彼の知らない所で、大きな影が動き出していた――



☆スプラテッド郊外



「暑い...暑すぎるぞ...」


リョウヘイは暑がりだった...暑さにめっぽう弱いのだ。


「イライラするぜ...」


「――ん?」


リョウヘイは何かを発見した。


「あれは...茶屋...?」


「助かった。こんな田舎にも茶屋の一つくらいあるもんだな」


リョウヘイは助かっていた。



カランコローン♪



「頼もう」


「へいっお客さん、何を御注文で?」


「ほうじ茶と麦茶のブレンドを頼もう」


「うぃっす~。20分くらいお待ちくださいませ~」


「フンッ」


リョウヘイは開いている席に座った。


首を椅子の背なかの奴に乗せて、顎を天井に向けて一息ついたのだった。


「おや?あんたリョーヘイじゃないかい?」


ゆさゆさゆさ...。揺さぶられるが、リョーヘイはびくともしない。


「こう呼んだ方が良いかい?『漆黒の・リョーヘイ』」


リョーヘイの耳がぴくりと動いた。


「貴様...何故俺の名を?」


リョーヘイは顎を上に向けたままの体勢で横目で問うた。


「あたしはシルベッサ・グレートウォーカー」


「シルヴィアって呼んでよ」


金髪に赤毛の混じった変な髪型の女性が喋りかけてきた。


「シルバー?変な名前だ。で、何故俺の名を知っている」


「何故って、アンタここらじゃ有名人だよ」


「知らない人なんていないんじゃないかい?」


「有名人だと?」


リョーヘイは驚き、急に体勢を整えたために椅子から転げ落ちた。


「クソッ、お前のせいだぞ!決闘しろ!」


「ちょっと、よしてくんなよ」


「急に体勢を整えるからいけないのさ」


「フンッ、まあいいだろう」


「で、何故俺の名を知っている?」


「アンタあちこちで暴れ回ってるらしいじゃない。国中で噂だよ?」


「暴れ回っているだと?身に覚えがないな」


リョーヘイには暴れている自覚がなかったのである。


「決闘癖があるんだろ?それが原因なんじゃないかい?」


「ほら、さっきもアンタささいな事で決闘だー!って」


リョーヘイは脚をテーブルにクロスさせ、両腕を椅子の後ろでぶらーんとぶら下げた。


「フンッ、俺の知ったことではないな」


「まあいい。俺の名が広まる事は好都合だ」


「それでさ、あんたに聞きたいことがあるんだけど、良いかい?」


リョーヘイは脚を組みかえた。


「何だ?」


「アンタも『バトル・ワールド』から飛ばされて来たんだろ?」


リョーヘイの耳がぴくりと動いた。


「何故それを知っている」


「実はアタシもあっちから飛ばされて来たんだよ」


「クッ、お前も奴等の仲間か!…さては俺を飛ばした張本人だな?決闘しろ!」


戦闘BGMが流れ始めた。


「おいおいよしてくれよ。アタシはアンタの敵じゃないってば」


「お前が俺の敵じゃないと言うのならば、俺と決闘してそれを証明してみせろ!」


「嘘だろう?」


「出来るはずだ!さあかかって来い!」



「あっすゃっせーん。御注文のこぶ茶と味噌汁のブレンドでゃーっす」


「――!?」


リョーヘイは椅子に座った。


「なかなか良い香りだ...。お前、なかなかやるようだな」


「あっあざっすぃーー!」


「23万円になりゃーーーっす!」


「フンッ」


「ありがとうごずぃやーーーっす!またの御来店をお待ちしっさすぃーー!!」


リョーヘイは上品にのんだ。ワイングラスに注がれたスープを――



「どうしたんだい...?」


「見てわからないのか?俺はお茶を飲んでいる」


「いやっまあ、あたしは少し急いでるんでね、この辺で失礼するよ」


「フンッ」


金髪に赤毛の混じった変な髪型の女性は店を後にした。


「なかなか美味いお茶だ。レシピを聞いておこう――」


なんやかんやでリョーヘイは店を後にした。この際も、店主と決闘した。


もちろんリョーヘイが勝利したことは言うまでも無い。


「まさか味噌汁もお茶の一種だったとは...」


「恐るべし、お茶の世界よ」


リョーヘイは天高く見上げ言った。


「さて、この先を100キロ歩けばサンディ王国か」


「どうやら途中にも町があるようだな。良い茶屋に出会えればいいが...」


リョーヘイは途中にある『チャヤアリマスヨ町』へ向かうことにした。




~それから2日後『チャヤアリマスヨ町』~


「ここも暑いな。まったくクソみたいな世界だぜ」


「そういえば10日も何も食べていなかったな。お茶ばかりでは流石に体に悪い」


「食事にでもするか」


リョーヘイは近くにあるステーキ屋さんを探した。


『チャヤアリマスヨ町』は意外と広い。サンディ王国周辺の町でも1,2を争う広さだ。

それゆれ、ステーキの質も高い。

『チャヤアリマスヨ町』のステーキ屋さんで使われているお肉は、バウルディッフの霜降りを使っている。

20グラム1300万円もする高級なお肉なのだ。

周辺の町で使われているお肉と比べても、格段とお高いのだ。


「どこだ!ステーキ屋さんは何処にあるんだ!」


リョーヘイのお腹はさっきから鳴りっぱなしだ。

リョーヘイの「どこだ!ステーキ屋さんは何処にあるんだ!」に合わせて鳴っている。

それぐらいお腹が減っていたのだ。


「クソッ!この町にはステーキ屋さんが無いのか?」


そんな彼の怒りの形相を見て、町の一般市民達が何やらヒソヒソと...


「ねぇ、あれ見て」


「あらやだ、漆黒の・リョーヘイじゃないか」


「嫌だねえ。等々この町にもおでましかい?」


「避難する準備を始めなきゃならないねえ」


ヒソヒソ話に花を咲かせる一般市民をリョーヘイは発見した。見逃さなかった。


「おい貴様!ステーキ屋さんは何処にある!」


「ヒェェ!」


「オイ!ステーキ屋さんを知らないかと聞いているんだ!」


「やめておくれよぉ」


「ケッ――


リョーヘイが決闘のケの字を発音するその瞬間――


「その辺にしときなよ、兄ちゃん」


リョーヘイは振り向いた!ものすごい勢いで。


「何だ貴様は!?」


そこに居たのは、半分銀髪、半分黒髪の変なガタイの良い男だった。


「俺の名は『グリゴリー・ワームブレイカー』。この町の警備員って所さ」


その隙に市民達は逃げた。


「警備員だと?警備員が俺に何の用だと言うんだ!」


「まあ落ち付けって。あんた、ステーキ屋を探してるんだろう?」


「何故それを!?」


意表を突かれたリョーヘイは、睨んだ。


「こっちだよ、付いて来な」

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