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Sirence is Mine  作者: そふらまる
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silence and then

静寂が自分を包み込んでいる。まるで母親の胎内の胎児のように優しく。 


静寂が自分を包み込んでいる。闇も光も何も無い無音と優しい暗闇が果てしなく続いている。


静寂が自分を包み込んでいる。狂気と正気が自分を取り合っている。


 何故自分は静寂に包み込まれ正気と狂気の境を彷徨い狂いそうになっている。正気が思考を巡らせ狂気が思考を鈍らせる。。何が正しく間違っているのか分からないまるで盲目になったかのようだ。

溶けていく。狂気と『衝動』で支配された歪な精神が溶け、罪で穢れドス黒く濁った魂が静寂に浄化さていく。己を確立していた狂気ひふはボロボロと剥がれ静寂えと取り込まれていく。残ったのは僅かな記憶と魂のみ。男はただ眠る。生前触れる事の出来なかった母性に包まれ目覚めるその時まで。


◆◆◆◆

『白の世界』

 

最上神コスモスの世界。どこまでも果てしなく続く穢れ無き純白が世界を包み秩序が支配する世界。コスモスは最果てにある玉座に座り世界の行く末を見守る。


 秩序と慈悲の神コスモスはその曇り無き完成された貌に美しい笑顔を浮かべていた。その笑顔は純粋な子供のような朗らかな笑顔で報告を聞いていた。


「そうですか。彼は今浄化の真っ最中ですか」


「……はい。順調に浄化は進んでいます。このまま進めば直ぐにも終わるかと」


 コスモスの眼下で忠義を尽くす騎士のように脆く騎士が一人。騎士は上機嫌のコスモスと真逆でどこか不機嫌である。それに気付いたのかコスモスは騎士に目も向ける。


「シャルディル。まだ納得が行かないのですか?」


 シャルディルと呼ばれた西洋の騎士の甲冑を着た男は言いたい事はあるが噛み殺してるように無言で頷いた。それにコスモスは慈愛に満ちた瞳を向けると口を開く。


「確かに納得が行かないのかもしれません。正義を重んじる貴方からすれば彼は許す事の出来ぬ存在なのかもしれません。ですが貴方には理解して欲しいのです」


「‥‥コスモス様、貴女様がそう仰るならば私は理解しましょう」


完全に納得してないが表面上で納得したシャルディルをコスモスはただ無言で見つめる。シャルディルはただ無言で脆く。そこには何処か怒りを爆発させそうな印象を抱く。


「それでは私はこれで失礼致します」


シャルディルはそう言い残すと立ち上がり消える。瞬間移動をし自らの聖域に戻ったのだろう。

コスモスの貌からは笑顔は消え悲壮感に満ちる。

「私がした事は間違っているんでしょうか」


乳白色の色をした空を見上げコスモスは一人漏らす。まるで問い掛けるように言葉を紡ぐ、答える者はおらず答えの代わりに静寂が訪れる。


「間違っているのかもしれない、取り返しのつかない事なのかもしれない。だけど信じたい。いや信じなければならない己がしてしまった『消えぬ罪』の贖罪のために」


コスモスは自分に言い聞かせるように強く強く言葉を紡ぐ。


だがこの時コスモスはまだ知らない。贖罪のためにした事が更に新たな罪を生産する愚行だと。

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