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ツキノメ  作者: 東 元弓
3/3

昔のこと


昔から僕の周りにはたくさんの人がいた。


生まれた家は古くから続く旧家というやつで、僕はそこの直系で久々の男児だったらしい。


目も開かないうちから、多くの使用人が付けられ、着替えや食事、風呂や手洗いなど常に誰かが近くにいた。

それが普通でないことを小学校に入る時に知った。

みんなは送り迎えされていないし、教室の隅でいつも授業を見守る人もいない。

友達と遊んでいて、空から迎えに来る人もいない。


周りにいたたくさんの人のほとんどが、人間でないと知ったのは小学五年の時だった。



鬼。



昔話に出てくるような、赤い顔やとんがった角があるものばかりではないけれど。


人間のような(・・・)姿をした彼らは、僕にしか見えなかった。



それがわかった時、僕は愕然がくぜんとした。



さっきまで遊んでいたあの子も。


親切に手を引いてくれた女の人も。


飴をくれたあの老人も。



他の人には見えていないとわかった途端、僕は呆然としたあとひどく泣いてしまった。



それから僕は、僕にだけ見えるそれらたちのことが大嫌いになった。



大嫌いだ。


本当に。



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