3.白銀の疑念
「正確に言えば、オーディンじゃない。オーディンを受け継いだ。」
「受け継いだ!?」兄妹はまたまた、首を傾げた。
「扉が崩壊すれば、神々の力,魔神の力が弱まる。」ルファシルは深刻な顔をしている。「なんで?神々の力も魔神の力も弱まるなら、いいんじゃないの?」
「いや、扉が崩壊したら、魔神は人間界に降りて来るだろう。しかし、神々の場合は降りる事は出来ない。」
「なら、やっぱりお前は偽物だな!?」間髪入れずに叫んだ。
「人の…イヤ、神様の話は最後まで聞くもんだぜ。だから、受け継いだ。オーディンはオレに託したんだ。そして、嬢ちゃん坊ちゃん。覚悟は決めたか!!!」兄妹は頷いた。
「йыжещнцйнщж………」ルファシルの銀翼が雪のように舞う。そして、兄妹を優しく包んでいく。光が雨のように降り注いだ。風が吹き抜けた…
部屋の中にはルファシルも、兄妹も居なかった。優しく月明かりが兄妹の寝室を照らしていた。
「うん…?」始めに目を覚ましたのは、ルミネだった。ルミネはライフォを起こし、やっと自分達の置かれた状況に気が付いた。
「こっ……ここは?」二人は辺りを見回す。当たりには金色の花が咲く。風は二人を置いてきぼりにし、せかせかと自分の道を行く。
「私達、ルファシルに騙されたのかな。」兄は考える。ふと隣には、この涙をこぼれさせまいと必死にこらえるルミネの姿があった。
兄は誓う。全てを知ると。今まで育った人間界に 何が起きようとしているのか。ライフォは一歩、金色の花畑に踏み出した。そして、流れ行く 風をじっとみた。