2.銀翼の下に
「この際本物だろうと偽物だろうと関係有りません。」
「ルミネ!?」
「どうか、私達に新しい世界を開いて下さい!」ルミネは真剣な眼差しで訴えた。風が吹き抜けていく。三人を置き去りにして
すると,自称神様は頭をかきながら面倒臭そうに答えた。
「どうして、オレがここに現れたか分かるか?もうすぐで扉がなくなるんだ!」
「扉??」兄妹は首を傾げた。
「神界,魔界,人間界を区切る扉だ。もっとも、人間は神界や魔界の事はしらねェだろうけどな。直に知るさ。神界や魔界がドンだけ恐ろしいかを。」二人は固唾をのんだ。今まで考えても見なかった事が、現実になる。自称神様の言うことが正しいとするのならば、大変な事である。
「神様あなたは、私達の前に現れ、予言を授けて下さいました。危険を知りながらそれを見逃すなど私にはできません。」
「良い心意気だな。お嬢さん、そこの坊ちゃんも一緒かい?」ライフォは頷いた。僕達はこれからどうなるのだろう。自称神様は僕達に何を齎すのだろうか。それを知っているのは、一点の曇りもなく 瞬く、月明かりだけだろう。自称神様はふっと 微笑みを浮かべていた。「ところで,あんたらオレの名前気になんねえのか?」自称神様は得意げに笑ったが、二人は微動だにしない。そんなものは全く、気にならないからだ。それでも自称神様はしつこく言う。仕方なく聞く。
「名前は?」
「オレの名前は―オールディーン=ルファシル―」
「おっ…オーディン!?北欧神話の全知全能の神?」オーディンは嬉しそうに頷いたが、半面どことなく悲しそうだった。