第7話
「ごめん。
やっぱ教えない方がよかった?」
手紙を読み終えた私を、
親友が心配そうに見ている。
これは、さすがに・・・。
でも、心配はかけたくない。
「あ、ああ。全然平気。
いや、普通に分かりきってるし。
うん、だから気にしないで。
教えてくれてありがと」
私、普通に話せているよね?
だって私は、
自分の気持ちを隠すのは
得意だったはず。
『ちょっと苦手』
『嫌いじゃないけど好きにはなれない』。
それが、君の私に対する気持ちなんだね。
分かっているつもりだったよ。
君が私を、少なくとも
『恋愛対象』として見ていない事。
でも、さすがにキツい。
別に、恋愛感情で『好き』
じゃなくてもよかった。
そこまで高望みはしていない。
でも、せめて友達として、
たくさんいる友達の中の
1人としてはみて欲しかった。
『嫌いじゃないけど』なんて
中途半端な表現だけど、
つまりは『好き』ではない。
それに、『苦手』とされているなんて。
本当に、よくあの手紙を読んで
泣かなかったなと驚くくらい。
多分、1人で読んでいたなら、
涙が溢れ出していただろう。
どうしたらいいんだろう。
やっぱり、あの手紙、
親友には悪いけど捨てるべきだった。
いや、捨てなくても、
読まないべきだった。
出来ることなら、時間を戻したい。
知らなかった頃に。
楽しかった、一週間に。
もう、知らなかった頃には戻れない。
君の口から直接聞いたわけじゃないけど、
今の状況で本当かはわからない、
なんてポジティブな考え方は出来ない。
『好きな人』に『苦手』と思われて、
これからも笑って話していられない。
もう、『友達』としても
普通に接することもできないかもしれない。
でも、あれ?
なんかおかしいな。
『好きな人』に好いてもらえないのは、
今回が初めてじゃないはずなのに。
『好きな人』から恋の相談を
されたことだってあったはず。
その度に傷つきはしたけれど、
今回はどうしてこんなに悲しいの?
こんなに胸が痛んで、
こんなに泣きたい気持ちになって、
こんなにも、君を見るだけで辛い。
「決めた。もうやめるよ」
私は、隣を歩いている親友にそう告げた。
逃げてるだけってわかってるけど、
全部自分のためってわかってるけど。
もう、やめるんだ。
君に近づこうとするのも、
仲良くしたり喋ったりするのも。
もう、傷つきたくないから。
『好き』という気持ちを封印して、
もう他人になるんだ。
ただ、偶然同じクラスになって、
同じ班になったこともある男子。
もう、それでいいんだ。
さようなら、私の幸せな日々。
君の友達として居られた日々。
多分、もう永遠に、さようなら。