第1話
『好きな人』
私達がこの言葉を使う場合、
大抵が恋愛感情の方を指す。
友達としてではなく、
恋愛感情で好意を寄せる相手。
友達関係の異性を指す場合、
恋愛と区別するために
『嫌いじゃない』と言う言葉が用いられる。
私達女子中学生の異性に対する好意度は、
『大嫌い』又は『ウザい』
『嫌い』『興味がない』
『普通』『嫌いじゃない』
『好き』という順で
上がる表現をされることが多い。
人によって個人差はあるけれど、
普通『好き』に所属するのは1~2人程度。
『嫌いじゃない』は、男子との
関わり方によっても違うけれど、
私の友達だと3~10人と幅が広い。
少なめの人はあまり男子と関わらないタイプ、
多い人は男友達がたくさん居るタイプだと思う。
そして、『好き』と『嫌いじゃない』の
どちらにも属さない男子は、
『興味がない』か『ウザい』に
分けられてしまうことが多い。
これも人によって個人差があるけれど、
大抵の人の場合、『興味がない』に
分けられている人数が一番多い。
分かり辛い表現だけれど、
それが中学生の女子ってもの。
そして、女子中学生にはもう1つ、
非常に面倒な点がある。
今まで『好き』だった人を、
いとも簡単に『大嫌い』の
カテゴリまで落としてしまうこと。
理由は人によって違う。
振られた人や、ちょっとした欠点を見た時、
自分の考えとあわなかったときなど。
実際、別れたカップルのほとんどは
特に女子の男子に対する態度が豹変している。
あんなにラブラブだったのに、
別れた途端に愚痴の嵐。
視界に入れることさえも嫌がり、
目なんか合おうものなら
氷河期の地球よりも冷たい眼差しで睨む。
「別れた後の態度が女の本性」とは
よく言ったものだ、とつくづく思う。
まったくもって面倒臭い。
でも、私はある日、知ってしまった。
自覚していない人が多いけれど、
それは自己防衛機能だという事。
未熟な私達が自分を守るためには、
嫌いになることが一番簡単なんだという事を。
新規連載小説執筆です。
そこまで長くならないつもりですが、
お付き合いよろしくお願いします。