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第六話 タネと仕掛

 鉱山に、火薬の爆音が響き渡った。しかし、それはライフルの発射音ではなかった。

「うわ!」

 チンピラ達が、ビックリして浮き足立った。足元で花火みたいなものが、突然いくつも鳴り出したからだ。

 しかも、馬を用意したのが裏目に出て、暴れた馬に用心棒の気がそれた。

「ミリッ!」

 キリーが駆け寄ってチンピラからミリをひったくった。片手にライフルを構えていたチンピラは、銃を取り落とさないだけで精一杯だった。

「このガキ!」

 チンピラの一人が、ライフルをキリーに向けた。すると、再び足元から爆発音が巻き起こった。

 爆発音の正体は、火薬の入った缶だった。カズミがシルバー・ボンのデモンストレーションをする為の小道具を、マヤはいつも持ち歩いていたのだ。残念ながらビンの方は、教会で転落した時に全て割れてしまったが。

 マヤが時間稼ぎをしていたのは、子供達に後ろから回りこんでもらう為だった。

 ビルが、ミリを抱えているキリーの手を引いた。

「こっちだ、キリー!」

 マヤは一体いくつの缶を隠し持っていたのか。キリーの近所の子供たちが、次々に缶を投げながら逃げ回った。

「ガキに構うな! 女の方を片付けろ!」

 ライフルを構えなおした用心棒だったが、既にマヤは逃げ出していた。

「俺をバカにしやがって! 馬を引け!」

 なだめるのに二三分かかったが、馬は落ち着きを取り戻した。

 用心棒は、馬に乗りながらライフルを構えた。チンピラ達も後に続く。馬の足は速く、用心棒はタイムロスを瞬く間に取り戻した。

「流石に、馬には勝てないわね」

 どうしようか考えながら走っていると、見覚えのある人影が前方から近付いてきた。

 それは、トムソンの馬に相乗りしているカズミだった。

 チンピラから、この場所を聞き出したのだ。もっと詳しく言えば、トムソンとウインドミルもどきのダブルアタックを、死なない程度にくらわして。

「マヤッ!」

 偽者のシルバー・ボンを追えばマヤに会えると信じていたカズミだったが、まさかこんなに早く再会するとは思っていなかった。しかも、もう戦闘中で。

 カズミの姿を見て、マヤは思い切り叫んだ。

「シルバー・ボン! 助けてえっ!」

 用心棒は、シルバー・ボンと聞いてためらった。本物が相手なら、絶対に勝てない。ここは、マヤを追うよりも逃げる方が先なのでは?

 しかし、ここは町から離れた廃鉱だ。逃げ出せば町からどんどん離れていってしまう。

 馬に乗ったまま、迷ったのは失敗だった。ますますカズミとの距離は詰められていき、ピストルの射程距離に入ってしまったのだ。

「リボルバーストッ!!」

 シルバー・ボンの技の名前を叫びながら、カズミは引き金を引いた。三度の銃声が立て続けに聞こえたと同時に、用心棒のライフルが吹き飛んだ。

「ひいいっ。この技はまさしく、シルバー・ボン!」

 本当の『リボルバースト』は、素手で強引にリボルバーを高速回転させて、三発の弾丸を連射させる技だ。カズミの技は、銃の内部に仕掛けが施してあり、銃口にも弾丸が隠してあるから三発発射されるだけだ。残り二つの銃声も、懐に隠してある火薬を同時に破裂させた音だった。

 用心棒は、観念して両手を上げた。チンピラ達も、本物のシルバー・ボンが来たと知って降参した。

「カズミ!」

「マヤ!」

 馬から飛び降りたカズミは、そのままマヤに抱きついた。かなりの勢いがついている筈のカズミを、マヤは苦も無くキャッチして抱きしめ返した。

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