第四話
「なあ、本当に描くの?」
「描きます」
「というか、これは楽師長命令だ」
「ロインの冒険譚は一番人気なんだって」
「俺、恥ずかしい」
「そう言うなって」
「ここにロインの活躍の場面を描いて、場面の音楽を間違えないようにここで練習する」
こうして『ベルダーシュの勇者 ロインの冒険譚』の場面が次々描かれていく。
ベルダーシュ達は魔法を使って描くから仕上がりも早い。
「ねえ、終わったよ」
「続きを地下に描くか」
「続きってなんだよ」
「ロインのその後だよ」
「楽師団が物語を終えてもまだ滞在する場合、ロインのその後を語るんだ」
「当然まだロインは生きてるから、今のところは白紙だ。あ、ロインの呪いの音楽の事は描こう」
「それだけは辞めろ!!」
「歴史は書き換えられないぞ、ロイン!!」
ゾイが嬉しそうに言う。
「楽師長! そこをなんとか!」
「歴史は書き換えられないぞ、ロイン!!」
楽師長が嬉しそうに言う。
その声にうなだれるロイン。
「俺の一生の恥が永久に語り継がれるのか」
「ロインはいろんな意味で天才という逸話になるのお」
「じいさん、なに悠長なこと言ってるの」
こうしてロインの冒険譚は壁画に書かれ、パートごとに音楽を特訓するシステムが完成した。