第二話
「ねえ、この子たちって最初から流れのベルダーシュになるの?」
「ならないみたいだよ」
「ここにいる人はほとんどが引退後楽師団という流れの人生を選んだ人だけど、ベルダーシュ同士でキャッスルに生まれた子は十二歳の時に人生を選択するんだって」
「そうなの?」
「親と同じようにベルダーシュになるか、城内の町人として商店や農場で生業を立てる人間になるかのどちらかを選ぶ」
「そうなんだ」
「ベルダーシュを選んだ場合、この城自体が試練の洞窟になるんですって」
「ええ? 私たちがこの子に試練を与えるの?」
「違うの。幻惑の術を出せる人が幻惑の術を出して、果たして既定の時間以内に無限回廊を突破出来るかを見るの」
「セヤね……」
「この子にはベルダーシュじゃなくて普通の人生を歩んでほしいな」
「そう? ロイン?」
(あんまり、この子に『ラディア』の現実を見せたくない)
「ちなみにベルダーシュになったら次のベルダーシュが現れるまでこの村生粋のベルダーシュとして一生を終える」
「ここで結婚も出来る」
「ロイン、この子まだ二歳よ」
「十年なんてあっという間だよ」
「そう……?」
「あっとういう間だよ。それにベルダーシュだけでなく戦士と言う生き方もある」
(そうかなあ?)
「パパ、がんばるでちゅ~」
「でちゅね……」
冷たい目線がロインに刺さっていた。