第九話
夫婦でフォークロアキャッスルに物を運ぶ。何度も行き来しているうちに夜になってしまった。二人は四天王の部屋で一夜を過ごした。
翌日、ロイン、ゾイ、ハル、メイ、セヤは楽師長カルに呼ばれた。
「今日から君たちに正式に任務に就いてもらいたい業務がある。ゾイ、ハル、メイ、セヤ……君たちは四天王に就いてほしい」
「「はいっ!」」
「わしで本当にいいんですかい? 楽師長!?」
「君はロインやゾイをも幻惑の術にかけるほどの術者。『幻惑の術のセヤ』だろう」
「え?」
ロインはぽかんとなった。
「へ?」
ゾイは純粋に何を言われたのか理解に苦しんだ。
「じゃ、あの時の無限回廊はお前の仕業だったんか~い!」
――ぼこっ!
「ロイン様、痛いでございまする……」
セヤは頭を押さえながら抗議の眼を向けた。
「ロイン、お前は副官に就いてほしい。副官は四天王の部屋の隣だ。また引っ越しをさせてすまない」
「俺が副官!?」
「不満か?」
「いいえ、ありがとうございます」
「俺が死んだら、この城を頼む…‥ロイン」
「はっ」
ロインはひざまつく。四人も併せてひざまついた。こうしてロインの壮大な旅は本当に終わりを告げた。
<第八部 終了>