第三話
「これが、コミギ村……」
「ロイン?」
「変わり果ててる……」
そう、石造りの城に石造りの城下町が出来ていた。
やむをえない。
「我はロイン!! ベルダーシュの勇者!! 死にたくなければそこをどけ!!」
この声に逃げ惑う者、戦う者……真っ二つに割れた。
「お出ましだぞ、勇者が」
ヤミンが嬉しそうに言った。
「四天王と皇帝の五人で一気に攻めれば勇者なんざイチコロよ!」
「我が四天王の一人サガン!」
闇の蜂の仮面のベルダーシュが言う。
「我が四天王の一人ヤミン!」
闇の蠅の仮面のベルダーシュが言う。
「我が四天王の一人アパル!」
闇の蛙の仮面のベルダーシュが言う。
「我が四天王の一人キミシ!」
闇の蚊の仮面のベルダーシュが言う。
「そして我が新・皇帝ルクナだ!」
闇の孔雀の仮面のベルダーシュが言う。
五人はばきばき音を鳴らしながら変化する。
ロインもこれに応じ仮面を被り竜に変化した。
「一斉に攻撃しろ!!」
城下町を巻き添えにしながら五匹の強大な魔物が業火、氷、毒、隕石降下、風の刃を次々ロインたる竜に命中させる。
「やったぞ……」
しかしバリアによって全く無傷であった。
「光の刃!!」
竜は、ロインは五匹の怪物たちに次々光の刃を放った。
バリアは破れ、五匹の怪物は次々肉片になった。
ロインは変化を解いた。
「残党風情が帝王だの四天王だの笑止」
またロインの魔法によって多数が犠牲になった。
「聞け! これ以上の犠牲を我は望まない。どうか元の楽師団に戻ってくれ! 我々は歓迎する」
この声に身を潜めていた闇のベルダーシュが続々町の中央にやってきた。
「ロイン、すごい……」
しかしメイの言葉はロインに届いていなかった。
こうして闇のベルダーシュの残党の拠点はあっけなく崩れた。
「一つ聞きたい。カズヤの墓はあるか?」
「カズヤ……。聞いたことあります!! 前の四天王様と戦って負けたベルダーシュにして最後の村人だったとか。こちらになります」
町のはずれにカズヤの墓はあった。石碑があった。
「ここだけは丁重にしろと言われており、綺麗にしております」
「カズヤ……」
(俺、お前の村を取り戻したよ。遅くなってごめんな)
ロインは花束を置き、慰霊の踊りを行い、墓場を去っていく。
「これから、ここを復興する。大丈夫、城とか壊したりしないから!」
その言葉を聞くと元闇のベルダーシュ達は安堵した。