第十話
――コンコン
「入っていい?」
「いいよ」
「ねえ、食事持ってきたの」
「え? どうしたの?」
「実はね……ロイン、今のところは食堂使わないほうがいいよ」
「何で?」
「やっぱ……ロインは……ううん全員じゃないの。だけどやっぱ恨みを持ってる人少数だけど居るの」
「そっか……」
「みんな分かってるの。闇のベルダーシュが悪いってことに。自分たちがどんだけ酷い事してきたかってことも」
「でもやっぱ親友や子弟を殺されたってことも忘れてないの。だから復讐の連鎖は止めようって」
「泣かなくていいよ」
「え?」
「君は本当に強いんだね」
「水道建設、協力してくれよな。ここの衛生状況は酷いんだし」
「うん」
「一度水洗トイレになれるとボットンとか耐えられないからな。それに風呂も」
「うん……」
「みんなここの楽師団は転移魔法使えるから他所の村で入ったお風呂とか魅力的だろ?」
「ここってどのくらい居るの?」
「三百人ほどよ」
「じゃあたくさん作らないとな」
ロインはじっと傷をみつめた。
「それとお前をいじめる奴は許さない」
「え?」
「その傷、どうしたんだい?」
「分かってたのね……」
「楽師長に頼もう。今度から俺たちだけ遅番で食堂行くことを許してくれないかって」
「ロイン……」
「ありがとう」
「泣くなって!」
<第七章 終了>