第九話
「なあ……秋なんだよな?」
ロインは尋ねる。だが返事が無い。
「吹雪じゃねーか」
ロインにとって生まれて初めての冬行軍である。「東海岸には四季がある」とか大嘘である。実質三季である。
「馬死んじゃったし」
「分かった。分かったよロイン。本拠地に戻ろうか」
「本当?」
「だって本拠地の環境整備も重要な使命だし」
「じゃあ手を繋いで」
「うん」
「いくよ!」
そして渦を巻いて二人は消えた。
たどり着いた先はついさっきまで敵の本拠地。元ダークキャッスル。
「あ、ロインだ……」
「ロインだぜ……」
ひそひそ話が聞こえて来る。
「メイ、なんか歓迎されてないみたいだね……」
「大丈夫。王宮に行くよ」
そして四階の玉座にたどり着いた。壁は修復されていた。
「ロイン、ご苦労様」
「ロインの部屋は元四天王の部屋のどれかを使っていい。豪華だぞ?」
「ええ? 本当!?」
「食堂は一階ね。食券買って注文して」
へえ? 食券、ねえ?
「この壁、私が修復したんだ」
「すごいね」
「うん……」
土魔法の使い手だもんな。
「あと……数日休んだら水道建設をしてほしいんだ」
「ちょっと水源が遠くあるのが難なんだけどな」
まあ、ポンプでどうにかなるんだけどね。
「それまで地下水をくみ上げているんだが人口がどんどん増えて水が貴重な存在になってるんだ。ロインの仕事、貴重だから頼りにしてるよ」
「はい!」
◆◇◆◇
ロインは元四天王の部屋を見て回った。どういう魔法でやったのか分からないがなんとザイロの写実絵があった。
(師匠……。俺、師匠をいろんな意味で超える!)
こうしてロインはザイロの部屋を居室とした。




