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第七話
「ねえ、寒くない?」
「寒い!」
「いくら秋と言っても俺たちの感覚で言ったら冬だ」
(毛皮着て、よかった)
「ビーバーだけはやめてねって言ったらこれになっちゃった」
「仮面がビーバーだもんな」
「で、このデカい湖を迂回するんだろ?」
「そう」
「これが湖……ねえ?」
ユミシ村が見えてきた。
北方の部族は家がしっかりしている。その代わり夏が冷夏になると一気に飢餓になる。ロインは水道を作り、メイは温水タンクに厨房機器を応用したバーナーを作った。
「「おお~!!」」
一気に村人が喜ぶ。
「さらにこの温水タンクにこの魔石を入れると……」
「本当だ!! 水が綺麗になるぞ」
「なんでこんな効果になるんだ?」
「特殊な空気を出すからよ。清浄石とも言われているわ」
「へえ」
普通の水道建設の倍の日をかけて水道建設は完成した。北方の村になるとお風呂もバナーでお湯を沸かす。
「あ~、いい湯だ」
「暖房器具も喜んでくれたみたいだな」
「こんな調子で北上するの。でも本当の冬になる前に戻ってね」
「ああ」
ロインの新しい旅はまだ始まったばかりだ。