表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベルダーシュの勇者  作者: らんた
第七章 おまえら本当しつこいな!
73/117

第三話

 一頭の馬に乗った人が村にやってきた。


 「助けてくれ!! ここに勇者が居ると聞いて!!」


 「どうした?」


 「私ははるか北方の部族です。しかし、今年はあまりに異常な寒波で……『ラディア』が行われています。勇者様、助けてください!!」


 「酋長~!ロイン~!」


 村人の声を聴いてロインは村の中央に来た。旅人の名前はシマラ。ベルダーシュは既に殺されてしまったとのこと。


 「酋長、この大陸の北方ってどんな感じなんだ?」


 「氷の魔界だ。人が居られる世界ではない」


 「え?」


 「それ以外よくわからないのだ。陸が続くのかそれとも海になるのか。巨大な湖が五つあってそれより北は寒冷な大地になる」


 「酋長、俺にはもう代行者が居ない。つまり旅に出られないぞ」


 「酋長様。ところでこれは?」


 シマラが珍しそうに指を指す。


 「ああ、これは水道と言って……」


 「これはスゴイ。水汲みの仕事がなくなる。でも私たちの村じゃ水が冬季には凍ってしまう」


 「そっか~」


 ロインの水道敷設は北方では利かないようだ。


 「これは?」


 「これは調理器具で、よく見てて」


 ロインがコックをひねると簡単に炎が出た。

 

 「これもすごい!!」


 「だろ!」


 「これって二つ足すと温水作れませんか?」


 「温水?」


 「私たちの村々でベルダーシュが迫害されている原因は寒波です。ならば冬の寒さに打ち勝つものを作ればいいのでは? ……寒波が起きるのはベルダーシュの邪術のせいだと。でもこれならベルダーシュの術なら人間の恩恵になる」


 「問題はもう一回この村に顧問になるベルダーシュを置く必要があることじゃ」


 酋長の言うとおりだ。


 「ごめんよ……この村から勝手に離れられないんだ」


 ロインは困惑しながら言った。


 「私たちを難民として受け入れることは可能ですか? もちろん開拓はします!!」


 「酋長!」


 ロインが詰め寄る。


 「無理じゃ」


 「ええ?」


 「やっとこの村は生活が安定したんじゃ。こちらも飢餓になってしまう」


 「そうですか……おじゃましました」


 そう言ってシマラは去ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ