第六話
一方、ダークキャッスルに漆黒の竜の仮面を被った者が闇の渦を巻きながらやってきた。蒼の宝石を口元に近づけてると大きな声となった。
「皆の者、聞け!」
凛とした声だった。
「ダークキャッスルの理念は失敗した! だからと言って残党を組んで復讐するのは愚かな行為と思え! これから全国に音と物語を伝える楽師団の根拠地とする」
この声に困惑や泣き崩れる者が出た。
「これからこの地は闇の城<ダークキャッスル>ではなく伝承の城<フォークロアキャッスル>とするのだ」
徐々に人が集まる。
「我の名はカル。仮面の名はクロノスドラゴン! 闇のベルダーシュからもう一回流浪の楽師団に戻りたい奴はここ中央に来い! 楽器もベルダーシュの理念も含めてもう一回指導してやる!!」
カルは必死だった。
「我に続け! 教室を受講生でもう一回埋めようではないか!」
カルは道場を指さす。
「我に続け! もう一回町を再建しようではないか!」
カルは城下町を指さす。
「我に続け!! もう一回王城を復興しようではないか!!」
カルは玉座の方向を指さした。
その声を聴くと数人の闇のベルダーシュが集まった。
「仮面も闇色であることを辞めるぞ」
闇の仮面を指さして言う。
「再建は困難だ。それでもいいか!」
「はい!」
「よく言った」
そういうとカルは仮面を取った。
「貴方様は……」
「そう、我は竜帝王のスカウトを拒否して自由の身になった者」