第四話
いよいよ二人は扉の前に来た。
「行くぞ」
爆発呪文で扉を破壊した。
「邪魔させてもらうぜ」
「なぜ扉を破壊する必要がある。引けば開いたはずだが?」
玉座に座っているのは闇の竜の仮面を被った者。
「我はダークドラゴン。このダークキャッスルの主。天井によくも穴を開けてくれたな。まあ……よい。よくここまで来た。褒めてやる。今ここで仲間になれば我の支配地域の半分を与えてやろう。ゾイは副官とする」
「断る!」
ロインは即答した。
「お断りします」
ゾイも即答だ。
「命は惜しくないのか」
「お前の本当の名はゾギオのはず。本当の名も言えない奴なんて信用できないんでね」
ロインは得意げに言う。
「残念だな」
そう言うとゾギオはばきばき音を立てながら変化する。蝙蝠の翼がばさっと降り咆哮する。尾が生じ口は裂け牙と爪が伸びる。
ロインの竜とは似ても似つかないほどおぞましい闇の竜!!
天井を破壊しながらゾギオは本性を現した。
「いくぞ!!」
二人は竜と闇の狼に姿を変えた。二人もばきばき音をならしながら変化する。闇の竜は闇色が混じった業火の炎を吐く。闇の竜の尾が玉座を破壊する。
とっさにロインはバリアを張った。光の風の刃を放った。やはりバリアで防がれてしまう。
「ふぅ……ふふぅ……はぁ」
闇の竜は嬉しそうに呼吸しながら尾で攻撃する。なんとロインが張ったバリアが壊れた。二人は壁に激突する。
「おっと。こんな壁は邪魔だったな」
尾で壁をなぎ倒すと断崖絶壁に化けた。ここが四階だったことを忘れていた! 闇の竜は残りの天井を破壊しながら毒の霧、闇の霧と次々とブレス攻撃して来る!!
もう連戦で二人とも体力があまりなかった。
闇の竜が呪文を唱えると今までの闇のベルダージュとは比べ物にならないほどの闇の空間を作り隕石を降らせた
「ぎゃああ!」
ロインは、ゾイを…‥闇の狼を守るようにして自分が犠牲になった。
「ロイン、これ使って」
散らばった道具から回復薬を付ける。しかし焼け石に水だ。ロインはようやく長い呪文を唱え終えた。
口腔に光の珠が出来る。そして思いっきり吐き出した。
「こんなものでは我は傷一つ付かぬわ!!」
(今だ!!)
闇の狼が時空停止魔法を唱えた。
「はっ! 闇の我にそんなものが効くとでも?」
しかし、若干の時間差が生じた。
「ロイン、今だ!!」
ロインは掌から光の風の刃を出した。闇のバリアを次々破りそして竜に次々炸裂した。
「ぎゃおおおお!」
竜の断末魔が響く。そして光の業火が闇竜に炸裂した! 光の業火は闇色の竜の鱗をどんどん溶かし、肉を焼く!!
「ぐぎゃあああ!」
闇の竜は変化を解いた。全身焼けただれた竜帝王の姿があった。仮面も焼けただれている。もう変化は出来ない。
ロインは闇の竜の仮面を剥いだ。なんと竜帝王ゾギオの正体は老婆だった。
「なぜだ!!なぜこんな団体を作った!!」
襟を掴み問い詰めるロイン。
「ふっ! この大陸に数百年後文明が進んだ神の使徒がやって来て我々を殲滅する。我はそれを防ぐために国家を作って対抗しようとしたまで」
「ふざけるな! お前の狂った構想でどれだけの人間が犠牲になった!」
「いずれ我の言う事が分かるときが来よう」
ロインは思わず怒りに任せて光の業火でゾギオを燃やした。ゾギオは闇の塵となって消えていく。
「勝った……」
ロインはゾイに向かって言う。
「勝ったぞ……」
ゾイもロインに向かって言う。
「俺たちは勝った!!」
抱き合って喜ぶ二人。
二人はダークキャッスルを満身創痍で歩いた。
そしてザイロのところまでやってきた。もうザイロは絶命していた。
「ごめんよ、師匠。俺師匠を守れなかった」
業火の術でザイロを火葬にした。
「来世は一緒に特訓しようぜ」
闇のベルダージュ残党がおびえながら逃げまどい、ある者は転移魔法で逃げる。
「なんか、この旅続きがありそうだね」
ゾイはこれで終わりとは思えなかったようだ。同感だ。
「そうだよ……カズヤの故郷は闇のベルダージュが支配したままだ」
残党狩りか……。
「でも今日はもう余計なこと考えなくていいよ」
ゾイの言うとおりだ。
「ハルのところに戻ろう」
そうだ。
「それがいい」
ロインの言葉を聞くとゾイは力を振り絞って転移魔法を唱えた。