第三話
闇の熊が何度もパンチを放っていく。闇の狼がよけて、魔法を次々唱える。拳が床にめり込む。とうとうあちこち床に穴が開いた。
「業火の輪」
なんと闇の狼の周りが炎で包まれたではないか。炎が狼を囲む。囲まれた範囲がどんどん狭くなる。闇色の炎は天も覆っていた。
「浄化せよ」
熊が手をふるうと炎が狼を襲う。しかし狼は無傷だ。なんと自分で氷魔法のバリアを唱えていたのだ。
「闇呪縛!!」
闇色の狼が亡霊を呼び込み闇色の熊を襲わせる。毒に神経魔法が次々炸裂する。
「こしゃくなあ!」
強大な闇の渦で亡霊を消し去った。が、亡霊に闇魔法は聞かなかった。亡霊たちが闇色の熊にかじりつく。
「炎だ!」
通常の業火の魔法で亡霊を浄化させた。その時闇の狼は自分に闇魔法を唱えた。なんと狼の姿が二つになった。
「そんな分身、両方攻撃すればいいのだ!」
闇の業火の呪文を唱える。が、両方とも闇の霧とともに消えていく。突然上から闇色の狼の牙が迫ってきた。そして闇色の熊の首筋を食いちぎる。闇色の狼は鉤爪で腹を切り裂いた。
狼は変化を解いた。
「師よ……」
その言葉に応じて闇色の熊も変化を解いた。
「ゾイ……本当に立派になったな。もう……教えてやれることは……何もない。仮面を……取ってくれないか?」
ゾイが闇色の熊の仮面を取ると中年の男のベルダージュだった……。
腸ははみだし、意識も朦朧としている。
「さあ、俺を燃やしていくがよい。俺がここの祭壇の生贄になろう。もう二度とこのような悲劇を起こすでない」
「師よ、その心を受けとめます」
そう言うとゾイは業火の炎で葬った。
「ロイン……行こうか。最後の戦いに」
「ああ」
ゾイは涙を流していた。