第二話
ロインは三階で別れたゾイと再び合流する。
「ロイン、顔に傷が」
「ああ、すまない」
ゾイは懐から薬瓶を取り出し……薬をロインの患部に塗る。
「はい、これ精神回復薬」
「すまない」
これが無いと、最悪呪文が唱えられなくなる。精神回復薬は通常……儀式のときに使う葉を液体にしたものだ。依存性があるので多用は出来ない。
「いよいよ四階だね」
二人は四階に上がっていく。
四階には近衛兵のベルダーシュが一人だけ居た。
しかし、風の刃によって肉片と化した。敵の魔法はすべてバリアで跳ね返した。闇の鰐の仮面を取ると初老のベルダーシュであった。仮面を床に置く。
そして近衛兵の向こうには……。
「カイ副官様」
「来たか……裏切り者」
闇の熊の仮面の向こうには鉄の扉があった。
「ここは絶対に通させない」
「お願いです!! これ以上無駄な戦いは辞めてください!!」
「くどい!! お前を引き入れお前を指導したのが我が人生の最大の過ち!!」
「え!?」
「そう、ザイロがロインの師匠なら俺の師匠はカイ副官なんだよ!」
「ここから消えてもらう」
そういうと転移魔法を唱えた。いや違う!!
「これは闇送りだ!!」
「呪文を跳ね返せ!!」
「お前らなんぞ異世界に行ってしまえばいいのだ!!」
バリアとバリアで挟まれて暗黒空間は不安定になった。
(はっ!)
「隕石降下術!!」
カイは不安定になった闇空間から隕石を降らせた。
「こしゃくな!」
カイは転移魔法でふっと消えた。そしてなんとカイは二人の真後ろに来た!!
「業火の術!!」
「危ない!!」
ゾイはロインの手を繋いで転移魔法で転移した。
「ここは……屋上!!」
屋上にも祭壇があった。例のごとく祭壇には男児の生贄が捧げられており、内臓がえぐり取られていた。肝臓は金の皿に置かれていた。
「下の階に戻ろう」
その時なんとカイが転移魔法で屋上にやってきた。
「その必要はない」
「どうしてここが!」
「お前が初めて闇のベルダーシュとして洗礼を受けた場所がここだからな。察したぜ」
「……」
「ロイン、いい事教えてやる。良質な闇のベルダーシュになるには子供を一人生贄に捧げ闇の珠をもらうことで洗礼を受けるのだ」
「言うな~!!」
ゾイが悲鳴を上げながら闇の矢を何度も放つゾイ。しかしバリアで跳ね返される。
「では本気を出そうではないか」
そういうと闇の熊に変化していく。巨大な闇の熊が屋上に現れた。
「俺も!」
こうしてゾイは巨大な闇の狼になった。
「ロイン、手出し無用。カイ副官様、一騎打ちを申し込みます。二対一は卑怯というもの」
「その言葉、後悔させてやる!」