第一話
「風の刃!!」
闇の鴉に向ける巨大な竜となったロイン。しかしバリアで跳ね返されてしまう。次にロインは業火を吐いた。しかし竜の業火をもってしてもバリアで跳ね返されてしまう!
「こんなものか!ロイン!!」
闇色の風の刃を次々放つザイロ。
ロインが作ったバリアはどんどんひびが入る……そしてバリアの一部が割れた。ロインはザイロの風の刃を食らい竜の顔の一部に傷が生じた。
ロインはさらに上昇してもう一回バリアを作った。
「無駄だ!」
次々ザイロが放つ闇色の風の刃がバリアを破壊していく。
「氷の刃!!」
ロインは今度は上へ氷の刃を放った。氷の刃は放物線を描くように闇色の鴉に向かっていく。しかしザイロが作ったバリアに阻まれる。
「こんなもんだったのか! お前の実力は!!」
バリアが砕け散る!!
(今だ!)
「光の刃!!」
風魔法と光魔法を混在させた魔法である。闇色の風の刃を次々破壊していく!
「な……!?」
そして光の刃が闇色の鴉を直撃した。
「ぎゅえええええ!」
鴉は悲鳴を上げて地上に落ちた。鴉は変化を解いた。
竜も地上に降りて変化を解いた。もうザイロは全身血だらけだった。大地に倒れていた。
「ざまあ……ねえな……。これが闇に落ちた者の最後だ」
息も荒々しい。
「ロイン、俺はうれしい。よくここまで成長できたな」
「師匠!」
ロインは己の仮面を取って懐に仕舞うとザイロの手を握りしめた。
「風魔法と光魔法の融合……そんなこと考えられなかった。お前は天才だよ」
(そんなわけない。これは教わったものだ)
「さあ、俺は様々な者を殺めた人間だ。とどめを」
ロインは泣いていた。ロインはかぶりを振った。
「もう『闇のベルダーシュ』は終りだ。こんな悲劇を繰り返してはいけない」
ロインはただただ泣いていた。
「なぜ師匠の言う事が聞けない?」
(師匠だからに決まってるじゃねえか!)
「カズヤの敵を討ちに来たのではないのか? カズヤの血肉まで食べたんだぞ俺は」
(それでも!)
「本当にお前は弟子失格だな」
そういうとザイロは仮面を取った。
「なぜ殺さない」
ザイロの頬から涙が伝わり大地に雫が落ちる。
「ロイン……」
ザイロは指を指した。
「竜帝王。ダークドラゴンというのはあくまで表向きの名。本当の名はゾギオ。俺を闇のベルダーシュに誘った男だ。奴の弱点は俺と同じ光魔法だ」
「師匠……ありがとうございます」
やがてザイロは何も言えなくなった。ザイロの顔は青白く体は小刻みに震えていた。
ロインはその場から離れるように去って行った。