~序~
二階では前回寄らなかった場所にも寄った。そこは祭壇室であった。生贄にささげられた少女の死体が祭壇の上にあった。不思議な香りが立ち込めている。少女の内臓はえぐり取られてない。心臓だけ銀の皿に置かれている。
「行くぞ」
耐えられる光景ではなかった。
二階には少数の闇のベルダーシュしかいない。倒すと二人以外誰も居なくなった。
「反対側に三階に行く階段があるはずだ」
二人は三階に出た。
三階は四天王などの上層指導部の事務室や居室がある階である。
洞窟を活用した城なのでここが城ということを忘れてしまう。まんま洞窟なのだ。
しかも何度歩いても同じところをぐるぐる回ってる気がする。そもそも四人の四天王の居室の順番が同じではないか。明らかに同じ場所を何度も歩いている。
「おかしい」
ゾイは気が付いた。
「もしかして? この石、壊してみようか」
ロインは壁に埋め込まれていた緑色に光る石を壊した。すると遠くから人影が見えるではないか。
「幻影の術!?」
「その通りだロイン」
「ザイロ……」
「なにをやってもダメな子供がここまで来るとは……」
「誰かが教育を間違えたせいだな」
ロインは三日月の笑みを浮かべた。
「さあ、ベランダに出ようか? おっと、ゾイは手を出すなよ。ロイン!! お前に一騎打ちを申し込む!」
「望むところ!!」
三人は四天王の部屋からベランダに出た。
「ここは私の執務室のベランダでね。なかなかいい眺めだろう」
「……」
「ゾイ、お前は見届け人だ!」
「了解」
「じゃあ、始めようか。空中戦を」
そういうとザイロは闇の鴉の仮面を被りばきばき音を立てながら変化する。
ロインも同じようにばきばき音を立てながら竜に変化した。
「勝負だ」
「おお!」
空中で竜と鴉が咆哮した。