第九話
カサタ村に来て三か月が経過した。
季節は冬になっていた。
しかし調理器具と水道建設のおかげで村始まって以来の清潔で豊かな日々が過ごせるようになっていた。
ロインたちは懸命にリハビリを行った結果、元の体力を得ることが出来た。
お詫びにハーブ園などの畑を開墾した。
そこにも水道を引く。
カサタ村はますます豊かになった。
毎日お風呂に入るという贅沢も行った。
ハルには本当、何度お礼を言ったらいいのやら。
力を取り戻した二人は次に戦闘の練習を行うようになった。
ダークキャッスルに突入するために。
一時中断していたカルとの話も水晶を通して会話することが出来た。
そんな会話の中でひょんな話題が出た。
――光魔法って知ってるか?
「何それ?」
――闇魔法の対比になる神聖魔法とは違う。しかし闇属性にもっとも効果のある魔法だ。光線を一気に集めて攻撃する。こんな風にな!
なんと光が樹を切り倒していく! 水晶越しで見る光景だが威力は十分に伝わる。
「もちろん物理的にも効果あるが一番効果あるのは闇属性の者だ」
呪文は?
――呪文は……………………だ。
「俺やってみます!!」
ロインは乗り気だ。
「それと魔法そのものを跳ね返す魔法が光魔法にはある」
――呪文は…………だ
こうして特訓の成果のもと高度魔術である光の矢と魔法壁を習得した。
すっかり体が回復した二人はいよいよ旅立ちの時を迎えていた。
「ゾイさん、今度も必ず戻ってきてください」
「なんだ? ハル?」
「あの……いろいろ教えてほしいから」
「ああ、分かったよ。教えるから」
季節は春になっていた。
「それじゃまたな!!」
二人は転移魔法でダークキャッスルに転移した。




