第四話
闇色の蟲の仮面エルが指名する。
「ロイン、お前を指名する。一騎打ちを申し込む」
「いいだろう」
ロインは即答した。
闇色の鷹の仮面の者イルも指名する。
「裏切者ゾイ、お前に一騎打ちを申し込む。組織の面汚しめ! 殺してやる……!」
「望むところ」
こうして六人は広場に出た。周りは田畑だ。
カズヤと闇の鹿の仮面のベルダーシュが見届け人となった。
まずは誰と誰が一騎打ちする!!
エルが「俺が先に殺るぜ!」と言った。
そう言いながら変化した。
エルは全身吸血の穴がある巨大なワームになった。
ロインも負けじと竜に化身する。誇らしげに羽毛の羽を広げる。
ロインは先手必勝とばかりに業火を吐く!
しかしなんとワームは氷のバリアを張った
「竜の業火、破れたり!!」
そういうとワームは巨大な竜となったロインに巻き付いてくる。
巻き付いた体からどんどん竜は吸血されていく!!
「ぐあああ!!!」
竜の悲鳴が響く。
「ロイン~~~!!」
ゾイの悲痛な悲鳴も木霊する。
「一度巻き付かれたら最後、吸血されて死ぬのさ」
うれしそうにイルが言う。
ロインは変化を解いた。
巨大な蟲の被縛から逃れられたがロインは血だらけの上に意識は朦朧としている。
ロインはもう一回竜に変化し空を飛ぶ。
(業火ではだめ。ならばこれならどうだ!!)
翼をどんどんはためかせる。
そして印を結ぶ。
なんと巨大な風の刃が生じた!
ロインは風の刃を敵に向かって投げた。
――ふっ!
素早くかわすワーム、さらにまた氷のバリアを作った。
「風の刃ならお見通し」
「そうかな?」
なんと風の刃が追尾して来るではないか!!
そして風の刃は氷の壁を突き破りさらにワームを二つに切り裂いた!! 勝負ありっ!
「エル~!!」
ワームの巨体は二つに分離した。
紫の体液をまき散らしながら倒れる。
ロインは竜から人間に戻った。
ロインも倒れた。
「ロイン!!」
「ロインの意識がない!!」
ゾイが悲痛な声で呼びかける。
「宿屋だ!!宿屋を借りるぞ。それと医者だ!!」
カズヤがロインを必死に肩で支えながら運ぶ。
「ゾイ、今度はお前の番だ!」
イルは闇色の鷹に変化する
ゾイも闇色の狼に変化した。
鋭い嘴が狼を次々襲う。
さらに闇魔法が炸裂する。
隕石が降り注ぐ。
「死ね! 死ね! 死ね!」
闇色の鷹が血眼になって次々魔法を唱える。
「どうだ?狼では空からの攻撃に無力だ!」
狼がどんどん血だらけになっていく。
そしてとうとう悲鳴を上げて狼が倒れる!!
「どうだ!! 我!! 勝利したり!!」
「それはどうかな!」
狼が咆哮するとダークヒールを唱えた。
「はっ! 今更ダークヒールを唱えて何になる?」
「時空停止!!」
ゾイが呪文を唱えると闇の鷲の周りに暗黒空間が作られる。
「なんだ? 鈍くなって…‥」
「いまだ! 隕石降下!!」
普段ならこんな隕石なぞよければいい。バリアも張ればよかった。
しかし、イルは魔法の詠唱も遅かった。
唱える前に、逃げる前に次々隕石が闇の鷲に当たる
「ぐぎゃあああ!」
闇の鷲が地上に落下した。
「今だ!!」
狼は鷲の首をかみ砕いだ。
狼は首をへし折られ、絶命した。
狼は鷲の血肉を食って己の傷を修復させていく。
そして変化を解いた。
ゾイは闇の鹿の仮面の者を睨みつける。
「あ……あ……ああ……!」
そしてゾイは闇の鹿の仮面をはぎ取った。闇のベルダーシュの正体は中年の女→男のベルダーシュであった。
「この仮面は頂くぞ。それとダークキャッスルの帝王に伝えるんだな。四天王をこれで三人倒したと」
仮面を懐にしまうゾイ。
「名前は何という」
「ヤユ、ヤユだ!」
「ヤユよ。敗北を伝えろ」
そういうとヤユは転移魔法を唱えて消えた。
ゾイはヤユが消えるのを見届けるとその場で倒れた。