~序~
「見てくれ!! 海岸だよ! ほら!!」
水晶を通して五人は会話する。
「それにこの貝。東海岸では見ないだろ」
――本当だな
「俺、目的を達成したんだ」
――そっか……
れ? 師はなんか嬉しくなさそうだな。 ロインは少し違和感を感じた。
「それと」
ロインはハルを連れて来た。
「ハルも冒険する期間が終わりを迎えているんだ」
「そうか……」
「やっと僕が教えた転移魔法が出来そうなんです」
ゾイはどこか誇らしげだ。
「でもハルの村は闇のベルダーシュが支配したままなんです」
――決闘しなきゃいけないな
えっ? だから師は嬉しくなかったのか。
――カサタ村の闇のベルダーシュと決闘して自分の地位を取り戻すしかない」
「カルさん、私やってみます」
ハルの決意は固かった。
――そのためには鬼になった時に巨大な武器があるといいぞ
「そういった武器を運ぶ時にも闇魔法は便利なんだ」
へえ。そういえば。
「ということは巨大な武器さえ作れば」
カズヤも気が付いた。
「そうだ。ハルの土魔法と蒼鬼となった後の巨大な武器で対抗可能だ」
土魔法、侮れないな。
――相手の闇のベルダーシュがどんな魔法を習得してるか気になるがな
「で、村を取り戻したら水道建設だな」
そう、そのあとはロインの出番である。
――ロイン、そういうことになるな
「ハル…俺たちと別れる前に最大の試練が待ってるな」
ゾイはなんかもう親密な関係になってるな。
「ええ、でもあなた達とならできそうな気がする」
ハルもなんかゾイの事を……。
――今日はこんなとこかな? じゃあな、お休み
水晶から反応が消えた。
「いよいよだね」
ハルの戦いが近い。
「本当は上級闇魔法も教えたかったけど……武器はどうするかだな」
ゾイの上級闇魔法伝授の時が来た。
「砂鉄かき集めて巨大な棍棒でも作るか。鬼の武器の鉄板だな」
鬼の武器は剣などよりも棍棒である。物理的に肉の塊にする。
「わたし、頑張るから」
ハルがこんなに懸命になるの初めて見た。
「あんま無理するなよ」
ゾイは心配そうだ。
「うん」
こうして小屋の明かりが消え、一日が終わった。
ハルにとっては冒険は終盤を迎えていた。