第九話
村人を脅かさないために村からだいぶ離れた。
「そろそろだな……みんな、いくぞ!」
ロインの号令と共に骨音を鳴らしながら変化していく。
「蒼鬼はいつも通り竜の手で掬って行くからな!」
ロインはいつも蒼鬼ことハルを運んでいる。
「落とさないでね!!」
ハルは念を押す。
「狼は地上から走っていくぞ」
四人はいっせいに仮面を被ってばきばき音を鳴らしながら変化していく。
そして移動が始まった。
砂漠を抜けると標高がどんどん下がっていくのが分かる。
草原になりやがて森に入っていく。
「よし! 今日はここに小屋を作るぞ」
そう言ってロインは蒼鬼を地上に降ろしてから元の姿に戻った。
へとへとだ。
梟は狼を誘導しながら旋回してだいぶ遅れて到着した。すでに小屋が出来ていた。
「二人ともお疲れ」
「俺はもう寝る」
そう言ってどうと倒れるとロインは深い眠りについた。
◆◇◆◇
「やっとコミギ村の場所が分かりました。こいつがコミギ村から報告に来た闇のベルダーシュです」
「エル、でかした」
「さっそく我々を転移魔法でコミギ村へ連れて行ってくれ」
「御意」
こうして三人は手を繋ぎコミギ村へ転移した。
村人はすべて闇の僧衣を着た者だった。植民は順調のようだ。
「エル四天王様とイル四天王様がお見えになったぞ」
「敬礼!」
「皆の者よ楽にしてよい」
「サムル村は知ってるな」
「「はい」」
「サムル村をなぜ攻略しない?」
「あそこは恐るべきベルダーシュの顧問がいるからです」
「ベルダーシュの名はカルと言います」
「カルの仮面は確認したか?」
「はい、漆黒の竜の仮面です」
「漆黒の竜!?」
「闇色とまでは行きませんが……我々の仮面は一部紫がかった黒色です。これに対しカルの仮面は完璧なまでの黒色です」
(まさか、そんな馬鹿な?)