第八話
「着いたね」
ロインが作った小屋はまだ見つかって無かった。
「いざという時のためにこの小屋に闇の僧衣を置こう」
ロインは小屋に闇の僧衣を置いた。
「賛成」
ハルとカズヤも闇の僧衣を置いた。
「まあ別の旅人が持っていく可能性もあるがな」
うーん、そんなものを持っていったら周りと敵対するだけなんだが。
「それでもかまわないさ」
ロインはもうその件に関してどうでもよかった。次、攻めていくときは闇の僧衣を着るのではなく堂々と攻めるときだろう。
「じゃあここを出るぞ」
カズヤの号にみんな従い……そして外に出た。速足で一斉に西に向かう。
「おい、本当に砂漠だな」
暑さが直接刺さるような「熱さ」だ!
「でもアジトがまだ見えるわ」
ハルの言うとおりだ。もっと遠くに!
「ここからじゃ変化して移動するとばれるかも」
ロインは楽しようとしたがその目論見は打ち砕かれた。
「歩くのか~!」
ロインが嫌がる。
「水晶から逆方向で光が出てる」
カズヤが水晶を使って方向を指す。小さな光だ。
「鉱山とかじゃないことを祈るよ」
そう、鉱山だったらアウトだ。
◆
――二時間後。
「暑い……」
ロインがしんどそうに言う。
「方向感覚が狂う……」
ハルもしんどそうだ。
「土魔法で水出せたりするのかな」
カズヤはハルの魔法を使うことを提案した。
「でも水晶の光は太くなってきてるよ」
ハルは水晶の光を見て言う。
「あ、水魔法はこんな土地じゃ無理よ」
ですよね~!?
「転移魔法無かったら俺たち遭難で死んでるな」
いざとなったら引き返せる。それが唯一の救いだ。
「全くだ」
◆
――四時間後。
「見ろ、明りだ」
ロインはしわがれ声だ。
「村だ」
カズヤがひび割れた声で言う。
「村が見えた」
ハルはまだ声が無事のようだ。
「助かった」
ゾイは安堵した。
「「村だ~!」」
四人は村へ走った……。
ここはオアシスの村コチャであった。
四人は水をがぶがぶ飲む。そして宿屋に走る。駆け込んだと言ってもいい。
「トーテムは見たか?」
ロインの声は治っていた。
「見たぞ。最悪ここから出発可能だ」
ゾイもちゃんとトーテムを見たようだ。
「やれやれ」
ハルは安堵した。
「じゃあ明日は変化するから体力蓄えておけよ」
そうか、体力を回復すればもう変化して飛べるのか。カズヤの意見ではっとした。もうここまで来ればさすがにダークキャッスルの連中もそう簡単には来ないだろう。
――ただし、この村が闇のベルダージュの支配下でなければ
だからこの宿に泊まるのは「賭け」なのだ。
「お休み」
◆◇◆◇
「なあ、俺たちさあ」
エルが言う。
「なんだ」
イルは聞きたくなさそうに返事した。
「ロインを探すと言っても」
「うん」
「どこ探せばいいんだ?」
そうだ。どこに行けばいいのだ?
「いっそのことロインの故郷を脅せばいいんじゃね?」
イルがそっけなく言う。
「そりゃいい案だがロインの故郷ってどこだ?」
エルが当然の事を聞く。
「俺たち闇のベルダーシュが植民してるコミギ村の近所ってことまでは聞いたぞ」
「そこに行けばすぐって事じゃん」
「じゃあさっそくコミギ村まで転移するか」
「出来ないぞ。おれを異世界に飛ばす気か?」
「へ?」
「だって俺たちコミギ村なんて行ったことない」
「そっか」
「ザイロが滅ぼしたんだから……ってザイロが手を貸すわけないか」
「部下に徹底的に聞き込みするしかない!!」