第七話
「……馬鹿者」
「申し訳ございません」
「この大馬鹿者めが!!」
「まことに申し訳ございません」
四天王のうち三人と副官が跪く。
「人質が取り返されただと!? この無能が!」
氷の刃が四天王と副官の傍に飛んできた。
「エル、イル!」
「はっ」
「二人で取り返してこい」
「出来なかった場合は四天王の座から降格だ」
「ザイロ」
「はっ」
「お前が亡ぼした村への入植……闇のベルダーシュ達の入植はうまく行ってるな?」
「はい、確実に」
「それでよい。我々の領土が増えること間違いなし」
「ところでザイロ。西海岸で『ラディア』が起きてるとな?」
「はい」
「亡ぼせ。我が領土とせよ」
「副官!」
「はっ!」
「近衛兵部隊を作るのだ」
「この失態、我にも責任がある。そもそも本丸に精鋭部隊を置かなかった我も悪いのだ……だからエルとイルにはラストチャンスを与えてやる。しくじったら降格及び入植地での勤務と思え」
「「はっ!」」
◆◇◆◇
「あー、腕輪が外れた」
ゾイは掌から炎を出す。
「魔法が使えるっていいね」
しみじみというゾイ。
「で、今度はどこに行く?」
ゾイガロインに聞く。
「三年間のうち西海岸の海を見ることが俺の旅の条件なんだ、だから……」
「ロッキーをやっぱ超えるのか」
カズヤは少し不安だった。もう一回敵地の近所に行くことになる。
「あの小屋までワープしてそこから西海岸に行けないかな」
「出来ると思う」
「でも気を付けて、敵の本拠地の近所なんだよ」
カズヤがもう一回念のために言う。
「うん、分かってる。着いたら即小屋から離れて西に向かうからね」
ハルの言うとおりだ。小屋が見つかって無ければいいが。
「小屋を思い描いた?」
ロインに聞くゾイ。失敗したら異世界行かもなのだ。
「ばっちしだぜ!」
「じゃあ転移魔法を唱えるよ!」
そういうとゾイは転移魔法を唱えた。四人は闇の渦とともに消えた。