第六話
「行くよ」
三人は闇の僧衣を着込んだ。
「いよいよ敵の本拠地に乗り込むんだな」
カズヤは紐を締めた。
「仮面ないけどどうするの? お前らの仮面見せろって言われたらまずいわ」
「一つゾイの闇の狼の仮面ならあるけど」
「それかぶったら即ばれるだろ!」
「ですよね~」
ロインの無計画ぶりに二人は呆れていた。
「どっかで襲って仮面奪うか」
「でもなんとかの仮面を奪われたってすぐ情報が行くと思うよ」
ハルの言うとおりだよな。
「そっかー。じゃ、盗むか」
「それしかないのか」
どうやって盗む……。
「自分の仮面と闇の仮面二つも懐にしまうのは大変」
ハルの言う通りだ。二つも仕舞うのは不自然だ。バレなきゃいいが。
「皮袋に仕舞うしかないだろ」
それも不自然だよな? でもそうするしかない?
「街に来たぞ」
――堂々としろよ
――分かってる
街を歩くと通常の店のとかに工場を見つけた。
――これは
――厨房器具の工場だ
――これ、鉄じゃない。やっぱ石だ
――ずっと眺めてると不審者だから洞窟の中に入るぞ
洞窟の中に入った。
階段もちゃんとある。
「こんにちわ」
「こんにちわ」
ちゃんと挨拶を返す。
「だめだ!なっとらん!」
「「はい!」」
どうもここは闇魔法道場のようだ。隣は食堂だ。新米の闇のベルダーシュらしき人物がバケツ持って水を運んでいる。
――バケツを頂こう。仕事をする振りをすることが出来る
――かしこいね~
――すごいね
ロインたちは階段を上っていく。空のバケツを持ったまま。
二階は宿舎のようだ。
ロインは階段をさらに上っていく。
三階に行くと空気が変わった。
「お! どこに行くんだ君たちは?」
「すみません、道に迷ってしまって」
「新米か? ここ三階は四天王や副官の執務室だ。そそうのないようにな。あと最近裏切者を閉じ込めているから近づくなよ」
「ありがとうございます」
よかった!! 顔バレしなかった!!
(ここにいる!)
(赤く光ってる!!)
(施錠解除呪文ってどうやるんだっけ!?)
(闇魔法解除呪文ならもしかして!)
赤く光った壁が光らなくなった。
ゆっくりと壁が滑り出す。
中の部屋でバケツを置く。間違いない!!
「ゾイ」
ゾイは足を踏みながら何かを回していた。
「ロイン!」
お互い抱き合った。互いの涙が溢ふれる。
「感動の再開はいいが、ここから早く出るんだ」
カズヤの言う通りだ。
「そうだった。ここは魔法が一切封じられてるエリアなんだ」
「この腕輪の宝石を取ってくれないか?これが魔法を無効化する魔石だ」
ロインは小刀で宝石を刳り貫いた。
「OK! 取ったぞ」
「ありがとう。じゃあクミラ村まで一気に転移するぞ」
そして扉の外に出た。
「あ! お前らは!!」
偶然廊下を歩いていた闇の蟲の仮面に見つかってしまった!!
闇の蟲の仮面は業火の魔法を唱える。かろうじて避ける四人。
「手を繋いだか!」
すると黒い渦を巻いて四人は消えた。
たどり着いた先は……。
クミラ村だ……!
間違いない。クミラ村だ!!
「俺たちは友を奪還したぞ!!」
ロインが両手を上げて喜ぶ。
「ゾイ!!」
「痛いよ、カズヤ…‥」
四人は抱きしめながら、泣きながら喜んだ。