第四話
あまりの疲労で午後まで寝ていた三人。
「体があちこち痛い」
ロインはもう化身になれそうにない。
「あ、水晶が……」
カズヤが気が付く。
「もしかして……この強烈な光の筋は……」
ハルも気が付いた。
「アジト……」
ロインは痛みをこらえながら言った。
「いよいよ敵の本拠地が近いんだね」
ハルはようやく実感する。本拠地に乗り込むのだということに。
「いいかい、これからは本当に慎重に行くんだよ」
カズヤはロイン見て言う。
「そうだね、先に小屋を作るか。今度は洞窟で寝るなんてまっぴらだからな」
こうして小屋づくりが完成した。しかも水道完備で風呂完備で厨房機器まで完備だ。
「夜はここに明りがあったら怪しまれるから無しね」
それはつらいなあというロイン無言の異論に釘を刺すカズヤ。
「夜の明りまであったらこの快適空間は自宅並みだな」
まだ言うか、ロイン。
「で、闇の仮面と闇の僧衣はゾイが残した一式分しかない」
友の衣服を使う時が来た。
「つまりアジトに入るには一人しか入れないという意味になる」
このままの姿じゃばれる。ロインの言うとおりだ。
「怪しまれるからか。そっかー」
ハルよ、今頃気が付いたのかとロインは思った。
「ここを拠点にして敵の中を探して敵の服装と仮面を奪うしかない」
カズヤはまた物騒なことを言う。
「闇の仮面って呪われるとか心まで闇になるとかそういったマイナスの効果はないよね」
カズヤはそれが心配らしい。
「ゾイを見れば分かるだろ」
そう、持ち主の問題だ。
「というか……いちいち仮面を被ってるのかな?」
ハルの疑問に対したぶん、被ってない。ゾイを見ればわかるとロインは思った。
「大体、普段は仮面を被っていないのでは?」
ロインはハルに行った。
「そっか!」
――ロイン
水晶が光る。
「カルだ!」
「こちらロイン」
――旅は順調かい?
「ええ、いよいよ敵の本拠地に近づきました」
――いよいよだな。冒険譚のクライマックスになるわけだ」
――今紡いでいるこの物語がハッピーエンドになることを願うよ
――じゃあな
「はい」
水晶の光が消えた。本当便利なもんだ。
「明日敵の本拠地が見えたらカズヤとハルの二人は引き返す。俺がゾイの闇の僧衣を着るよ」
「了解」
「なるべく早く三人分の闇の僧衣を手に入れるから」
「おやすみ」
ハルもくたくたのようだ。
「俺も寝るか」
カズヤも限界だったらしい。
こうして三人は久しぶりにまともな環境で眠ることが出来た。