第二話
大地の怒りが消えた。
「過ぎ去ったか?」
ロインは確認する。
「ああ、過ぎ去ったぞ」
カズヤは確認する。
「間違いないわ」
ハルも確認する。
「業火の術で石を少し溶かしてよかったぜ」
ロインがほっとする。
「じゃあ今度は土の術で割って」
「了解!」
こうして石を割って地上に出て三人が見たものは何もかも破壊しつくされた自然の姿だった。
「こりゃまた派手にやられたな」
カズヤはショックだった。
「これから行く村が心配だよ」
ロインは茫然としていた。
「とりあえず魔石の反応がある方向に行ってみよう」
カズヤは冷静だった。
「馬の眠りを解除してくれ」
カズヤはハルに指示を出す。
「はい!」
こうして馬も起きだした。
「お前たちもごめんな」
――ひひーん!
馬は抗議の声を上げた。
途中寄ることが出来たヘミカ村の惨状は酷かった。
あらゆるものが破壊されていた。人間が樹の枝で突き刺さっていた。生き残った者は無事地下の倉に逃げ込んだ者だけだ。
ベルダーシュを訪ねた。
ネムという名前で牛鬼の仮面があったとのことだが仮面どころか家がつぶれていた。
再建にはおそらく半年かかってしまうだろう。なぜなら樹自体も全滅に近いからだ。いつも通り小屋を作るのとはわけが違う。
「無理だ、ここまでされると再建は長期戦だ」
「ああ、今の俺たちはゾイを救うことが優先だもんな」
一行は諦めてほかの村に行く決断を下した。
「罪悪感ある?」
ハルがあえて聞く。
「あるに決まってるだろ」
ロインは即答した。
「初めてだね、何もせず村を通り過ぎたの」
ハルは……悔しそうだ。
「ここからロッキー山脈だぞ」
カズヤが言う。
「でも俺たちロッキー山脈のどこにアジトがあるか分からないぞ」
「村人に聞くしかないだろ」
◆◇◆◇
夜になってテントを張ってカルと会話する。
――なるほど。アジトの場所を突き止めるのなら簡単だ」
「本当?」
――アジトには闇のベルダーシュがいっぱいいるはず。つまり魔石が多数あるはずだ」
――一般の村の魔石がある方向には弱く細い光線になるがアジトが近くなると強く太い光線反応を示すことが出来る
――つまり光線が太い方角がイコールアジトの方向ってわけだ」
――最初は弱く太い光線だから間違えるなよ」
「ありがとう、カル」
――こちらこそ。これからも毎日武勇伝を聞かせてくれよ」
「ああ」