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ベルダーシュの勇者  作者: らんた
第四章 親友を取り返す!
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第一話

 三人にとってゾイを失ったのは物理的にも心理的にも痛かった。なにより、ゾイを取り返せるのか心配だった。


 「私がもっと早く転移魔法を覚えていたら……」


 「ハルさん、しょうがないよ。こうなることを予測してないんだからな」


 カズヤがなだめる。


 「でもハルさんのおかげで宝石を売ったからほら……」


 ――ひひーん


 馬が買えたのである。三匹も。


 「これからどうするの?」


 ロインは不安げに聞く。


 「おい、ところでこの天気」


 カズヤは血相を変えた。


 「まずいわ!!」


 ハルも事の重大さに気が付く。


 「竜巻が来るぞ!!」


 旅が始まって約一年。ロインは自然の驚異も存分に味わうこととなる。


◆◇◆◇


 一方、ダークキャッスルでは……。


 「今年も破壊神に祈る時期が来ました」


 闇の蟲の仮面がひざまずきながら言う。


 「そうか。生贄の確保に抜かりないのだな?」


 闇の竜の仮面が玉座に座りながら聞いた。


 「はい」


 「今年も竜巻が暴れてくれるでしょう」


 「生贄に捧げる男の子はしっかり綺麗に、装飾品をこれでもかと身に付けておくのだ。毎度のことだが」


 「御意」


 闇の熊の仮面は祭壇の地に来た。


 黄金の装飾品に身を固めている男の子が震えている。手足と首は鎖で繋がれている。


 闇の熊の仮面が呪文を唱え、次に子供の胸に刃物を刺し、刃物で肝臓をえぐりだし、肝臓を祭壇に置いた……子供は絶命した。


 「にえをお受け取りください、風の竜よ」


 血だらけの手で仰ぐ闇の熊の仮面……。


◆◇◆◇


 「とにかく下に潜るんだ!!」


 カズヤは必死だった。


 「さすが土魔法のハルだぜ!」


 ロインは感心する。


 「でもまだまだ深さが足りないわ!」


 ハルは慌てる。


 「馬よ、ごめんな」


 馬は暴れないように睡眠魔法で眠らせたうえで地下に潜っている。ハルのとっさの判断だ。ロインはそっと馬をでる。


 「石で入り口をふさいだか! 炎の魔法で石を溶接したか!」


 カズヤがハルに確認する。


 「ええ!」


 「来るぞ!! 風の竜が! 竜巻が!!」


 この地でもっとも恐れられているのは暴風雨ではない。風の竜、つまり竜巻なのである。


 「信じられない音が地上から聞こえてくる!!」


 ロインは未体験の恐怖におびえている。


 「とにかく耐えるんだ!!」


 カズヤがロインに叱咤しったする。


 「もしハルが居なかったら俺達は即死だったぜ」


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