~序~
(あれ……ここは?)
(牢屋……?)
(それに俺はみんなで風呂に入ってたはず。なのに自分が着ている服は闇の僧衣。いつのまに……)
(腕輪がはめられている。外せない!!)
一時間……そして二時間が経過した。
(だれかが来る!!)
「ゾイ、出るんだ」
闇の熊の仮面が言った。
「カイ副官様」
「名前はちゃんと覚えていたようだな」
「お前は大事な人質なんだ。獄死されると困るんでね」
衛兵や副官と共にゾイは牢屋を出た。城下町に出た。自分が居たのは見張り小屋横の牢屋。
そう、ここは自分が長年過ごしたアジト……ダークキャッスル。
「すべての魔法を封じるエリアにお前を軟禁する。食事は用意してやる。安心しろ」
カイはそう言いながら洞窟を利用して出来たダークキャッスルにゾイを連れていく。
次々ダークキャッスルの階段を上っていく。そして四天王や副官がいるエリアにやって来た。
「入れ」
廊下や部屋には魔法を無効化する魔石があちこち埋め込まれていた。腕輪にはめ込まれた魔石と一緒だ。
「三部屋のみお前が自由に行き来できるエリアを与えてやる」
「部屋に籠りきりじゃ体に毒だ。そこで昼間は足でこぎながら粉を引いてもらおうか」
「お前の仲間が半年以内にお前を引き取りに来なかった場合、お前は処刑が決まっている。……それとカサタ村には新しい闇のベルダーシュを配置させた。カサタ村の心配は無用だ」
カイが頭を下げる。
「これはザイロ様」
「カイか」
仮面を取るザイロ。
「ゾイ、お前の力は惜しい。忠誠心と闇への渇望さえあれば今頃お前は四天王の地位だったかもしれないのに。……まあ、せいぜい毎日……粉轢き頑張るんだな」
そういって扉を閉められた。ザイロは魔法を唱え扉が開けられないようにした。
「ここの小さな扉から食事が出る。トイレも風呂も完備だ。病気の時は言うがよい。回復魔法や薬を与えてやる。半年の間だけな」
小さい扉が閉まる音が響く。
(しくじった!)