第四話
「俺の名はアル。元四天王だ」
「ここじゃ何だ、外に出てもらおうかご一行様。それと……裏切り者がいるな」
「……」
ゾイは顔を伏せた。
「望むところだ!!」
カズヤは意気込んでいた。
こうして全員村の外に出た。
「じゃあ、始めようか?」
そう言うといきなり炎の魔石を振り撒く。そして業火の術を発動させる。
「逃げろ!!」
しかし、一部は炎で傷を負った。
「回復魔法だ!!」
カズヤの回復魔法で全員が一気に回復する。
ハルは地震魔法を起こした。敵がよろめく。
「今だ!」
風の刃の呪文をロインは唱えた。
当たれば即死だ。しかし。相手は避けた。
「本気出す」
呪文を唱えるとめきめき音を立てながら巨大な闇色の鬼になった。
拳で打ち付けて即死させようとする。
「ならば俺たちも!!」
こうして梟、竜、蒼鬼、闇の狼に四人は変身した。
梟の嘴、竜の業火、鬼の一撃、狼の牙によってなすすべもなかった。
「おのれ……裏切り者……」
それが最後の言葉だった。
変化したまま死ぬと人間に戻れず巨大な闇色の鬼の死骸が残った。
四人は元の姿に戻る。
「数の力の勝利だね!!」
「元四天王だけあって手ごわかったぜ」
「丁重に葬ろう」
「そうだな」
ロインは薪を持ってきて業火の呪文を唱える。
こうして戦いは終わり、この村は闇のベルダーシュの支配から解放された。
村はあまりの嬉しさに宴が始まった。
「今日は無礼講。しかも水道まで完成してもらって感無量です」
「いえいえ」
「今日は男のハーレム、女のハーレムもご用意しました。ぜひ、一晩の楽しみをご覧あれ」
「それじゃ俺はこいつにするわ」
「俺はあいつだな」
「私はこの人」
「俺はこの人にする」
指名された村人は飛び上がるように喜んだ。
こうして夜が明けた。
次の日全員の村人の声に見送られながら四人は旅立った。