第三話
「ねえ、炎の魔石を使った厨房さあ」
「何?」
「あれ、私たちが真似しちゃっていいんじゃない?」
「あ……」
「しかも相手は頭いいんだよ。だって炎の魔石を売りこむことが出来る。つまり資金源に出来るってことだよ」
それ、いいなあ。
「うちらの水道みたいに雷の魔石のエネルギー切れたら新しいの見つけてなんていう放置じゃないからね」
そうだよな。うちらはアフターサービスが無いんだよな。
「アジトにあったってことはゾイ、お前なら仕組みが分かるんじゃないか?」
「すまん……意識せずに調理してた」
「はあ……」
「見えてきたぞ。マヒカ村だ」
四人はマヒカ村に入る。
「この村のベルダーシュはどの家にいますか?」
「一番奥だよ」
洗濯物を持ってるおばさんが答える。
さっそくベルダーシュ一行はベルダーシュの家で信じられないもの見る。
「あら、こんにちわ」
そう、炎の魔石を使った調理器具だ! 「女→男」のベルダーシュが料理してる!!
「こんにちわ」
「ねえ、この調理器具凄いね」
「うん、ついさっき黒の鬼の仮面をかぶったベルダーシュが作っていったわ。でも炎の魔石代がかかるから微妙なのよねえ」
「実は俺たちもすごいの作れるぜ」
「何それ?」
ロインは水道建設を概略で説明した。
「スゴイわ!? この村は神の使いが来てるのかしら!!」
「私の名前はキレよ」
こうして、水道建設が始まった。そしてその代償は……。
◆◇◆◇
「ちょっと厨房機器いいかな?」
「いいけどちゃんと使えるようにしてね」
「OK!」
そして分解してみた。
「これは……」
コックをひねると呪文が書いてある鉄板が回るようになっている。
コックと鉄板は一緒になっていた。横長で細い円柱型の鉄板には呪文が書かれている。といっても俺たちネイティブアメリカンは文字を持たない。これは絵文字というやつだ!
回すと自動的に光が生じる。魔法が発動したときに光る色だ。
「これは凄い!!魔法が使えない人でも炎の魔法が使えるようにしてある!!」
「おいおい、アジトで使ってて気が付かなったのかい?」
ロインは呆れた。
で、コックを元に戻すとまた鉄板が光った。
解除呪文だ。
「この鉄板の文字を写してしまえば……」
「ああ、奴らの独占販売を阻止できるぜ」
ロインの目が輝く。お前金の事しか考えてないな?
「もっともコックがちゃんと機能しないといつまでも燃え続けるという危険が生じる」
「え?」
「魔法ってのは何かの代償が伴うんだよ」
「だから、本当は解除呪文の鉄板を別に用意するべきなんだ」
「じゃないと火事が起きる」
そっか。
「インク持ってきて!」
「写すよ!」
こうして呪文を写した。
「炎自体は初歩の炎の魔法だな」
「へっへっへっ! 解除呪文の道具を売るという手段もこれで出たわけだ」
「俺たち、敵より一歩リードしてるぞ」
こうして四日が過ぎた。そして、水道が完成したその日……。
◆◇◆◇
(なんだこれは!?)
闇色の鬼の仮面が村に入って驚く。
なんと四日で水道を建設した奴がいる!!
(あいつらか!)
(炎の魔石を余分に売ろうと思ったが後だ。こいつらを始末するぞ!)