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ベルダーシュの勇者  作者: らんた
第三章 親友が、連れ去られた!?
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第一話

 「寒い!!」


 「しかし、この時期にロッキー超えするかね?」


 「だけど術者と仲間が知ってる場所しか転移できないんだろ?」


 「そうだ」


 「だから闇のベルダーシュの本拠地に近い村しか俺は知らない。ゆえにそういった村にしか転移できない」


 そうか。そうだよね。


 「ところで俺はもう裏切者だ。いつ奴らに襲われてもおかしくない。なにせ、俺の顔は闇のベルダーシュの間では知られているんだからな」


 「そういえば闇のベルダーシュってどんな組織なの?」


 「ロイン、知りたいか?」


 「声を盗み聞きされるかもしれないぞ」


 「そんな大げさな」


 「だってこの水晶を宿屋の部屋や酋長の家にこっそり魔石を設置したこともあるくらいだからな、俺は」


 そんなことまでやっていたのか。


 「人の弱みを握る事なんて簡単なんだよ」


 「……」


 「だから、村でこの話をしないほうがいい。野宿してこの話を聞いた方がいいな」


 「そうか。幸いロッキーには予想に反して樹も多いな」


 「そうだ、でも峠を越えると樹が無い場所も多くなるぞ」


 「そっか。今のうちなんだな」


 「じゃあ小屋作るか」


 ロインの得意技だ。


 「俺は動物を狩ってくる」


 カズヤは動物を狩ることとなった。


 「それが懸命だ」


 こうして一行は小屋を作った。日が暮れていく……。


◆◇◆◇


 食事も一段落したところろでゾイが語り始める……。


 「闇のベルダーシュのことだったな?」


 皆が無言でうなずく。


 「闇のベルダーシュの帝王の名はサキヤという」


 サキヤ……。


 「サキヤも『ラディア』にあって殺される寸前魔法を発動させ……さらに竜に変身し村人を喰らいつくした人物だ」


 「……」


 「以来、闇の魔術を極めるべくここロッキーに籠り転移魔法や毒魔法などの闇魔法をどんどん覚えていった。また闇の仮面作りや闇の僧衣作りに成功した」


 闇の仮面はこいつが作ったのか。


 「そして『ラディア』に会ってるベルダーシュを救っては仲間に引き入れた」


 それは救ったということだな、とカズヤは思った。一歩間違えれば自分も闇のベルダーシュとなっていたのだ。


 「こうして闇のベルダーシュは大きくなっていった」


 効率的だね。


 「やがて『ベルダーシュこそ酋長になるべきだ。そして部族制をやめて国家を作ろう』と考えた。それがサキヤだ」


(だから『帝王』なんだな?)


 「中には酋長が止めたのに『ラディア』を行おうとした村があった。子供を外で遊ばせひそかにベルダーシュを殺そうとした」


 (なんで俺の顔を見る?)


 「ロイン、お前の村サムル村の出来事だ」


 「えっ!」


 「そいつの名は……ザイロ。この有様を見てサキヤ帝王が直々にザイロをスカウトした」


 「嘘だ!」


 「嘘じゃない。ザイロは闇のベルダーシュの理想に惚れ込んだ。それだけでなく転移魔法をはじめとする闇魔法の虜になった」


(虜、だと?)


 「そして計画通り次代のベルダーシュに譲り自分は闇のベルダーシュとなった」


(ということは既に酋長は……)


 「あまりにも強大な魔力を持っているので今やロッキー四天王の地位に着いている」


 (四天王!?)


 「彼の得意技は闇の業火」


 (業火の術と闇の業火の術。本質が同じだ……)


 「『ラディア』を行おうとした村を見つけ次第焼き討ちにするのがもっとも得意でもっとも至福だそうだ。そして子供を闇焔やみほむらの神の生贄にする。そうすることで闇色の炎の威力は増す。だから子供は最後に生贄に捧げる」


 「見つけ次第、焼き討ち……」


 「ロイン、彼に勝てるか?」


 「出来ないよ……俺、師匠と闘うなんて」


 「師匠の姿は表向きのもの。いや過去のものだ。今のザイロは復讐の鬼にして闇の鴉の仮面を被る四天王の一人」


 師、ということは自分の手の内をすべて知られているということでもある。


 「四天王はあと三人居る。闇色のバファローの仮面がウル、闇色の蟲の仮面がエル、闇色の鷹の仮面の者がイルだ。名前から分かる通り帝王からもらった名だ。ザイロはあまりに優秀なためアルが帝王からもらうけた四天王の座を奪い取った。闇鬼の仮面のアルは今やただの一兵卒だ」


 落ちこぼれた奴もいるのか。


 「ロイン、みんな……。この旅は闇のベルダーシュを倒す旅じゃない。水道を普及し人々を救うという旅のはず」


 そう、かもな。


 「だったらカホキアなどの大規模な村に水道を作るというのが一番無難だ。しかもカホキアは武力も強い。闇のベルダーシュだってむやみに手出しできないはず。ラディアも減らせる」


 確かに、それは正論だ。


 「どうだ? これ以上西に向かうの辞めないか」


 「……」


 「賛成」


 「賛成」


 「ロイン、お前は?」


 「……賛成」


 「決まりだ。ここは闇のベルダーシュの根城に近い。カホキアまで戻ろう」


 「お休み」


 明りを消して寝る。


 しかしロインはなかなか寝付けなかった


(師匠が闇のベルダーシュ!? しかも四天王!?)


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